粒子物理学をラップで説明する科学者

マイスターです。

昨今では、理科の実験をエンターテイメントにした「サイエンスショー」が少しずつ人気を集めているようです。
言葉にするとよくわからない内容でも、実際に目の前で見せられると理解できるもの。
それも、できるだけ楽しく学べるように工夫されていれば、印象はなお強く残ります。

さて、高度で専門的な内容を扱っている人ほど、それを他人に伝えるためには工夫が必要。
大学などの研究機関で、最先端の学問領域を研究している科学者の方々などは、「どうすればこの理論を広く伝えられるだろう?」と日々、思案されていることと思います。

そんな方々のご参考になる……かどうかはわかりませんが、最近、興味深い取り組みが話題を集めているようですので、ご紹介しておきたいと思います。

【今日の大学関連ニュース】
■「粒子物理学はノリノリの『ラップ』で、ネットで大人気 」(CNN.jp)

ミシガン州イースト・ランシング(AP) スイスとフランスの国境にある欧州合同原子核研究機関(CERN)のサイエンスライターが、運転開始を9月10日に控えた大型粒子加速器「LHC」の紹介文を「ラップ」に乗せたビデオを作り、インターネットの動画投稿サイト、ユーチューブに投稿したところ、再生回数50万回を超える人気となり、話題を呼んでいる。
高エネルギー粒子物理学とラップを結びつけたのは、米ミシガン州立大学の卒業生、ケイト・マックアルパインさん(23)。CERNから撮影許可を受け、運転開始を控えて作業する職員らと一緒にヘルメット姿でビデオに登場。軽快なリズムで陽子の衝突によって何が解明されるのかを説明。「ここでの発見は、君の頭をぶっ壊す」と歌っている。
マックアルパインさんは、「ラップと物理は、文化的に数キロ以上離れた者同士。でも、これを一緒にすればおもしろいんじゃないかと考えた」と、ビデオ制作のきっかけを説明している。
CERNの広報担当、ジェームズ・ジリーズさんも、「正直言って、最初はケイティのやりたいということを疑っていた。でも、出来上がったビデオを見れば、科学的な歌詞にラップのリズムが調和して納得してしまった。」という。
ビデオを見た物理学者らも、出来上がりを評価。ジリーズさんは、「ほとんど全員の物理学者が納得している、すばらしいものだ」と話している。
(上記記事より)

■「粒子物理学をラップで説明、ユーチューブに83万を超えるアクセス」(AFPBB News)

83万6000回を超えるアクセスを記録している「ラージ・ハドロン・ラップ(Large Hadron Rap)」のビデオには、数億ドルの粒子加速器をバックに、白衣・ヘルメット姿の科学者たちが登場。ビートに合わせて、プロトンとクルトンの違いがわからない人々のためにわかりやすく解説する。
「反物質は、双子の悪い方なのさ」「でもこいつを棚に入れてはおけない。双子の良い方に出会ったら、2人ともエネルギーに変わって消えちまうからさ」・・・
(上記記事より)

9月2日付けのニュースで50万回だった再生回数が、8日付けのニュースでは既に83万6000回。

YouTubeにアップされ、ネット上で人気を集めているこの映像は、欧州合同原子核研究機関(CERN)で働く方々によって作成されたもの。

内容は、粒子物理学の内容を交えながら、9月10日から稼働する大型粒子加速器「LHC」を説明するというもので、特に変わったところはありません。

ラップで歌って説明しているという点を除けば。

百聞は一見に如かずということで、↓こちらをご覧ください。
(※音が出ます)

冒頭の記事によれば、この企画を発案したのは、ミシガン州立大学の大学院生でCERNのプロジェクトにも参加しているという、Kate McAlpine氏だそうです。

が、映像を見てみると、こちらで働いている科学者の皆さんが全面協力している模様です。
というか、作業着姿で踊っていて、ノリノリです。
物理現象を説明する正統派(?)の説明ムービーも混じったりして、なんだか面白い映像に仕上がっています。

マイスターの貧弱な科学英語ボキャブラリーでは、何が説明されているのかわからない部分が多いのですが、それでもなんとなく見てしまう。
最先端の研究施設の中、科学者達がヘルメット姿で踊っている様子は楽しげであり、シュールでもあり。ネット上で話題になるのも、なんとなくわかります。

(ちなみにマイスターが見た段階では、既に再生回数は130万回を突破しておりました)

話題になっているから、なんとなく興味本位で再生してみた、という方がほとんどだと思います。
しかし、興味本位で見に来てもらうことがどれだけ難しいことかは、大学や研究機関で、PRを担当されている方ならよくご存じでしょう。

この130万回の中のわずかでも、CERNの取り組みに関心を持ってくれる方がいてくれたら、しめたものです。
これくらい遊び心を入れて、皆に見てもらえるものにした方が、結果的には広まるということもあるかもしれません。

日本でも、大学のサイトで学部や学科の紹介映像を公開している大学は、結構あります。
パンフレットの文章を読みあげているような映像が多い中、たまに「イメージ重視」の作品に出会うこともありますが、こういった話題の映像を見ていると、まだまだインパクトが足りないのかもと思ったりします。

話題になるために、お金を多くかける必要はないみたいですから、学生の皆さんなどにも協力を求めながら、大らかな気持であれこれアップしてみてはいかがでしょうか。
その中から、話題になる映像も出てくるかも知れませんよ。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。