北海道大学でも、学位取得の謝礼を受け取っていたことが発覚

マイスターです。

■「不透明な対応に注がれる厳しい視線」
■「学位取得の謝礼を受け取る 横浜市立大学」

↑以前、学位取得の謝礼を学生から受け取っていた教授がいるということで、横浜市立大学、東京医科大学のことが報道されました。

横浜市立大学のケースでは、みなし公務員である公立大学法人の教職員が第三者から金品を受け取ることが、地方公務員法に違反する可能性があると指摘するメディアもありました。
同大の問題が発覚した後、文部科学省が全国の国公私立、約420大学に対し、学位審査の透明性を確保し、厳正に行うようにという通知を出しましたが、東京医科大学の問題はその後に発覚したため、これも問題視されています。

そして最近、新たに学位取得の謝礼授受が発覚した大学があります。

【今日の大学関連ニュース】
■「北大でも学位取得で謝礼 教授ら9人 最高15万円受領」(北海道新聞)

北大(佐伯浩学長)は二十二日、二〇〇七年度に実施した、民間企業など学外研究者が論文を提出して取得する論文博士の学位審査で、審査を担当した大学院農学研究院などの現職教授ら九人が、博士号取得者七人から謝礼を受け取っていたと発表した。
北大は同様の行為が横浜市立大で明らかになった後の昨年三月に金品を受け取った現職の教授三人と准教授一人を同日までに訓告処分とした。逸見勝亮副学長らが北大で記者会見し、明らかにした。
謝礼を受け取っていたのは大学院の農学、理学、工学の三研究院(科)の教授八人と准教授一人で、このうち教授三人は既に退官している。
受け取った謝礼の最高額は、二人の審査に携わった教授の計十五万円で、この教授を含め二人が現金を、残り七人が三万-十万円分の商品券など物品を受け取った。博士号取得者が贈った現金の最高額は二人の教員に対して計十五万円。いずれの謝礼も、取得者に対する学位の授与後に授受された。逸見副学長は「謝礼による論文審査への影響はない」としている。
(上記記事より)

この通り、医学部以外では初めて発覚した事例となりました。

横浜市立大学の問題が報じられた後に金品を受け取った方もいるようですし、特定の教授を名指しした匿名情報によって初めて発覚したということで、メディアの視線はかなり厳しい様子。

国立大学の教員はみなし公務員で、論文審査などの職務で金品を受け取る行為は収賄に当たる。実際、博士論文の審査で、試験問題を漏らした名古屋市立大大学院医学研究科の教授が昨年7月、名古屋地裁で収賄罪の有罪判決を受けた。
今回の調査は、2年間で128件の論文博士だけ。883件と審査件数がはるかに多い課程博士は対象外だった。北大幹部は「告発のあった論文博士の調査を先行させた」と説明するが、真相究明は緒に就いたばかりだ。
(略)北大の今回の4人は訓告処分だった。軽微な処分となった理由について、大学は学内規定で論文審査の謝礼授受を禁じていないことを挙げる。しかし、公務員の職務上での金品受け取りを禁じるのが「社会の常識」としたら、北大は「学内の常識」を優先したといえる。近く行う課程博士の調査では、世間の批判にも耐える内容が求められる。
「北大博士号謝礼:氷山の一角の可能性」(毎日jp)記事より)

教授の一人は学内調査に「教授になってから(恒常的に)もらっていた」と答えていたことが分かった。謝礼の授受はこれまで東京医科大などで明らかになっているが、医学系以外では初めてのケース。調査に当たった北大幹部は「学内の一部で常態化していた。金品授受のうわさは(自身が)学生の時からあった」と述べ、謝礼名目の金品授受が長年の慣行だった実態を浮き彫りにした。
(略)今回、北大で金品授受が明らかになった9人のうち、訓告処分の4人は横浜市立大のケースが発覚後に金品を受け取っていた。処分を受けた教授は学内調査で、「(横浜市立大が)社会問題になっていたので他大学の人に聞いたら、『常識の範囲なんじゃない』と言われた。迷いながら受け取ってしまった」と釈明し、他の大学でも謝礼名目の金品授受がまん延しているとも言える実情を明かしたという。
北大によると、文科省通知が学内で配布された同3月27日以降に金品を授受した教員はいないという。また、北大幹部は9人の金銭授受について、「論文審査には影響がなかった」「(教員側からの金品の)強要や要求をしたこともない」と説明。あくまでも公平な審査が行われたことを強調しているが、その実態は不透明だ。
今回の調査は07~08年度の2年間に限定されたもの。調査を急いだという背景もある一方で、北大幹部は「横浜市立大(の発覚)までは非常に安易に行われていたかもしれない」と指摘しており、問題を大きくしたくないという狙いも透けて見えている。
「北大博士号謝礼:「学内一部で常態化」 長年の慣行 改まらず」(毎日jp)記事より。強調部分はマイスターによる)

論文博士だけでなく、課程博士についてもこれから調査が進められるようですが、各紙ともこのように、「まだまだ隠れた問題があるはずだ」という論調です。

今回の場合、課程博士でゼロ件ということはないでしょうから、調査によってさらに多くの事実が発覚することでしょう。
それらに関わった方々の多くは、「これが問題だとは思っていなかった」と口にされると思います。
また一層、「大学の常識」と世間一般とのズレが指摘されることになりそうです。

もともと安からぬ学費を支払って通っている大学であり、学位審査もその範囲内のこと。
それなのに数万円、ときには十万円以上もの贈り物を追加で受け取るというのは、審査の「御礼」としては額がちょっと大きすぎるんじゃないかと、普通の人は疑問に思います。
それを不自然に感じなくなっていたのですから、慣習や、「周りもやっている」という意識は、怖いです。

大学に対してかなりの学費を支払う、または支払ってきた方々が世の中には大勢います。
それを理解されていれば、こうした問題が社会からどれだけの批判を受けるか、想像もできるように思います。

これだけいくつもの大学の問題が報じられてくると、これ以外の大学でも似たようなことが行われていたのではないか、と考えるのが自然です。
内部告発などにより、これからまた、いくつかの大学名が報じられることになるかもしれません。

同じような問題があったとしても、発表のされ方によって世間の見方は大きく違ってきます。
「告発があるまで隠していた」という見られ方は、広報的にも最悪のパターン。
学内調査を徹底して自ら膿を出したという場合は、批判も受けるものの、一定の評価もされるでしょう。

対岸の火事と思わず、まず自校でも同じようなことが起きていないか、調査を徹底されてみるといいかもしれませんね。
あまり気が進まないと思いますが、後になってリークなどで発覚するときのリスクを考えたら、そちらの方がずっとマシだと思われます。
今後はそうした「気の進まないこと」を、トップ主導により確実に全学で実行できる組織でないと、何をするにも成功は難しいでしょうから、大学の組織力を知るチャンスかもしれませんよ。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。