ニュースクリップ[-9/14] 「鈴木文科相:『大学縮小』議論を 中教審に諮問、再編で『質』確保」ほか

マイスターです。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。


【大幅な方針転換?】
■「鈴木文科相:『大学縮小』議論を 中教審に諮問、再編で『質』確保」(毎日jp)

鈴木恒夫文部科学相は11日、人口減少時代などに対応した大学のあり方の審議を、中央教育審議会に諮問した。文科省は全国に86校ある国立大学の再編も視野に、公立や私立も含め大学の規模縮小を検討しており、国の高等教育政策の大転換点となる可能性がある。審議の行方次第では大学の再編・淘汰(とうた)が一気に加速しそうだ。
(略)審議では、大学新設の抑制など設置基準の見直しも検討する見通し。得意分野に取り組みを集中させる「機能別分化」と大学間連携の促進策や、学部学科の枠にとらわれない「学位プログラム」の導入も審議する。文科省幹部は「国立大同士の統合や公立への移管も議論対象になる」としている。
(上記記事より)

文部科学相による諮問。
実現すれば大学に大きな影響を与える話なのですが、何しろ時期が時期だけに、選挙を意識しただけの動きではないか? と見る向きもあるようです。

ちょっと目を引くのは、得意分野に取り組みを集中させる「機能別分化」、という記述。得意分野を強化し、大学の間で役割分担をもう少し明確に打ち出しても良いのでは、ということは大学関係者もしばしば口にすることです。

ただ、それをどのように進めるべきなのかについては、議論があるでしょう。
国は、どのような役割をここで担うのでしょうか。

【学生プロデュースの結婚式。】
■「手作り挙式プレゼント…神戸夙川学院大生が演出 」(読売オンライン)

阪神大震災で結婚式を挙げられなかった夫婦に、神戸夙川学院大(神戸市中央区)の学生12人が手作りの式のプレゼントを計画、挙式するカップルを募集している。式は12月6日、神戸・ポートアイランド沖の神戸空港ターミナルで行う。学生たちは「結婚式は特別な日。震災で大きな影響を受けた二人の新しい〈旅立ちの日〉を演出したい」と準備を進めている。
同大学は、観光文化学部の単科大として昨年4月、ポートアイランドに開学。講義で神戸の歴史を学んでいくなかで、震災で家族が犠牲になったり、結婚式場が倒壊したりして、挙式を断念した被災カップルがいたことを知り、思いついた。
(上記記事より)

観光文化学部の学生さんによる企画です。
なるほど、普段の学びを通じて、学生がこういったプロジェクトを生み出すこともあるのですね。
考えてみれば観光学というのは、授業で学んでいることを、実際のイベントや企画による「実践」に結びつけやすい学問なのかもしれません。
地域貢献にも結びつきます。

全国で観光系の学部は増えているようです。
こうした学生の発案によるイベントが次々に打ち出されていくと、地域が楽しくなると思います。

【教育投資額の少なさを指摘されました。】
■「教育予算 日本はOECD28カ国中最低の3.4%」(eduon)

OECD(経済協力開発機構)が9日公表した「図表で見る教育08年版」で、日本の05年の教育予算の対国内総生産(GDP)比が3・4%(前年比0・1ポイント減)と、OECD加盟国中最低となったことが分かった。04年はワースト2位だったが、今回は前回最下位のギリシャにも抜かれた。OECD平均は前年と同じ5・0%。今回の日本の3・4%は調査開始の88年以来最低の数字。
(略)日本においては、特に大学など高等教育機関での公的支出の比率が低くなっている。また男女別の大学進学率では、日本は男性(52%)が女性(38%)を大きく上回っている特徴が現れた。
OECD教育局は「各国が教育予算を増やす傾向にあり、日本と差が開きつつある。他国では教育支出が急上昇しているが、日本は教育以外の分野を選んで投資している。将来に向け教育にどう戦略的に投資するかが日本の課題だ」と指摘している。
(上記記事より)

日本の教育支出額の対GDP比が、先進国の水準から見てかなり低いレベルにあるということは、以前から何度も指摘されています。

前回、国の予算を算出するにあたっては、教育支出額の増額を訴える文部科学省と、「生徒1人あたりなら、米英独仏の平均とほぼ同水準」と主張し、増額は不可能だと反論する財務省との間で、激しいバトルが繰り広げられました。結局、増額はなりませんでした。

(過去の関連記事)
■文科省 VS 財務省 どうなる日本の教育支出

そうこうしているうちに、ついに調査対象の中でビリに。

↓こんな記事もありました。

先進国最低の教育投資について文部科学省は「GDPは伸びたが、少子化の影響で公立学校の教員数が減り、給与支出や施設整備費が減ったことが背景にある」としている。
「教育投資、日本は最下位 OECDの05年調査」(47NEWS)記事より)

順位が下がったことの理由にはなりますが、もともと低水準であることの説明にはなっていません。

国の財政状況から見て、確かにそう簡単に増額といかないのはわかります。
しかしその一方、各省が無駄な事業に予算を使っていたり、政治的な事情でお金をばらまいたりしている現実もあるわけで、「教育にまわすお金はない!」とただ言われるのも何だかなぁ、と思ったりもします。
このままで本当に大丈夫でしょうか。

【農家に経営力を。】
■「農家に経営力指南 岩手大が『アグリスクール』」(NIKKEI NET)

岩手大学が農家の経営改革に力を入れている。国から受託し岩手県などと協力して昨秋開校した「いわてアグリフロンティアスクール」だ。「経営」「マーケティング」「先端技術」の3コースがあり、生産・加工技術や販売、財務・会計などの内容を年間120時間以上学ぶことが修了の最低条件だ。
8月初旬、米粉めんを製造する農事組合法人「りぞねっと」(山形県真室川町)の会議室はスクール受講生の農業者ら約30人の熱気に満ちた。
(上記記事より)

■「いわてアグリフロンティアスクール IAFS」(岩手大学)

3コース修了者に、岩手大学が独自に発行する「アグリ管理士」の資格を授与するとのこと。
岩手大学の教員をはじめ、農水省の方、県のセンターなどで農業研究に従事している方、企業の方、農業経営者などなど、様々な方が指導にあたるようです。

個々に通うことで、知識や技術が身に付くことはもちろん、様々な相談などを行う受講生同士、あるいは受講生と大学とをつなぐネットワークもできそうです。

(過去の関連記事)
■山梨大学 ユニークなワイン人材育成事業

↑以前、山梨大学の取り組みをご紹介しましたが、このように地域の農家や名産品の生産者を対象にしたコースを大学が開設するというのは、これからよりいっそう重要になってくることと思います。

【偶然の奇跡?】
■「父の出身大学に入学した新入生、『寮の部屋』も父と同じ 」(CNN)

父親の出身大学に息子が進学することは、よくある話。では、数十年前に父親が過ごした寮の部屋に息子が入る確率は? こんな偶然に遭遇したのは、この秋にミシガン州立大学に入学したマイク・ロベルさん。
父親のリッチ・ロベルさんと同じ大学に進学し、決まった寮はエモンズ・ホールのB310号室だった。
リッチさんはこの部屋の壊れた窓の掛け金などから、自分が過ごした部屋だと思い、大学の記録を見てもらったところ、まさに自分が学生だった1978年に暮らした場所だった。
同大学の学生寮は、全部で8000部屋あり、親子で同じ部屋になる確率は低い。大学寮の担当部長ティム・ナイトさんは、37年間の職務の中で、初めて遭遇する偶然だと話している。
(上記記事より)

この部屋数で、偶然にこの部屋に入る確率は極めて低いでしょう。
父親にとっては、感慨深いことだと思います。息子にとっても、大学に対して早くも愛着がわいているのではないでしょうか。

なんだか、ちょっといい話です。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。