平成20年度「グローバルCOEプログラム」採択拠点が発表

マイスターです。

「21世紀COEプログラム」。
大学を紹介するwebサイトやパンフレットなどに、しばしば登場する言葉です。

これは、「我が国の大学に世界最高水準の研究教育拠点を形成し、研究水準の向上と世界をリードする創造的な人材育成を図るため、重点的な支援を行うことを通じて、国際競争力のある個性輝く大学づくりを推進する」ことを目的として始められた、競争的補助金の仕組み。採択された拠点には、1件当たり、平均1億 3000万円程度の補助金が、原則として5年間、継続的に交付されることになっています。

平成14年度から16年度までの3年間で、採択された研究拠点は計274拠点。
本来5年間の事業計画をもって拠点形成を行うことを前提としておりましたので、その成果は徐々に明らかになってきていると思います。
(※採択2年後の時点で、どの拠点も一度、中間評価を受けてはいます)

このCOEプログラム、そう簡単には採択されない「狭き門」でした。
したがって、選ばれた大学にはその補助金交付額もさることながら、イメージアップという点でも大いにメリットがあったようです。
「1拠点だけCOEに選ばれた大学」なんて、webサイトを見てみると、たいていどこでもトップページに誇らしげなバナーリンクが貼ってあります。
(実際に、受験生増加に寄与したかどうかは知りませんが)

そんな21世紀COEプログラムの採択も平成16年度で終わり、昨年から「ポスト21世紀COE」として新たな競争的補助金がスタートしました。その名も、「グローバルCOEプログラム」です。

21世紀COEは元々、「世界最高水準の研究教育拠点(Center Of Excellence)を形成する」ために、選び抜かれたトップレベルの研究拠点に大きな額を投資するという性格のものでした。グローバルCOEプログラムでは採択数が半分に、そして投資額が二倍になり、その点がさらに強化されています。
第1回となる平成19年度は、28大学から63件の研究が採用されました。

そして、第2回になる平成20年度「グローバルCOEプログラム」の採択拠点が本日発表されたようです。

■「平成20年度「グローバルCOEプログラム」の採択拠点の決定について」(文部科学省)
■「グローバルCOEプログラム」(日本学術振興会)

今年度は315件の申請に対し、国立大55件、私立大13件の計68件が選ばれた。申請数に対する採択率は21.6%で、国立大26.1%、私立大16.3%。公立大は24件の申請があったが、採択はゼロだった。
(「先端研究拠点づくり支援「COE」、29大学68件を採択」(NIKKEI NET)記事より)

というわけで、国立大学が8割を占め、公立大学はゼロという結果。
前身の21世紀COEプログラムの時から、採択件数においては国立大学が圧倒的な強さを見せつけていましたが、今回もそのような結果になりました。
ちなみに申請数自体も、国立大学211件、公立大学24件、私立大学80件で、国立大学が群を抜いて多く、申請に対する「採択率」も国立大学が26.1%で、私立大学の16.3%を大きく上回っています。

今回、申請の対象となったのは<医学系>、<数学、物理学、地球科学>、<機械、土木、建築、その他工学>、<社会科学>、<学際、複合、新領域>の5分野。
それぞれについての国公私立大学の比率が↓こちらにまとめられていますが、各分野とも国立大学がほとんどを占める中、<機械、土木、建築、その他工学>では私立大学が35.71%(14件中5件)と健闘しています。

■「平成20年度 グローバルCOEプログラム 分野別国公私別申請・採択状況」(文部科学省)

以下、平成20年度のグローバルCOEプログラム採択拠点数をまとめました。

<平成20年度 グローバルCOEプログラム採択拠点数>
【国立大学(55件)】
東京大学 10
東北大学 7 
京都大学 6 
大阪大学 4 
北海道大学 3 
東京工業大学 3
名古屋大学 3
千葉大学 2
一橋大学 2
神戸大学 2
九州大学 2
熊本大学 2
帯広畜産大学 1
山形大学 1
東京医科歯科大学 1
横浜国立大学 1
山梨大学 1
鳥取大学 1
愛媛大学 1
長崎大学 1
政策研究大学院大学 1
【私立大学(13件)】
慶應義塾大学 4 
早稲田大学 3 
玉川大学 1
東京工芸大学 1
東京理科大学 1
明治大学 1
立命館大学 1
近畿大学 1
(文科省発表データより)

各地域のメディアが、地元の大学の採択を早くも報じています。

■「長崎大の熱帯病・感染症研究 グローバルCOEに 文科省採択」(西日本新聞)

■「エイズ制圧など熊大の2件採択 文科省 」(くまにちコム)

■「グローバルCOE 鳥取大の研究採択」(山陰中央新報)

■「文科省COEに愛媛大 地球深部研究で」(愛媛新聞社ONLINE)

地元の国立大学の活躍は、やはり住民にとっても大きな関心事だということでしょうか。

いわゆる「研究大学」として実績を上げている大学に、さらに競争的資金として大きな研究費が投入されるという構図が、ここ数年間の政策でかなり明確になってきたように思われます。
研究力を評価するCOEと、教育力を評価するGP(Good Practice)の使い分けで大学ごとの個性を際だたせようという流れも加速してきているように感じます。

もちろん研究活動はどこの大学でも大事ですが、先端的な研究や大規模な研究に関しては、今後は今まで以上に、一部の限られた大学に集中していくのかも知れません。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。