米ルイジアナ工科大で銃撃事件

マイスターです。

以前、海外の教育関係者の講演を聞きに行ったことがありました。
革新的な学校運営の事例や、興味深いカリキュラムなど、刺激的な話があった後、質疑応答の場面。
「学校にとって、一番重要なのは何でしょう?」と、会場から質問が飛びました。

即座に返ってきた答えは、

「学生の安全を守ることだ」

でした。

それまでの講演の流れから、もっと違った答えが返ってくるものと考えていた人が、そのときの会場には多かったようです。
でも確かに、これに勝る重要事項などありはしません。

特にアメリカでは、日本より銃が手に入りやすい環境にあることもあり、学校の安全確保がより深刻なテーマであるようです。
マイケル・ムーア監督の『ボウリング・フォー・コロンバイン』は、コロンバイン高校で起きた銃乱射事件を扱ったドキュメンタリー映画として有名ですが、学校関係者の方々は、いつまたあのような事件が起きないとも限らない、という意識をもっておられるのかも知れません。

【今日の大学関連ニュース】
■「女子学生が教室で2人射殺し自殺 米ルイジアナ工科大」(CNN日本版)

米ルイジアナ州バトンルージュにあるルイジアナ工科大学で8日、23歳の女子学生が教室内で短銃を発砲し、女性2人を射殺した後、自殺した。
警察によると、午前8時36分(日本時間午後11時36分)に通報があり、駆けつけた警察官が2階の教室で3人の遺体を見つけた。21歳と26歳の被害者はイスに座ったまま撃たれていたという。
犯行の動機は不明。授業は緊急医療に関するもので、20人程度の学生が教室内にいた。教室以外での発砲はなかったとみられる。
調べによると、容疑者は犯行前、教室に入ってきて講師と言葉を交わし、出ていった。この後、別の出口から再度教室に入り、いきなり6発撃ったという。弾丸を装てんした後、自分の頭部を撃ち抜いていた。
大学関係者が教室に急行した際、他の学生がパニック状態になって逃げようとしていたという。
事件があったのは同大がバトンルージュに持つキャンパスのうちの一つ 同大は主に社会人向けのコミュニティーカレッジで、看護、幼児教育、製図、溶接など職業訓練コースがある。大学はこの日のすべての授業を中止。カウンセラーが、学生たちの心理面のケアにあたっている。
(上記記事より)

アメリカの大学内で銃乱射事件が発生し、自殺した犯人を含め、3名の女子学生が命を落とす結果となりました。
心から哀悼の意を表します。

あまりにも突然に、理不尽に未来を奪われた2名の学生。
そして、何があったのかはわかりませんが、およそ考え得る最悪の選択で、やはり未来を投げ出してしまった犯人の学生。
あまりにも多くのものが、ほんのわずかの時間に失われてしまいました。

事件の詳細はこれからわかってくると思いますが、いずれにせよ、失われた未来は二度と戻っては来ません。
世の中に、学校で起きる殺人事件ほど、悲しい出来事があるでしょうか。

マイスターには何もできませんが、一刻も早く事件の詳細が判明し、キャンパスに残された方々が安心して学べる状態に戻れるようになることを願うばかりです。

この報道を目にした瞬間、多くの方々が、昨年4月に起きたバージニア工科大学の乱射事件を思い出されたのではないかと思います。
コロンバイン高校を上回り、同一犯による銃器を使った大量殺人としてはアメリカでも史上最悪の、32名の被害者を出してしまった事件です。

■Virginia Tech

上記の大学公式webサイトをご覧ください。
画面の右上に、「We Remember」という黒いリボンがついているのがおわかりでしょうか。
事件後から今に至るまで、ずっとサイトに貼られている、追悼のメッセージです。

このリボンをクリックすると、事件に関するページに飛びます。
起きてしまった事件に関する情報を、バージニア工科大学はここで公開しているのです。

■「We Remember」(Virginia Tech)

私たちは忘れない。

これは、「犠牲になった人々のことを忘れない」という追悼の言葉であると同時に、「二度と同じような悲劇を生まないように努力する」という宣言でもあるのかなと、マイスターは思います。

バージニア工科大学の事件では、大学側の対応のまずさが、事件の被害を拡大させてしまったと言われています。

二度の銃撃のうち、最初の発砲が起きてから、大学が学生達に警告のメールを送信するまでに2時間かかりました。その上、大学側は特にキャンパス閉鎖などの措置もとらず、授業も通常通り実施。その結果、多くの学生達がそのメールをチェックする頃には、第二の事件が起きていたのです。
最初の事件が起きてからの間に、大学当局が適切な対応を取っていればそれ以上の被害は食い止められたのではないか、と見られています。

また大学側の対応によっては、そもそもこのような事件を起こさせずに済んだかも知れない、という指摘もありました。

■「Report of the Virginia Tech Review Panel(英語)」(Official Site of the Governor of Virginia)

上記は、事件に関するバージニア州調査委員会の報告書です。
これによると、犯人となってしまった学生が以前から異常な行動を見せていたことを大学や警察当局は認知しており、にもかかわらずプライバシー保護を理由に、本人への対応や家族への通報を怠っていたとのことです。
しかし、情報を収集して対応するためのメカニズムが、大学になかったのです。

バージニア工科大学の事件が起きた後、アメリカでは学校での銃撃事件が相次いでいます。
CNN英語版には、こんなテーマまで用意されてしまっているくらいです。

しかしその中には、適切な対応を行い、被害の拡大を防いだ事例も見られます。
例えば、9月にデラウェア州立大学で起きた発砲事件では、銃声がした深夜、大学のスタッフ達があらゆる手段で情報を発信し、学生寮のドアを叩いて学生を起こしてまわったそうです。

恐怖とパニックに支配される夜のキャンパスで、スタッフや学生達が迅速な行動を取れたのは、バージニア工科大学という前例があったからです。

Less than an hour after the police received a call about the shooting around 1 a.m., administrators met and sent warnings by flier, Web site and phone and in person, knocking on doors in dorms. The lesson they learned from Virginia Tech, university spokesman Carlos Holmes said, was: “Don’t wait.”
(略)In the chaos, he saw Pugh on the ground. He saw students pick Pugh up and carry him to a dormitory. “I just wanted to stay low,” Robinson said, “get out of the way.”
Minutes after the shooting, he heard a knock at the door. He immediately thought of the shootings at Virginia Tech, and he refused to open the door until he learned that the person outside was his hall adviser.
(「Quick Lockdown After College Shooting」(washingtonpost.com)より)

失った未来は取り戻せないけれど、それを他の未来のために活かすことはできるのです。

今回、事件が起きてしまったルイジアナ工科大学。
正直、現時点の報道だけを見る限りでは、「一体どのような方法で防ぎ得ただろうか」というくらいの突発的な犯行であるように思えます。
しかしひょっとするとバージニア工科大学のケースのように、以前から何らかの兆候があったのかもわかりません。

この悲しい犠牲も次への教訓にできるよう、大学関係者にはこれから事件の背景を含め、詳細を明らかにしていって欲しいと思います。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

2 件のコメント

  • 「あ」さま
    こんにちは、マイスターです。
    コメントくださいまして、ありがとうございました。
    コメントを拝読し、ちょっと調べてみて、青くなりました。「ご冥福をお祈りする」というのは、亡くなられた後の幸福をお祈りする言葉とばかり思っていたのですが、違う意味合いを持っていたのですね。
    教えてくださいまして、ありがとうございました。
    先ほど、本文を少し修正いたしました。こちらでいかがでしょうか?
    また、何かお気づきの点がございましたら、ご指摘いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。