高校生を大学キャンパスに連れていく理由

大学キャンパスにしょっちゅう出かける、大学好きのマイスターです。

興味があるので見学に行く、勉強会や講演・学祭などのイベントを楽しむために行く、塾大連携プログラムや体感カリキュラムの打合せ&運営のために行く、大学教職員向けの講演をさせていただきに行く、知り合いを訪ねていく等々、理由は様々です。
回数でいえば、やはり仕事で行くことが一番多いでしょうか。

ジャーナリストの方には、数百もの大学を取材してまわっている強者の方もおられます。こういう人の話は、きっと高校生にとっても大学関係者にとっても参考になることでしょう。

一方マイスター達は、何日も、あるいは何ヶ月もずっと同じ大学に通い詰めることが多いです。
塾と大学が連携して行う様々な企画に運営者、つまり当事者として関わっているからです。
早稲田塾に通う高校生達を、大学の「ホンモノ」の環境や人材に、直接触れさせることが狙い。ですから大抵の場合、自分一人ではなく、高校生と一緒です。

キャンパスを見学するとか、入試の説明を聞くとか、そんな表面的な接触では終わらせません。
「何日も研究室に入って大学生達と一緒に実験をし、レポート作成やプレゼンテーションを行う」、「独自の研究をして学会で発表する」などなど、必ず学生や教授と直に議論し、グループワークや実験、物作りなどを数日かけて行い、最終的に何らかの成果物を得るという、「深い接触」にこだわっています。
「大学の学びそのもの」、あるいはそれに限りなく近い環境の中に、高校生を入れるのが目的です。

そうすることでしか伝えられない、「その大学の価値」があると考えるからです。

例えば、高校生が在学生と議論をし、

「あ、この人はすごい。自分ももっと真剣に考えないと。今のままじゃマズイ」

……とショックを受けることで伝わることって、あります。確実に、あります。
それが、どんなに他者が語っても伝わらない、その大学の「実力」の一端だったりします。
世間的な知名度や入学難易度(いわゆる「偏差値」)、あるいは資格の合格実績などからは絶対にわからない大学の教育力や環境力、そこにいる方々の人間力などです。

そういったショックを何度も経験しながら、高校生達は自分について、自分の将来について、真剣に考えるようになるのだと思います。
実際、ショックを受けるような学生に会った結果、触発されて「自分もここで学ぶんだ!」と決める高校生は、早稲田塾の中では、珍しくありません。

逆に学生と真剣に議論した結果「この大学には合わない」と感じたとしても、それはそれで意義のある経験です。「じゃあ自分はどんな大学で、何をやりたいんだろう」と、さらに考えていくきっかけになるのですから。
(いつも、それくらいの長い目でこの取り組みにおつきあいくださっている大学の皆様、本当にありがとうございます)
それにこうした体験をしたのとしないのとでは、大学入学後の学びに対する姿勢も、確実に変わってくるのではないかと思います。

だから時間と手間をかけて、大学の人達と議論をさせるような場を作り続けているわけです。
大学が持っている制度やシステムであったり、研究成果や就職実績であったりと、他者が客観的に説明できる価値ももちろんあり、それも大事ですが、それだけではその大学の本質的な価値を理解することはできないだろうと思うのです。

ただ残念ながら、全国で受験の指導をしている高校教員の方々や予備校の相談員には、こうした体験をあまり重視していない方が少なくないようです。
なぜならこれはとても伝わりにくい価値で、彼ら自身もよく知らないから。
高校の場合は「そこまで手を回せない」というせっぱ詰まった事情もおありでしょう。

大学が実施しているオープンキャンパスに参加しても、こういったショックはなかなか体験できません。数百人から数万人までを相手にするようなイベントでは、物理的にそこまでの接触は不可能でしょう。
大学を深く理解するのも、あるいはそれを生徒に伝えるのも、本来なら大変な手間がかかります。
そんな日本の教育事情が推察されますが、このままで良いはずがないと、マイスターは思います。

せめて自分たちだけでもと思い、大学と連携したプログラムをこつこつと企画し、継続的に実施している日々です。

……なんてことを改めてお伝えしたくなったのは、こうして原稿を書いている今も、東京から遠く離れた、ある大学の学生寮の一室にいるからでしょうか。

これからは、そんな大学との取り組みの様子も少しずつブログでご紹介してみようかな、と思ったら、既に字数が多くなってきましたので、次回に続きます。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

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