ニュースクリップ[-6/22] 「室工大が学生寮大規模改修へ 個室化に寮生反発 『連帯感なくなる』」ほか

マイスターです。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【住めば都?】
■「室工大が学生寮大規模改修へ 個室化に寮生反発 『連帯感なくなる』」(北海道新聞)

室蘭工大(松岡健一学長)は来年度、老朽化が進む学生寮「明徳寮」(定員・男子のみ五百人)を大規模改修することを決めた。大学側は、現状の四人部屋を全個室化する計画を立てたが、寮生から「連帯感がなくなる」などの反発が出ており、大学側は寮生へのアンケートを行うことにした。
当初計画では、一九七四年完成の鉄筋コンクリート四階建てで、二棟ある居室部分を順番に改修し、二百八十室の個室を整備する。寮生は現在、定員に満たない三百人程度で、改修期間中も、別棟に住む。
改修後は男子留学生にも利用を認める。改修費は五億-九億円。大学側は、寮に入らない学生に個室希望が多いことから、個室化を計画した。
(略)これに対し、寮を運営する実行委員会などは「連帯感や伝統が失われる」と反発。値上げにも反対の声が出ている。改修期間中は新入生の入寮が制限されることから、新入生が中心となる、赤ふん行列で有名な「明徳祭」の存続を危ぶむ声も出ており、アンケート結果が注目される。
(上記記事より)

寮に入っていない人は個室を望むが、寮に入っている人は個室化に反対する、という構図。
教育的な効果や、体験者の満足度を考えると、おそらく個室ではない方がいいのでしょうが、それが未体験者には伝わりにくいのでしょう。
教育全般にも通じる悩みです。

■「寮生活」を教育に活用する!

【ヨーロッパの最新学生寮。】
■「武藤聖一の欧州『最新建築』撮り歩記:中庭をガラス張りの個室が取り囲む学生寮へ──コペンハーゲン・デンマーク」(ケンプラッツ)

学生寮関連と言うことで、たまにはこんな記事も。

建築業界向けのメディアで、コペンハーゲンにある大学の、最新の学生寮を取材しています。
「これが学生寮!?」
と思うような、羨ましい環境です。

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【学生による環境サミット。】
■「学生環境サミット:『洞爺湖』への意見書採択し閉幕」(毎日jp)

京都市の同志社大学で開かれていた「世界学生環境サミットin京都」(実行委員会主催、毎日新聞社共催)は22日、7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)に参加する各国首脳あての「学生意見書~京都発! 未来へ向けての可能性」を採択して、閉幕した。
採択式には日本、米国、EU(欧州連合)、アジアなど14カ国24大学の学生ら約400人が参加。意見書は、環境問題の解決に向け行動する「世界学生環境ネットワークの創設」を宣言し、来日する首脳らに「世界中で環境問題に取り組む人々を支援すること」を求めている。
(上記記事より)

■世界学生環境サミットin京都

同志社大学、同志社エコプロジェクト、京都府、京と地球の共生府民会が構成する実行委員会によって主催された、「世界学生環境サミットin京都」。
ケンブリッジ大学やスタンフォード大学、オベリン・カレッジ、復旦大学、延世大学など、各国をリードする大学が参加し、無事、成功に終わったようです。

学生が中心となり、大学や自治体がそれをサポートするという形で運営が行われている模様。
学生にとっても、社会にとっても、良い取り組みだと思います。

【大学で学術雑誌が買えない?】
■「大学が学術雑誌買えない」(読売オンライン)

学術雑誌の価格が高騰して、大学が購入を取りやめる事態も起きている。
「大学や独立行政法人が悲鳴を上げている。重要な情報源が維持できない」。4月10日の総合科学技術会議で、金沢一郎・日本学術会議会長は福田首相に窮状を訴えた。
山口大の図書館は昨年末、雑誌を扱う出版社シュプリンガーとの購読契約を打ち切った。千数百万円の経費削減となったが、約1300の電子雑誌が読めなくなり、研究者の個人購読に切り替えた。理系、文系を問わず、過去の成果や最新の動向を知ることは研究の第一歩。学術雑誌が読めなくなれば、その基盤が損なわれかねない。丸本卓哉学長は「買いたくても買えない。研究の根幹にかかわる」と危機感を募らせる。
他大学も、共同で複数の雑誌を割安な価格で一括購読したり、独自に蓄積した論文をホームページで無料公開したりするなどの対策を取る。しかし、研究費や論文の数が増える一方で、大学の図書館の予算は削減傾向にある。雑誌の価格は毎年5~8%のペースで値上がりを続けており、努力だけでは限界がある。
値上がりは、紙媒体と電子媒体の両方を発行することなどで出版社の製作コストが上昇しているのが原因。研究の分野が拡大して、雑誌の数も増え、現在では2000以上の出版社が2万以上の雑誌を発行する。雑誌の購入費用は膨らみ、2004年度に日本の大学の外国雑誌購入の費用は334億円に上った。
国立大学図書館協会は4月、「厳しい財政状況下、努力も限界。学術雑誌の利用環境が崩壊する」という声明を出した。国立大学協会も2月、「一大学の問題ではない。国全体で検討してほしい」と文部科学省に要望した。
一方、出版社側は「我々が勝手に雑誌を創刊しているのではなく、研究者が新分野を開拓し、論文を量産している」(大手出版社幹部)と強気だ。皮肉にも、研究者は論文を投稿して雑誌の権威と価格を支えている側面もある。
(上記記事より)

このニュースは、既に目にした方も多いんじゃないでしょうか。
大学が学術雑誌を購読できないというのは、かなり危機的な状況。
研究活動に深刻な影響が出てしまいます。

出版社の製作コスト上昇は、学術雑誌の値上がりの、大きな要因の一つではあるでしょう。
ただ、学術雑誌を購読しないと大学の研究が成り立たない、ということは周知の事実ですから、何もしなくても安定した数が確実に購読されるわけで、出版社側に値下げをする理由が生まれないということも背景にはありそうです。

研究者の側で少しでもコストを抑えられる出版社を探したり、出版社を介さなくてもいい代替手段を探すなどして、出版社側に競争の圧力をかけるのも一手かな、という気はしますが、いかがでしょうか。

【学費が成績によって変動?】
■「成績いかんで学費が変わる ?」(swissinfo.ch)

「成績によって学費を変えてはどうか」。経済界の上部団体「エコノミースイス」が出したこのアイデアに大学関係者はあきれて首を振るばかり。学生はそれよりも、奨学金に関する議論の開始を待ち望んでいる。
「エコノミースイスの提案は議論のベースにすらならない。これは彼らが時折起こす挑発そのもの」と怒りをあらわにするのは、ローザンヌ大学学生組合連合の共同会長を務めるブノワ・ガイヤールさんだ。
フリブール大学のテレビ局「ユニフラッシュ ( Uniflash ) 」が行った簡単なアンケート調査でも、学生組合の意見と同じく、成績によって学費を変えるのは不公平だという結果が出ている。学費を一律としないのであれば、成績ではなく親の収入を基準とするべきだという意見だ。
このように考えているのは学生だけではない。フリブール大学のダニエル・シェンマン事務局長も「エコノミースイス ( Economiesuisse ) 」のアイデアに対し、「プレミアムをもてはやす制度に対する盲信」であり、さらに「民間経済の中ですらもまともに機能していないメカニズム」だと指摘する。
スイス大学学長会議はこの提案についてまだ何もコメントを出していないが、「これまで耳にしたところでは、これを妙案と受け取った人は誰もいないようだ」とシェンマン氏は言う。
しかも、これによって増加する収入は大学にとってほとんど取るに足りないもの。フリブール大学に納められる学費は収入全体の1割にも満たないのだ。ガイヤールさんはむしろ、大学に通えなくなる学生の数が増え、収入の増加には至らないと確信している。

スイスで起きている議論です。
成績によって学費の額を変える仕組みを導入してはどうか、という「エコノミースイス」の案が、各所から批判を浴びている模様。
詳細につきましては、リンク元の記事をご覧下さい。

成績次第で奨学金を受け取り、学費の負担を(事実上)軽減できる仕組みは世界各国にあるわけですが、ベースとなる学費自体の値段を高めることについては、低所得者層の進学を阻むということで、やはり反対の声が強いようです。
確かに、成績によって学費が変動する仕組みですと、裕福な家庭で親が十分に教育投資をしていた学生ほど学費が安くなり、逆に進学によって社会的な不利を脱しようとしている学生ほど学費が高くなる、という事態が発生する可能性もありそうです。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。