「良問」をめざして

マイスターです。

センター試験も間近に迫り、これからいよいよ一般入試のシーズンに突入しますね。

ちなみに文科省の調べによると、平成19年度の入試を経て私立大学に入学したのは476,823人。
そのうち「一般選抜(1〜3月頃に行われる筆記型の入試、いわゆる「一般入試」)」で入学したのは、236,669人。計算すると、入学者全体のおよそ49.6%にしかなりません。

(参考)
■「平成19年度国公私立大学入学者選抜実施状況(PDF)」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/09/07092611/001.pdf

そう、私立大学に関して言えば、今や入学者の半分以上は、推薦やAO入試など「一般入試以外の方法」で選抜された学生なのです。

2月のアタマ頃にTVニュースのアナウンサーが「いよいよこれから大学受験が本格化してきます」と言っている頃には、実は半分程度の学生が既に、どこかしらの行き先を確保しているという時代なのですね。
メディアはあんまり指摘しませんが、大学入試はすっかり変わってきているのです。

……とは言え、問題を解かせて学力を測る筆記試験も、大切です。
じっくりと課題に向き合わせ、知識や思考力を問うことでしか、得られない人材というものはあるでしょう。
今後も、一般入試がまったく無くなるわけではないと思います。

ただしそのためには、「適切に学力を問うことができる問題である」ということが前提になります。

そうでないと、一般入試をやる意義が薄れてしまいます。
でもこれ、簡単ではありません。
「自分の大学が行っている入学試験は、毎年、適切に学力を問えている」なんて胸を張って言える人が、果たして大学にどのくらいいるでしょうか。

というわけで、↓こんな話題をご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「大学が作った問題、高校教員が『良否』」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080104us41.htm
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入試問題を高校教員に批評してもらう大学がある。

「この大学の読解問題は文章をちゃんと読めば解けるように作られています」

受験生に、過去の入試問題を分析してみせる予備校の国語講師は、問題の分かりやすさをさりげなく評価した。場所は予備校ではなく、産業能率大学自由が丘キャンパス(東京都世田谷区)だ。昨年11月17日、大学見学会の一環で開かれた入試対策講座の場だった。

大学見学会で受験生に入試問題を手ほどきする大学は今や珍しくない。だが、同大ほど、高校の教員の声を反映させて練り上げられてきた入試問題は、あまりないかもしれない。

神奈川県伊勢原市にメーンキャンパスがある同大は、1999年から毎年5月ごろ、その年に行われた4種類の一般入試問題について、英語、国語、数学、地理歴史、公民の各教科ごとに2人ずつ、地元の高校教員らを集めて批評してもらっている。

奇をてらわず、重箱の隅をつつくような問題ではなく、どの教科書にも出ている範囲で入試問題を作りたい。それなら実際に授業をしている高校の教員に意見を聞こう――。そうした考えで始まった。

産能大は、経営、情報マネジメントの2学部で、学生数約2800人の小さな大学。全入時代を迎えて、基礎学力のある学生の確保のために、良問作りにこだわっている。

(上記記事より)

詳細は、リンク元をご覧ください。

この記事では産能大学が取り上げられていますが、他にも同様の取り組みを行っているところはあるかも知れませんん。

冒頭で、AOや推薦が拡大している旨をご紹介しましたが、一般入試の在り方も以前とは違ってきています。
受験機会は増え、受験スタイルや選択科目も多様化しました。大学の教員(特に教養課程の教員)は、何パターンもの入試問題を作成するために、多大な時間と労力を獲られるようになってきています。

従って

「確実に『良い学生』を選抜できる入試問題」

をいかにして効率よく作成するか、ということが、これから各大学共通の課題になってくるように思われます。

いかにして良問を作成するか。
そのために、高校教員のアドバイスを借りようというのが、上記の記事の例です。

確かに、こういうこともある程度は必要かも知れません。
というのも大学入試問題というのは、中等教育と高等教育を接続する位置にあるからです。
「大学でこういう知識が必要だから、こういうことを聞きたい」と大学側が思っても、それが中等教育までの学習内容をまったく無視したものであっては、接続になりませんよね。

その意味では、逆にあまり高校側の意見ばかりを鵜呑みにし過ぎるのも、これはこれでよくないように思います。
高校教員が「良問」と思う問題が、大学入学後の学びの基礎を問うものになっているかというと、必ずしもそうではないかもしれません。

結局、高校と大学の学習活動をうまくつなげられるよう、それぞれの内容を丁寧に見て、試行錯誤していくほかないのかな、と思います。

ただ、高校の教員というのは、大学から見れば、最も入試問題の内容を教えてはマズイ人なんじゃないか? という率直な疑問も浮かびますが、そのあたりどうなのでしょう。

(過去の関連記事)
・1割の大学が入試問題を外注 文科省「自前で作成を」(2007年07月05日)
https://www.unipro-note.net/archives/50325415.html

入試問題の作成を、企業などに外注している大学があることについて、文科省は、

外注は入試の機密性や公平性の確保の観点から社会的な疑念を招く恐れがあり好ましくない

とコメントしています。
企業はダメでも、高校教員ならいいのかな。文科省の方に、ちょっとご意見を伺ってみたいところです。

なお「良問」を追求するための方法としては、他に↓こんな動きも進んでいます。

(過去の関連記事)
・全国66大学が、来春から「過去問」を共有&再利用(2007年05月18日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50313687.html

過去問の利用は、「良かった問題」と「悪かった問題」を区別し、前者をうまく活用していくという流れにつながります。
丁寧に取り組めば、「この問題に正答した学生は入学後も落ちこぼれていない」といったデータを解析することも可能かと思います。
(ただし、必要な知識・スキルを持ち合わせたスタッフを、この作業のために貼り付けられれば、の話ですが……。これがまた難しそうです)

これから大学の関係者は、教員も職員もだんだん、入試業務で忙しくなってきます。
そんな中、「良問って何だろう?」ということを考えながら、自校の入試問題を見てみると、何か新たな発見があるかも知れませんね。

以上、マイスターでした。

1 個のコメント

  • その年に行われたテストの問題だから別に問題ないんじゃないですか?