大学、宇宙に挑戦

マイスターです。

「ロボコン」、「鳥人間」、「エコカー」etc…

工科系の大学には、工科系ならではの取り組みがたくさんあります。
創造力と技術力を使って、学生がものづくりに挑戦する様子は、見ている人間の胸を打つものがあります。

そんな工科系の大学でもっとも熱いプロジェクト。
それは……宇宙への挑戦です。

今、様々な大学が人工衛星や探査機の開発・運用などに挑戦しているのです。

【今日の大学関連ニュース】
■「上がれ!大学発人工衛星 東北大・香川大・東大」(Asahi.com)

学生たちが衛星を手作りして宇宙を目指す取り組みが盛んだ。宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)が今秋以降に予定している大型衛星の打ち上げに、東北大、香川大、東京大などの小型衛星が相乗りする。大学側は「本番を経験することで問題解決やコミュニケーションの能力などが養える」と教育効果に期待。宇宙機構も宇宙航空分野への関心を高め人材を育てることを狙って、支援を強めている。
宇宙機構は、H2Aロケットで打ち上げる温室効果ガス観測技術衛星のすき間に載せる小型衛星を公募。打ち上げ費用は無料で21件の応募があり、3大学を含む6件が選ばれた。
東北大の衛星は、工学部の吉田和哉教授と理学部の高橋幸弘講師の研究室が共同開発している。
50センチ立方ほどで重さは約50キロ。軌道上で長さ約1メートルのアンテナを伸ばしてバランスをとる。雷が発生する際にその上空で起こる謎の発光現象を上から観測する世界初の衛星だ。
製作期間は2年で、費用は約1億円。プロジェクトマネジャーの氏家恵理子さんは修士2年で、山形大を卒業後、「衛星を作りたい」と移ってきた。学生のまとめ役や部品を担当する企業との交渉役として睡眠時間3~4時間の毎日だが、「わからないことは徹底的に調べ、やる前に手順を考えることが身についた」。吉田教授も「タイムスケジュールの厳しさ、問題解決や調整の能力など、社会で必要な力も養える」と言う。
香川大では工学部の能見公博准教授の研究室が、「食パンサイズ」の衛星2個をつないだユニークな親子型衛星を開発中だ。
重さ4キロの親と3キロの子を長さ5メートルのひもでつなぎ、ひもの長さを伸び縮みさせるなどして子の位置や向きを制御する。この技術を応用すれば国際宇宙ステーション(親衛星)につないだ子衛星でステーションの損傷を検査したり、衛星を回収したりすることもできるという。
地域との結びつきも重視。部品の製作などで地元企業の協力を得て、費用を1000万円程度に抑えた。地元の小学校で衛星を紹介するイベントも開いている。
修士2年の高木洋平さんは設計を担当。「大学では設計の基本的なことしか学ばない。発注する図面を作るのは初めてなので、実践的な勉強になる」と目を輝かす。
初挑戦の東北大と香川大に対し、3回目となるのが東大工学部の中須賀真一教授の研究室だ。過去2回はロシアのロケットで打ち上げたため数百万円を支払ったが、今回は不要で、衛星の重さを1キロから8キロに大型化させた。宇宙で望遠鏡を広げて地球を撮影する。製作費は1000万~2000万円だ。
中須賀教授は「大学院の教育で要求されるようになってきたリーダーシップや忍耐力、コミュニケーション能力なども鍛えることができる」と言う。
大学の衛星やロケットづくりを支援するNPO法人「大学宇宙工学コンソーシアム」の参加大学は年々増え、現在は約40。当初からかかわる中須賀教授は「宇宙があこがれだった時代から、自分たちが手を出せる時代に変わってきたということ。学生の人気も高いが、大学だけではできないことも多いので、宇宙機構にはより一層の支援をお願いしたい」と話す。
(上記記事より)

自らの手で設計、制作した人工衛星を、宇宙へ打ち上げ。
何とも夢のあるプロジェクトではないですか。

単にロマンがあるというだけではなく、工学教育としても優れた取り組みのようです。

どういう機能を持つ衛星を作るのかは自由ですから、様々なアイディアを試せるでしょう。
打ち上げの際のショックに耐え、宇宙という極限環境で動作するものにするためには、ものづくりのための様々な知識や技術を動員する必要がありそうです。

あと打ち上げにはコストがかかるでしょうから、いかにコンパクトにするか、という点も勝負どころだと思います。

実際、どの大学も、コンパクトでコストを抑えた人工衛星に挑戦しているようです。
打ち上げのコストが抑えられれば、その分、打ち上げの機会を多く得ることができるでしょうから、新しい大胆な取り組みに挑戦することもできますよね。
巨大でコストがかかる衛星の開発は国に任せて、大学は小型の衛星を開発するという役割分担は、良いかもしれませんね。

そして何より、人工衛星は絶対に一人では作れませんし、大学だけで打ち上げることもできません。
プロジェクトマネジメントの勉強にもなることでしょう。

そして何より、楽しそう!
これはいい取り組みだと思います。

「かぐや」で盛り上がった月探査機も、大学のプロジェクトになっています。

■「『かぐや』に続け 6大学の学生、月探査機計画」(Asahi.com)

「かぐや」に続け――。東京大や大阪府立大、九州大など六つの大学の学生らが月に探査機を送る計画を検討している。欧米の学生らも米航空宇宙局(NASA)などの支援で月探査を準備しており、数年後には世界の学生らによる「月探査ラッシュ」が見られるかもしれない。
工学系の学生らの小型衛星づくりは世界的な流れ。日本も03年に東京大と東工大が、それぞれ質量約1キロの超小型衛星を打ち上げている。ただ、月まで探査機を飛ばした例は過去にない。
六つの大学の学生らが検討している探査機は、質量100キロほど。ほかの衛星を載せるH2Aロケットなどに相乗りして打ち上げる。月を周回しながら、月面や地球の撮影などをする。
開発費は数千万~1億円。まとめ役の東京大工学系研究科1年の草川靖大さん(23)は「技術的には欧米のものに負けていない」と話す。
(上記記事より)

大学のロゴが入った探査機が月に降り立ち、走り回る様子は、想像するだけですごそうです。
人工衛星よりも実現の難易度は高そうですが、挑戦に値するテーマでしょう。

しかし以前は、宇宙開発というのはNASAのような機関が独占的に行っているようなイメージがありましたが、いまや学生のプロジェクトになりつつあるのですね。

将来は、有人宇宙飛行に挑戦する大学なんかも出てきたりするのでしょうか……うーむ。
「学生初の宇宙飛行士」なんて人が、いつかは誕生するのかも知れません。

もうひとつ、こちらもあわせてご紹介。

■「高専生の衛星打ち上げを、みんなで応援」(Asahi.com)

東京都立産業技術高専(荒川キャンパス)の学生がつくる超小型人工衛星を支援しようと「荒川区から衛星打ち上げを応援する会」が旗揚げした。世界最年少の衛星開発チームに区内の製造業も協力するプロジェクトだが、打ち上げや膨大な実験にかかる費用などの課題もある。区全体から資金を募ると同時に、衛星の愛称や機体に貼る区民らのメッセージも募集、荒川発の宇宙への夢を後押しする。
来夏に打ち上げ予定のH2Aロケットに搭載される同校の衛星(開発コードKKS―1)は、重さ2.5キロ、一辺15センチの立方体。火薬による推進装置やモーターでの姿勢制御技術は超小型衛星では初の試みだという。
15歳から21歳までの学生14人と講師4人の同好会はこの夏、夏休みを返上して研究開発を進めてきた。
秋葉原で購入した部品にアルミの駆体は区内の金型工場が製作。現在は試作機が完成、来年の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の最終審査に向け、試験や設計変更が続く。
ところが、種子島での積み込み作業をはじめ国内数カ所での熱真空試験や無重力試験に数百万円かかり、打ち上げの際の学生の旅費も出ない。「自分たちの夢に立ち会う機会を与えたい」。東京商工会議所荒川支部(竹内一会長)と区が音頭を取った。
募金は区内の企業や自治会などの団体から一口1万円、区民ら個人は一口大人500円、学生200円。あわせて手書きで宇宙へのメッセージや絵を募集、約2000枚のマイクロフィルムにして内部に張る。愛称の命名者の名前も刻印する予定だ。問い合わせは同会事務局の同商議所荒川支部(03・3803・0538)へ。
(上記記事より)

こちらは、高専のメンバーによるプロジェクト。
これも、ちょっと読んだだけで応援したくなるような挑戦ですが、現在、資金不足により、募金を集めているところのようです。
荒川区民以外の方が募金して良いのかどうかわかりませんが、ご関心を持たれた方は、ぜひお問い合わせしてみてください。

そんなわけで、宇宙に挑戦する方々の取り組みをいくつかご紹介しました。

学生達の夢が、無事に打ち上がっていくといいですね。

以上、マイスターでした。

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★おまけ (1)

大学はがんばっていますが、文科省は、衛星で失敗した模様です。

■「教育情報衛星ネット:廃止へ…40億円無駄に 文科省」(毎日.jp)

★おまけ (2)

今回、記事で取り上げられていた東京大学・中須賀研究室の取り組みの一つを、こちらでレポートしていたりします。
ご興味のある方はどうぞ。

■「スーパープログラム・ブログ~日本一受けたい授業~」

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。