4年制 北陸先端大の「スーパードクタープログラム」

マイスターです。

(過去の記事)
・東大 博士課程の学費を(実質的に)ゼロに(2007年10月04日)
https://www.unipro-note.net/archives/50348136.html

先日、博士課程の学費を実質的に全員ゼロにするという、東大の発表をご紹介しました。衝撃的な報道でした。

今日ご紹介する報道も、インパクトでは負けていません。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「4年間で博士号取得プログラム。北陸先端大」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20071004wm02.htm
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能美市の北陸先端科学技術大学院大学(潮田資勝学長)は、5年かかる博士号を4年で取得できる「スーパードクター(SD)プログラム」を設ける。世界を舞台に新たな研究テーマに取り組む優れた学生を発掘するのが狙いで、大学3年終了時点で入学できる。募集は3研究科でそれぞれ若干名。

SDプログラムのために組織した教員たちが研究指導や教育を行う。入学料を免除するほか、学生寄宿舎の寄宿料免除、年間120万(博士前期課程)〜180万円(博士後期課程)の奨学金給付、海外の大学・研究機関への研究留学の必要経費を支援――など「最高水準の」経済的支援を提供する。

(上記記事より)

学部からの飛び級を組み合わせ、通常なら学士1年から博士3年まで9年かかるところを、7年で済ませてしまおうという特別コースです。

東大は「博士全員」なのに対し、こちらは「若干名」ですので、意味合いは少々異なると思います。
……が、「とびっきり優秀な学生を引きつける」という目的は、たぶん同じです。

北陸先端大学院大は「大学院大学」ですから、学部生はいません。
つまりこの特別コース、他大学の優秀な学部3年生を引っこ抜くためにあると言っても過言ではありません。
ある意味、東大よりも方針が明確です。

ただ「早く博士号が取れる」というだけではありません。
その特別待遇ぶりは、すさまじいほどです。

■「大学3年終了後4年間で博士号取得のスーパードクター・プログラムの募集を開始
-世界への挑戦者を育成、最高水準の給費制奨学金と海外留学の経費援助-」(北陸先端科学技術大学院大学)
http://www.jaist.ac.jp/news/2007/0913.html

入学生には、以下のような最高水準の経済的支援が提供されます。

(1)入学料免除(282,000円)

(2)学生寄宿舎での住居の確保と寄宿料免除

(3)最高水準の奨学金の給付

 博士前期課程:年間120万円(月10万円)

 博士後期課程:年間180万円(月15万円)

(4)海外の大学・研究機関への研究留学に要する経費を支援

(上記リンク先より)

いかがでしょうか。

ちなみに北陸先端大学院大の年間授業料は、博士前期課程、後期課程、ともに535,800円です(2007年10月9日現在)。
学費の二倍、三倍にあたる奨学金を「給付」される上、なんと住まいまで無料で提供されるわけですね。

これだけ見ると、それこそ国内はおろか、世界の大学から優秀な学生を呼べそうな充実ぶりです。
この手の特別選抜コースは他の大学にもいくつかありますが、これだけの厚遇っぷりは初めて聞きました。

個人的には、こうしたお金の財源は何なんだろう、というあたりに興味があります。
他の学生の学費でしょうか。それとも、外部から獲得した資金や、大学が持っている基金の運用益でしょうか。
それによって、この特別コースの評価の仕方も、変わってくるような気はします。

と、それにしても、やはりこの内容はすごいです。
こうした大学院と、「若干名」の優秀な人材を巡って競争しなければならない他大学の大学院は、なかなか大変だと思います。

もちろん経済的な支援だけが学生を集めるポイントではないでしょうが、「経済的なことを気にせず研究に没頭できる」というのが、大きなポイントであるのは間違いありません。

東大の取り組みといい、どうやら大学院生の獲得競争も、これからさらに激化していきそうです。

ところで、昨日は、手厚い支援で学生を見捨てない、「エンロールメント・マネジメント」の話題をお届けしましたね。

(過去の記事)
・エンロールメント・マネジメントのための体制を整備 京都光華女子大(2007年10月08日)
https://www.unipro-note.net/archives/50349263.html

今日の「スーパードクタープログラム」とは、目的も対象も、その意味合いも、全く異なります。
が、どちらの方が意義がある取り組みだというわけではありません。
個人的には、どちらも、現代の大学の姿だと思います。

「すべての大学が、同じように教育・研究を行うのではなく。
 それぞれのミッションに合わせて、方向性を明確にしていくことが大事」

よく言われることなのですが、こういった大学ごとの「違い」が、これからはよりはっきりしてくるのかも知れません。

以上、マイスターでした。

2 件のコメント

  • 最近この手の(国立大学に多い)「学費」を大幅に超える額の「給付奨学金」制度を設けるというのは、どうなのだろう。東京大学の博士後期課程における、「ほぼ学費額に見合う奨学金」制度はよいのだが、今回の記事にある北陸先端科学技術大学院大学の奨学金は額が多すぎて問題があると考える。
     一般的に大学が学生に支給する奨学金というものは、(その意義が育英的か奨学的かは別として)学資(授業料等の学費等)に充てるため給付される金品である。これは、所得税法第第9条第1項第14号の非課税項目に挙げられている奨学金の定義である。ここから考えるに学費額を大幅に超えて支給されるものは名称は「奨学金」であっても実質は違うのだから、奨学金とはいえないのではないか。

  •  特に学費分を超える部分については、大学に所属し、勉強という仕事を行う対価として生活費部分を支給する「給与所得」なのではないか。(学振の研究費に近い。これは給与所得である)
     どうもどこの大学も「奨学金は万能だ」と考えているようで、このような税法とのかかわりなど考えもしない(単に「奨学金だから非課税です」と考えるだけで、なぜ非課税なのかという趣旨に思い至らない)で、奨学金という名称を付ければ金額などいくらにしてもよいと考えているように思える。
     大学として優秀な学生を引き付けるにはどうしたらよいかを考えるのは大切なことであるが、ある程度節度を弁えた方がよい。
    (もちろん、学生にも税金として申告させるし、大学会計上も給与として計上するというなら一向にかまわないが)