救急医のタマゴも不足

マイスターです。

AO・推薦などの大学入試も本格化。
新卒の就職活動もスタート。
大学も会社も、人材確保というのは大変です。

そんなこの季節、ちょっと興味深い記事を見つけました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「救急医の卵おいで 学会会場で異例のリクルート大作戦」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200710130017.html
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医学生さん、救急医療の現場にいらっしゃい――。日本救急医学会は、16日から大阪市内で開く総会で、異例の「求人大作戦」を展開する。会場に特設ブースをつくり、全国91もの救急医療施設が、勤務条件や設備、仕事の楽しさなどを競い合ってアピールする。

リクルートの対象は、大学医学部卒業前後の若者から救急医療以外の分野で5、6年経験を積んだ医師だ。救急医療は、昼夜を問わない過酷な仕事という印象が強く、医学生が敬遠しがち。志望者の人気は、都市部にある有名大学の救命センターなどに集中している。地方では慢性的な医師不足に陥り、仕事がきつくなるという悪循環が起きている。

総会事務局は16〜18日の3日間、会場となるホテルの1フロア13室を借り切ってリクルートのためのブースを提供する。

1施設の持ち時間は2時間で、若手医師が待機し、「休日は何日取れるか」「職場の雰囲気はどうか」などの質問に答える。同時に、ドクターヘリのような装備を強調したり、海外救援などの様子をビデオやパネルで紹介したりして、仕事の魅力をPRする。

(上記記事より)

様々なところで、医師不足という話題を目にします。

都市部に対し、地方や過疎地は不足している、
小児科医や産婦人科医が不足している、等々……。
いずれのニュースも、日々、その深刻さを伝えています。

そして、今回の記事。
救急医療に携わる医師が不足しているというのは、これまた、シリアスな問題です。
本来なら、無理のない人数で、余裕を持って、しかし確実にまわしていくことが求められる部分なのでしょうが、医学生に敬遠され、人が足りていないとのこと。

記事では、参加医療機関の「口説き文句」が紹介されていますが、その口説き文句が目を引けば引くほど、「人が集まっていないんだろうなぁ」と想像できたりもします。

■転送先が見つからず、妊婦が死亡・死産する事件が起き、救急医療体制の立て直しが急務になっている奈良県の県立医大病院高度救命救急センターは「医師が少ないからこそ、若手が活躍する機会が多く、思いっきり腕を磨ける」と訴える。

■福岡市の福岡和白病院は、来年4月に導入予定の病院ヘリを売り込みの目玉にする。「厚労省のドクターヘリより制約が少ない。空飛ぶ医師を目指すなら、うちが一番」

■想定東海地震の震源地に近く、一人でも多く人材が欲しい浜松医科大学は、週32時間の日勤と当直の交代後は呼び出しはしない。「残り時間は他科の研修もよし、博士号に向けた研究もよし。勉強が存分にできます。助教のポストも用意している」と全面歓迎の姿勢だ。

(上記記事より)

人が足りないと労働環境は過酷になり、いっそう敬遠される。まさに悪循環です。

そんな流れを断ち切るために、こうして今、どこもPRに力を入れているのでしょう。
現場は、本当に大変なんだと思います。

悪循環の流れを断ち切る方法はあるのでしょうか。

仕事のやりがいや意義など、広報・PRの力でできることは確かにあるでしょう。
しかし、それだけでできることは限られています。
個人的にはやはり、抜本的に環境を変えていくしかないように思います。

個々のセンターが人材獲得に力を入れていくのもいいのですが、もともと数少ない人材。それを互いに取り合っていては、組織の体力が続かないかも知れません。
業界全体の底上げを考えることも、重要であるように思われます。

こうしたリクルーティング活動とは別に、学会と医療系大学とで、中長期的な種まきを行っていくことも大事なのでしょう、きっと。

在学中に救急現場や離島などでのインターンシップを必ず経験する、卒業後に定期的に研修を行う、医師として働きながら、キャリアの途中途中で他の現場を経験するタイミングを設ける……
医療の素人であるマイスターには、これくらいのことしか思い浮かびませんが、一過性のものと考えず、先を見据えた取り組みも進めていくことが、学会の役割の一つなのかも知れません。

大学、病院、行政、その他の非営利機関(ひょっとしたら高校なんかも)、そして市民。色々なところを巻き込んで、取り組んでいかなければならないことのような気もします。

以上、マイスターでした。