「入学後も働き続けること」で志願者半減 夜学の存続なるか

マイスターです。

以前、↓こんな記事を書かせていただきました。

・消える「夜学」
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50259162.html

夜学の定員割れが相次いでおり、大学によっては、夜間コースを廃止するところも出てきている。夜学の社会的な役割が変わりつつある、ということがその背景にありそうだ……といった内容をご紹介しました。

今日は、そんな夜学に関するニュースをご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「大学入試:静岡大経済学科が定員割れ2次募集 受験資格に就労条件で応募半減 /静岡」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/shizuoka/news/20070316ddlk22040133000c.html
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静岡大は15日、人文学部経済学科(夜間主コース)の2次募集を始めた。昨年の新入生の就業率が低かったため、今回から受験資格に入学後の就労を加えたところ、応募が昨年の半数以下となり定員割れした。募集は推薦枠2人と社会人枠10人で、試験は29日に小論文と面接。23日まで出願を受け付ける。同大は「昼間入れなかった人でなく、働きながら大学で学びたい人を歓迎したい」と話している。
(上記記事より。強調部分はマイスターによる)

なんだか、ちょっと想像できる話だと思いませんか。

実際に「経済学科(夜間主コース)」の出願状況を見てみると、11月の第一期出願期間では募集人員13名に対し出願者数6名と、確かに定員割れしています。

■「出願状況:社会人特別選抜(平成19年度)」(静岡大学)
http://www.shizuoka.ac.jp/~nyuushi/apply/5.html

幸い、2月の第二期では募集人員を上回る志願者を得ているようですので、定員割れは免れるのかも知れません。
が、これはなかなか、思うところの多いニュースです。

どうやら静岡大学人文学部経済学科(夜間主コース)は、推薦入学(センター試験は課されず)と社会人特別選抜で学生を募集しているようです。
実際にどのような出願条件なのか、以下、募集要項を見てみましょう。

■「平成19年度 推薦入学学生募集要項(PDF)」(静岡大学)
http://www.shizuoka.ac.jp/~nyuushi/subscription/yoko_suisen.pdf

この要項で「大学入試センター試験を課さない推薦入学:人文学部」のページを見てみると、経済学科(夜間主コース)については以下のように書かれています。

【出願要件】
○平成19年3月高等学校卒業見込みの人及び平成17年9月以降に高等学校を卒業した人
○次の各項に該当し,学力・人物が優れ,志願する学科への適性等について,学校長が責任を持って推薦できる人

1 高等学校における学習成績概評がB段階以上の人
2 入学後にも就労(恒常的なアルバイトを含む)しながら勉学することを確約できる人(確約書が必要)
3 入学手続時において,就労もしくは就職が内定している人(在職証明書・就職内定証明書が必要)

(上記リンクより。強調部分はマイスターによる)

【選抜方針】
経済学科で学ぶために必要な基礎知識,論理的思考力,読解力及び表現力等を評価するために小論文を課します。また,就学条件,志望動機と勉学意欲,表現力等を評価するために個別面接を課します。
(上記リンクより。強調部分はマイスターによる)

このように、働きながら学ぶことを確約することが条件だとのことです。必然的に出願してくる学生の社会人率は100%になりますね。

ちなみに上記は「推薦入学」の募集要項の内容であって、別に社会人向け入試という訳ではありません。「夜学は勤労学生のためのもの」という姿勢が打ち出されています。

ちなみに「社会人特別選抜」の要項は↓こんな感じです。

【出願資格】
高等学校を卒業した人(通常の課程による12年の学校教育を修了した人を含む)及び平成19年3月高等学校卒業見込みの人または学校教育法施行規則第69条の規定により高等学校を卒業した人と同等以上の学力があると認められる人で,次のいずれかに該当する人
1 平成19年4月1日において,1年以上の職歴を有する人または1年を経過することが見込まれる人
2 職歴が1年未満であっても,現に就業し,入学後も就業しながら勉学することを確約できる人(確約書が必要)
* 自営業者,主婦・主夫はその期間を職歴とみなし,1または2で出願ができます。
* 1のうち,1年以上の職歴を有する人には,現に就業していない人を含みます。定年退職等で退職した社会人は1で出願できます。
* 定時制,通信制,夜間学校に在学した期間に定職(恒常的なアルバイトを含む)に就いていた,または現に就いている人は1または2で出願できます。全日制高等学校卒業見込みの人は,高等学校在学中に前述の定職があっても,1または2では出願出来ません。
* 1または2の資格で出願する人はすべて職歴等の証明書類が必要です。
(「平成19年度 推薦入学学生募集要項(PDF)」(静岡大学)より)

こちらでは主婦・主夫の方や定年退職者も出願資格があると書かれています。

ですからこの学科は、「働いている学生」と「働いていた学生」だけで構成される学科ということになりますね。

欠員が出た後の第二期募集においても、推薦入学、社会人特別選抜ともに上記の条件は変わっていないようです。

どの大学でも夜学と言えば、「昼は仕事を持っていて、夜しか学べない」という、いわゆる「勤労学生」を主たる対象とするものだったと思います。
しかし以前の記事でご紹介したように、今や社会人学生の方が少ないところも多いようです。

夜学の維持にはコストがかかります。昼間部と同じくらいの人数を集めているならともかく、そうでない場合は大変です。何しろ少ない人数のために昼間部と同じ水準の授業を、ほぼ同じ数だけ用意するのですからね。
それでも社会的な意味合いを考え、「これは大学の使命だから」として夜学を維持している大学もあるわけです。

ところが実際に通っている学生には「勤労学生」がほとんどいないのですから、大学としては、何らかの対策を打とうと考えるでしょう。
そのときの発想としては

(1)「社会環境が変化し、夜学の社会的な意味合いは無くなった」ということで、夜学を廃止する
(通信教育への移行なども含む)

(2)本当に夜学を必要としてくれる人だけを集め、存続させる

……の2つになるわけです。

たいていの大学は(1)の方向に進むのでしょうが、静岡大学は(2)の路線にチャレンジしてみた、ということなのだろうと思います。

その結果、志願者は半減しましたが、それでも最終的にはなんとか定員を集めています。

就労を義務づけるという手法には、おそらく批判もあるでしょう。
学生が「仕事を辞めて勉学に打ち込みたい」と考えたときにどうするか、例えば「休職」は認めるのか、昼間部への転部はできるのかといったことも含めて、ちゃんと入学後のことを細かく考えておくことも大切です。

このように気になるところはあるものの、個人的にはこういう路線で夜学を維持する大学の取り組みも見てみたいです。

とは言えこれまでと同じやり方をしていてはいつまでももたないでしょう。夜学を必要とする学生を掘り起こす努力が欠かせません。
どんなところに夜学の需要があって、どうしたらそういう学生を発見しキャンパスに連れてこられるかというマーケティング的な取り組みが求められそうです。

(おそらく普通に昼間部の受験生を集めるよりも大変なんじゃないかと思いますが、夜学を守ろうとするならそれくらいの覚悟が必要なのでしょう、きっと)

なかなか難しい取り組みではあると思いますが、うまく成功させれば「夜学復権」のモデルになる可能性だってあります。
そんなわけで個人的には、ちょっと気になるニュースでした。

以上、マイスターでした。

2 件のコメント

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  • はじめまして、こんにちは。
    飯田橋にある某理系私大の夜学に通っているものです。
    夜学がテーマという事で、興味深く拝見させていただきました。
    私は、所謂勤労学生ではないし、(アルバイト程度はしています。)
    高卒後ストレートで、ごく自然に今の学校に入学しました。
    夜学のイメージって、「暗い」や「勤労学生」とか「オトナばっかり」やとか
    あんまり明るい華やかなイメージがないのかなぁと思います。
    偏差値でみれば、夜学より低い昼間主はいくらでもあります。
    だから、夜学も併願校の1つとして
    ごく自然に選択肢に入ればいいのですが…。
    夜学もイメージアップしていけば、
    入学者が増えるかもしれませんね。