大麻による大学生の摘発が続く

マイスターです。

大学生の大麻栽培・使用が大きな問題になっています。

■関西大学キャンパスで大麻密売 学生を逮捕

↑以前にも、関西大学の学生が逮捕された事件をご紹介しましたが、ここ最近も慶應義塾大学、同志社大学、早稲田大学、東京理科大学などで、学生が逮捕されたとの報道が続いています。

社会的に知名度が高い大学が「大麻汚染」されている、という話題は関心を集めるのか、各紙でも大きく取り上げられました。

【今日の大学関連ニュース】
■「大麻で摘発10大学43人 本紙緊急調査 」(読売オンライン)

大学生による大麻事件について、読売新聞が関東と関西の24大学に緊急調査を実施した結果、2003年4月以降、少なくとも10大学で43人が大麻取締法違反容疑などで逮捕・書類送検されていたことがわかった。学内での大麻密売や吸引は、昨年までは1件も確認されていなかったが、今年になって、慶応、法政、関西の3大学で判明した。大学側の危機感は強く、21大学が、学内のパトロールをするなど対策を余儀なくされている。
調査は東大、京大、阪大の国立3大学と早稲田、慶応など関東地区の13私大、関西地区の8私大を対象に実施し、22大学から回答があった。明治、帝京の2大学は未回答。
その結果、03年4月以降に学生が大麻取締法違反容疑などで逮捕・書類送検されたと回答したのは、関東学院(14人)、慶応(8人)、法政(5人)、上智、中央(各4人)、東京(3人)、関西(2人)、同志社、関西学院、龍谷(各1人)の10大学。
(略)逮捕者が「ゼロ」と回答したのは早稲田など12大学だったが、うち5大学の担当者は「大学として把握できていないケースがあるかもしれない」と話した。
(上記記事より)

早稲田大学、東京理科大学の事件が発覚する前に読売新聞が実施した調査結果で、「実は以前から逮捕者が出ていた」ということが分かりました。
「大学で吸っている」学生が明らかになったのが最近と言うだけで、学生の間で使われてはいたということでしょうか。

ちなみに、この時点で早稲田大学は「ゼロ」と回答していたのですが、事件後の取材に対しては、

読売新聞が今月上旬、関東と関西の24大学を対象に実施した調査に対し、早大は「摘発者ゼロ」と回答していた。同大広報室は「調査していないので答えられないという趣旨だった」と釈明している。
「大麻で学生逮捕の早大、今月上旬「摘発者ゼロ」と回答」(読売オンライン)より)

早大は密輸事件について逮捕後まもなく把握。発覚は先月の慶大生の大麻事件が早いが、逮捕と大学側の把握は早大のほうが早かった。「捜査中だったので公表しなかった」という。
事件について早大は「誠に遺憾。薬物の危険性は講演会や広報誌で注意喚起をしてきたが、今後も継続して取り組む」などとの談話を出したが、記者会見は開かずじまい。集まった報道陣に対し広報課職員が「分からない」と繰り返した。
「慶大発覚に続き 早大生も大麻逮捕」(sanspo.com)記事より)

……とのコメント。
「(調査はしたが)大学として把握できていないケースがあるかもしれない」というのと、「調査していないので答えられない」というのは、かなり違うと思うのですが……。
どうして「摘発者ゼロ」という回答が報道されてしまったのか、気になるところです。

なお今回の事件で注目されているのは、早稲田大学の事件で逮捕された2名が、留学生だということ。
両名とも、国際教養学部の学生です。

早稲田大生らの大麻事件で、オランダから国際航空郵便で大麻草を密輸しようとしたとして大麻取締法違反の罪で執行猶予付き有罪判決が確定したとされる早大生2人はマレーシアからの留学生(22)と、日米二重国籍を持つ学生(20)だったことが15日分かった。
早大によると、マレーシアからの留学生は国際教養学部2年、二重国籍の学生も同学部の3年に在籍。いずれも逮捕後に退学処分となっている。
また事件にかかわったとされる国際教養学部2年の日本人の男子学生(20)は9月、海外に在住する母親の看病を理由にメールで休学を申請し、行方が分からなくなっているという。
「大麻密輸の早大生は留学生ら オランダから国際郵便で」(47NEWS)記事より)

早稲田大学は、在籍する留学生の人数が、日本で最も多い大学。
中でも国際教養学部は、そんな「国際派」早稲田大学の象徴とも言える存在です。
同学部の新設が、他大学に及ぼした影響も少なくないでしょう。

今回の事件は、そんな早稲田大学、およびそれに追随する他大学の関係者にとっても、大きな衝撃を与えるのではないかと思います。

一連の事件の中、大学も「対策」に乗り出しています。

大学生による大麻の所持、売買事件の続発を受け、京都の大学が対策に頭を悩ませている。逮捕者を出した同志社大(京都市上京区)が12日に学内でチラシの配布を始め、他の大学も学内掲示やホームページでの注意喚起をしているが効果は分からず、手探りの状態が続いている。
「大麻防止、対策手探り 京の大学 相次ぐ学生摘発受け」(京都新聞)記事より)

塩谷文科相は「文科省としても(薬物についての)大学生向けのパンフレットを作ろうとしている」と述べ、各大学に乱用防止の取り組みを促していく方針を示した。
「大麻売買:文科相、薬物乱用防止促す 大学生向けにパンフ」(毎日jp)記事より)

早稲田大では国際教養学部の学生らが逮捕された後の7月、同学部の学生約2800人を対象に薬物の乱用防止を呼びかけるセミナーを開いたが、出席者は約250人にとどまった。商学部の学生逮捕について、早大側は「報道で初めて知った」。今後、セミナーを全学部に広げ、学生に大麻を使用しないよう求めるビデオを半強制的に見せることも検討する。
10月に学生2人が逮捕された慶応義塾大学では、過去4年、大麻による逮捕者を毎年出しながら対応しなかったことを反省。全学部で薬物問題の講座を授業科目に加えることを検討している。
関西地方でも、学生が絡む大麻事件が相次いでいる。関西大は秋学期から、「夜回り先生」として知られる水谷修さんを客員教授に招いた。「今の若者の問題を肌身で知っている方の力を借りたい」と芝井敬司副学長。薬物の怖さについて講演してもらう予定だ。
■「大麻が大学を汚染 学生の罪悪感薄く」(Asahi.com)記事より)

このように、色々と取り組みが行われてはいます。
ビラやパンフの作成、セミナーなどの開催を通じて、「正しい情報」を伝えるというのは、確かに重要です。

例えば、メディアが学生にインタビュー取材をした結果が、↓こんな形で報じられています。

「友達の家に遊びに行って、酒でテンションあがったときに勧められたらみんな軽く吸っちゃうでしょ。副作用ないことがみんな分かってるし、興味はあるから…」
大麻を所持したとして、法政大の学生5人が逮捕されていたことが判明した10月上旬。取材で東京都町田市の多摩キャンパスを訪れた本紙の記者に対し、4年生の男子学生(23)は堂々と持論をぶつけてきた。
「大麻って、外国では合法でしょう。タバコより身体に悪くないらしいし、日本の法律もおかしい。マスコミも騒ぎすぎ」
大麻を実際に吸った経験の有無は確認できなかったが、大麻の依存性については様々な研究があり、「副作用がない」「タバコより体に悪くない」という認識は甘い。とはいえ、大麻への抵抗感や、遵法意識が低い学生が相当数いることが想定される“本音”だった。
「【衝撃事件の核心】大麻で台無し “高偏差値大学生”たちの法廷「告白」 」(MSN産経ニュース)記事より)

友達に言われたのか、それともネットなどで読んだのか。
判断のための情報を十分に持っていない、または著しく情報ソースが偏っているような印象を受けます。

中途半端な知識と、「自分だけは大丈夫」という根拠のない思いこみ。

本来、大学というのは、「正しく疑う力」を身につけるところだと思います。
「なぜ大麻が法で禁止されているのか」、という点をちょっと考えたり、調べてみたりすれば、もう少し違ったコメントが出てきそうですが、大学で学んでいるにもかかわらず、「大麻を売る側」や「大麻を使う側」による説を簡単に信じ込んでしまっているところが、そもそもの問題の根源なのかな、という気もします。

(もちろん、それ以前に大学生であれば最低限の「順法精神」というものは身につけているべきで、独自の理屈で法を破って良い道理は何もないのですが。)

最後に、↓こんな記事を見かけたので、ご紹介します。

薬物依存症の患者約100人が入院治療を受けている群馬県渋川市の薬物・アルコール依存治療施設「赤城高原ホスピタル」(竹村道夫院長)。(略)竹村院長によると、最近の入院患者の5割近くが大麻使用の経験があった。竹村院長は「以前はシンナーをきっかけに覚せい剤の依存に行き着くケースが多かったが、最近は大麻がきっかけという患者が急増し、特に10~30代の若者に目立つ」と指摘した。
若者の心理に詳しい野田正彰・関西学院大教授(精神病理学)は「大麻を使うのは経済的に恵まれた若者が多いように思う。社会や他者に無関心で人生の目標も見いだせないままの若者が、生きている実感や感覚的な刺激を求めて大麻に走っているのではないか」とみている。
「広がる大麻汚染:(3止) 低い心理的ハードル、薬物依存の入り口」(毎日jp)記事より)

こうした声が、大学生達に届くと良いのですが。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

1 個のコメント

  • 早大では、実際には2004年と2008年にも逮捕・退学者が出ていたようです。取材に対して調査中どころか虚偽の情報を回答していたわけです。ポリシーがあって回答しないのならそう答えればいいのに、嘘を流してその場を逃れる、なかったことにするというのは、大学の広報体制が問われますね。他大学が公表をしている中で、ワセダは社会に対する責任を果たさない象牙の塔のままなのでしょう。優れたジャーナリストを多く輩出している大学なだけに残念です。
    ワセダでは、こういった対応が他でも目立ちます。報道関係者の間でも、早大を取材した者の間での評判はいまひとつです。ワセダの広報課はどうなっているのでしょうか。
    自分も早大卒業生ですが、プロ意識のない母校のあり方が恥ずかしい限りです。
    http://www.asahi.com/national/update/1117/TKY200811170156.html