大学生の食生活を改善させる取り組み

マイスターです。

大学生の「食」を巡る取り組みが、学食を中心に行われています。
本ブログでも、これまでいくつかの事例をご紹介してきました。

(過去の関連記事)
■「(ニュースクリップ[-1/20]より )『食料自給率、こんなに低いの? 東北大学食に特別メニュー』」
■「(ニュースクリップ[-4/13]より) 『1食で20円、途上国に寄付。大妻女子大の学食でTFT』」
■「『福沢諭吉のおすすめランチ』 慶應義塾大学学食に登場」

最近も、いくつかニュースがありましたので、まとめてご紹介します。

【今日の大学関連ニュース】
■「朝食 100円でしっかり食べて 京都橘大 生協食堂が提供」(京都新聞)

学生に朝ご飯をしっかり食べてもらおうと、京都市山科区の京都橘大で食堂を運営する京都橘学園生協が、100円で朝食を提供している。同生協は「1人暮らしなどで朝食を取らなくなる学生が多い。習慣を身につけるきっかけにしてほしい」と期待している。
食堂「クリスタルカフェ」で12日から始めた。時間は、平日の午前8時から9時半まで。献立は和食中心で、ごはんとみそ汁に、魚などの主菜、青菜、サラダが付く。野菜のほとんどは山科区の農家から仕入れている。350円程度になるといい、不足分は同生協が負担している。
全国大学生協連(東京都)が昨年実施した調査では、約3割の学生が朝食抜きの生活をしていた。京都橘学園生協によると、昨年度の同大学の新入生対象のアンケートでは、全国平均よりも多い約半数に上った。
(上記記事より)

■「アサメシ100円ナリ 学生の食改善を 江別の6大学・短大企画」(北海道新聞)

江別市内の四大学と二短大が朝食の大切さを学生に伝えるため、十三日から十五日までの三日間、ワンコイン(百円)で朝食を食べられる「1COIN朝食週間」を行う。各大学で朝食を食べない学生が増加していることを受け、「春の食生活改善運動」として、初めて共同企画した。
(略)メニューは、サバの塩焼きや豆腐ハンバーグなどを主菜に、ご飯、みそ汁がつく和食が中心で、地産地消の取り組みも踏まえ、JA道央の江別市水稲生産部会が江別産米「瑞穂のしずく」三百八十キロを提供した。一食の原価は三百-四百円。赤字分は各大学や同窓会などが負担する。
酪農大のアンケートによると、朝食を毎日食べる学生は五割程度という。
(上記記事より)

京都と北海道の大学に、「100円朝食」が登場です。

どちらも期間限定の取り組み。
さすがに100円では大赤字らしく、その分は生協や大学、同窓会などが負担。
それでもこういった計画を実施するのは、学生に、まず朝食の習慣を付けてもらうことが重要だと考えているからでしょう。
朝食を食べない学生が少なくないという調査結果がベースになっています。

北海道の取り組みは、6校の共同企画。
JAから地元産のコメが提供されるなど、地元を挙げてのキャンペーンです。
魚や野菜を摂れるように工夫されたメニューで、学生にも好評のようです。

■「大学食堂も健康志向 広島」(中国新聞)

広島市内の大学食堂で、健康志向の朝食や新メニューが登場している。1人暮らしなどで偏食になりがちな学生に配慮するとともに、学食の充実を学生募集の「隠し味」にしたい、との狙いもある。
安田女子大(安佐南区)は、4月から朝食を始めた。さわらの西京焼き、インゲンのいため煮、もずくなど一汁三菜が200円。3年の杉菜摘さん (20)は「安いし、ゆっくり食べられる」と満足していた。津川法史学生課長は「カロリーは500未満に抑え、1カ月先までの献立を掲示した」と、利用促進策も練った。
広島経済大(安佐南区)では、食生活調査で3人のうち2人が「1日に1回も野菜を食べない」と回答。事態を重くみた大学と学生有志がメニュー改善会議を発足させた。4月から月2回で「健康定食」を開始した。
(上記記事より)

広島市の安田女子大学でも、学食での朝食提供をスタート。
こちらは期間限定ではなく、継続的な取り組みのようです。

一汁三菜で、カロリーが高すぎないようにも配慮。女子大の学生さんには嬉しい取り組みでしょう。
「1カ月先までの献立を掲示」とありますが、つまりこれは、毎日違うメニューが出るということでしょうか。いいですね。
200円という価格設定も良心的で、学生さんがうらやましいです。

広島経済大学の「健康定食」は、月2回の登場だそうです。
提供日を限定するということは、上述した2つの事例と同様、赤字のメニューなのかなと思いますが、やはり食生活調査の結果を重く見たとのこと。

どの大学も、学生の食生活改善のために、学食と協力して手を打ってきています。
昔は食事付きの下宿や寮などに暮らす学生も少なくなかったのでしょうが、現在はかなりの少数派でしょう。
規則正しい食事や栄養バランスの取り方など、大学が学生の健康維持のために、積極的に働きかけることはもはや、当たり前になってきているようです。

■「新社会人、新入生に『朝食のススメ』 北陸農政局、企業や大学を訪問」(北國新聞)

北陸農政局は、新社会人や大学、短大一年生に朝食の大切さを呼び掛けるため、職員が県内の企業や大学、短大を個別訪問する活動に乗り出した。朝食を食べないと仕事や勉強の能率が低下することなどが指摘されている。農政局は活動を通して生活が不規則になりがちな新社会人や学生への「食育」を進め、米の消費拡大にもつなげたい考えである。
計画では、農政局の職員が五月末まで、県内の企業百社以上とすべての大学・短大を個別訪問する。
 「デキる人は、毎朝しっかり摂(と)っている」をキャッチフレーズとするポスターを配布し、規則正しい朝食が勉強や仕事の能率をアップさせることを説く。
(上記記事より)

こちらも、朝食の大切さを訴える活動。
農政局の担当者が大学や短大を個別訪問されるそうです。

もっとも↓配布されるポスターの図案を見る限り、こちらは「米の消費拡大にもつなげたい」という点の方がメインなんじゃないかという気がしないでもありません(もちろん、内容的には学生の生活にプラスなのでしょうが)。

■「めざましごはん」(農林水産省)

■「バランス良い食事紹介 鳴教大、一人暮らしの新入生へ 」(徳島新聞Web)

一人暮らしを始めたばかりの新入生に、バランスの良い食生活を送ってもらおうと、鳴門教育大学三年の山田亜由子さん(20)=鳴門市鳴門町高島=が、大学図書館でパネル展を開いている。専攻する家庭科教育の知識を生かし、必要な栄養素を分かりやすく解説している。
厚生労働省の「食事バランスガイド」を参考にして作ったパネルは計十四枚。食品を主食と主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物の五つに分類し、年齢、男女別で一日にどれだけ食べればいいか示した。
一人暮らしの学生は、外食や弁当が多くなりがち。このため、朝食を欠かさず、野菜をしっかりとるよう特に注意を呼び掛けている。
五分類した食品の、それぞれの摂取量が簡単につかめる逆三角形の図も紹介。要素別にコマ割りしてあり、食べた分だけ塗れば、その日の不足分が一目で分かる。自分でも手軽に作れる。
山田さんは、家庭科教育コース専攻。不規則な食事を続けて体調を崩したことがあり、パネル展を企画した。三十日まで。
(上記記事より)

最後はこちら。
一人暮らしを始めた新入生の皆さんの参考になるようにという展示の取り組みで、家庭科教育コース専攻の学生さんが行っているそうです。

ご自身の専門分野にもとづいての取り組み。
教育大学ですから、ここに通っている学生の多くは教育者になるわけで、そんな皆さんがこうして正しい食事の在り方を学び合うことには、大きな意義があると思います。

前述した広島経済大学の「健康定食」にも、学生の有志が関わっているそうです。
最終的には、食というのは本人が自分で管理・改善しなければ変わりません。
そういう意味でも、学生自身の視点・意見が入ることは重要です。

そんなわけで、大学キャンパスで行われている、学生の食生活改善のための取り組みをいくつかご紹介しました。

とはいうものの、実のところ食生活に関しては、マイスター自身も含め、実は大人も偉そうなことは言えません。
こういった取り組みの成果は、ぜひ大学として、学外にも広く発信していただきたいなと思います。
食の問題については栄養の他にも色々な要素が絡んできますが、社会全体で知識を共有していくことがまずは改善の第一歩です。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。