青田買い反対?

マイスターです。

暦通りに休みを取らない生活が続いているためか、体内カレンダーが狂っておりまして、日曜日に掲載するはずのニュースクリップを、昨日の土曜日にアップしてしまいました……orz

あるべき順番を変えて物事を進めると、落ち着きませんよね。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「青田買い横行に反発 大学側が「無効」申し合わせ」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/1017/TKY200710170036.html
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企業の採用活動の活発化を受け、大学などで作る就職問題懇談会は16日、今年度の「卒業予定者にかかる就職について(申し合わせ)」に、初めて「9月30日以前の内定は無効」と盛り込んだ。「青田買い」の横行に大学側が反発したものだが、罰則のない「紳士協定」のため、企業側の自粛は期待薄だ。

規制緩和で「就職協定」が廃止された97年度以降、懇談会が申し合わせ、企業側の日本経団連が「倫理憲章」を作り、それらをお互いに尊重することになっている。しかし景気回復が進み、最近、双方が決めた「正式内定日」初日の10月1日以前に内定を出す「青田買い」が横行している。

そこで懇談会は今回、企業が9月30日以前に内定を理由に学生を拘束しようとしても、無効であることを前提に対応するよう各大学に求めた。

(上記記事より)

日本経団連の「倫理憲章」は、↓こちらで読むことができます。

■「2008年度大学・大学院新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」(日本経済団体連合会)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/076.html

採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する。(上記リンクより)

在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き、社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため、採用選考活動の早期開始は自粛する。まして卒業・修了学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む。(上記リンクより)

公平・公正で透明な採用の徹底に努め、男女雇用機会均等法に沿った採用選考活動を行うのはもちろんのこと、学生の自由な就職活動を妨げる行為(正式内定日前の誓約書要求など)は一切しない。また大学所在地による不利が生じぬよう留意する。(上記リンクより)

こんなのがあったのですか、と初めて知る人も多いのではないでしょうか。
そう思ってしまうくらい、実態とかけ離れているような……。

守るかどうかは各企業にまかせる、ということですから、実質、形骸化していると言っても良さそうです。
『AERA』あたりで、「あなたの会社は『倫理憲章』カンペキに守ってますか?」といった記事を書いてくれないでしょうか。
例えば、一部上場企業でこれを完全に守っている会社は何割くらいなのでしょうね。うーん。

でも、この種の話題については、大学側もあんまり企業のことを強く糾弾できないかもしれません。

大学も、「AO入試は青田買いだ」という批判を、高校側から受けているからです。

就職活動の早期化と大学入試の早期化は、よく似ている部分が多いです。
「そうは言っても、早く採らないと競合組織に負ける! なりふり構っている場合じゃない!」という、「採る側」の事情も同じなら、
「こちらのカリキュラムがまだ終わっていないのに、あれこれ学生にやらせるな!」という、「教えている側」の言い分も同じです。

ですからマイスターは、こういっ報道を見ると、少々複雑な気分になります。
うーん、世の中、どこも似たようなジレンマを抱えているのかな……と。

ただ、個人的にちょっと違うのでは、と思うところもあります。
「教えている側」の主張の内容を、よく見てみましょう。

「まだ学生には学ぶべきことがたくさんあるのに、早くに就職活動をさせられると、学業に差し支えるじゃないか!
卒論もあるんだし、就活で忙しくさせないでくれ!」

というのが、企業に対する大学の言い分としてよく聞くものです。

かたや、

「大学が早めに合格を出すと、合格した生徒は残りの半年間、勉強しなくなってしまって困る! それに一人が合格を決めると、受験を目指している残りの生徒にとって悪影響が出る。頼むから、最後まで他の皆と同じように受験勉強をさせるようにしてくれ!」

というのが、大学のAO入試に批判的な高校関係者の言い分として、よく聞かれるものです。
(もちろん高校によって大学によって、この辺りの反応には違いもあるでしょうが、マイスターがよく耳にするのは、こういった意見です。いかがでしょうか)

なんだか、「早くにそちらに動かれると、学生が勉強しなくて困る」と主張している点は同じなのですが……なんか、違いもあるような。

「大学入試がないと勉強させられない」というのは、高校のリアルな現実なのかも知れません。とは言え、どうなんだろう、と思わされます。

一方で、大学も、自ら就職対策を早期化させている傾向がありますので、企業のせいばかりにはできません。
そのうち、大学が「単なる就職のための勉強をする機関」になってしまったら、同じように「早くに就職を決められると、その後勉強しなくなって困る!」という意見が出るのでしょうか。

うーむ。

……などと、そんなことを、冒頭の記事を読みながら考えた、マイスターでした。