大学に編入する高専卒業生

マイスターです。

・いっぱいある、大学編入のための専門学校
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50293075.html

昨日、↑このような記事を書かせていただきました。
たくさんのコメント、ありがとうございます。

「大学への編入」というトピックでもう一点、ちょっと違った視点の記事がありましたのでご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「高専の実力(2) 熱心で優秀 大学が注目」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070228us41.htm
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豊橋技術科学大学は、主に高専卒業生を受け入れる大学として、長岡技術科学大学(新潟県長岡市)とともに1976年に設立された。1年生の定員は80人だが、3年次編入定員が300人。基本的には大学院進学を前提とする。

学部段階では、高専での学習内容を改めて科学的な視点で見直し、技術に対する理解を深める「らせん型教育」が特色だと、高専連携室長の青木伸一教授(49)は説明する。

編入した高専卒業生は卒業研究も終えているため、高卒の学生よりも専門知識の差があるのは当然だ。実験の手際の良さや、問題に突き当たったときの解決能力、研究報告を書く力は、高専卒業生の方が高いが、学術的な理論や数式の理解では、高校からの進学組の方が優れている面もあるという。お互いに刺激しあい、成長する意義も大きいようだ。

一般の大学でも、最近では高専卒業生の受け入れが増えている。

東京農工大学工学部(東京都小金井市)では、毎年約70人の3年次編入枠を設け、その8割が高専卒業生という。一般の学生とほぼ同じ割合の3人に2人は大学院に進む。「目的を持って進学してきているため、取り組みはまじめで、他の学生にも刺激になる」と、工学部で編入学を担当する中村暢文・助教授(42)は高専生を評する。

編入生が戸惑わないように、カリキュラムの内容や履修の仕方について、1年生と一緒にオリエンテーションを受けさせるほか、各学科ごとに助言する。先輩の編入生との縦のつながりもあり、情報交換が盛んだという。「産学連携で良い成果を上げ続けることが、高専生募集への何よりのアピールになる」と中村助教授。

現在は優位を保つ技術科学大も「高専と共同研究をするなど、太いパイプを築き、学生を確保していきたい」(青木教授)。

少子化が進む中、優秀な高専卒業生は、大学にとって、のどから手が出るほど欲しい存在とみた。
(上記記事より)

というわけで高等専門学校、いわゆる「高専」の卒業生達が大学で好評だという話題です。

高等専門学校は、もともと「深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする(学校教育法第70条の2)」とされる機関。主に優秀な技術者の供給源として、産業界から高く評価されてきました。

しかし技術者になるための知識やスキルは、年々、より高いレベルのものを要求されるようになっています。またメーカーや研究機関の開発職や研究職では大学院修了が要件とされている場合も多いです。
そのような背景もあり、高専の学生が大学に編入するケースは増えているように思われます。

もともと早い段階で専門的な教育を受けている高専卒業生。専門分野に関する知識の量や技術力は、大学3年生の段階では普通科高校出身者より上でしょう。

マイスターの個人的な感想としては、知識の量や質もさることながら、「技術者としての心構えができている」という点が、高専卒業生の優れた部分であるように思います。
マイスターが建築学科の学生の時も、2年次編入をしてきた高専卒業生が身近にいたのですが、大学での学びに対する姿勢が違いました。こちらは学部の2年生になったところですから、まだようやく専門教育が本格的に始まったという段階で、技術者としての自覚なんてありません。
そんな中、毎回すさまじく完成度の高い図面を仕上げてくる高専卒業生の方はなんて言うか、かっこよかったです。本気で建築家を目指そうという学生の間では、注目すべき存在として認識されていました。周囲の学生にとっても、いい刺激になっていたのですね。

マイスターは、大学の側からすれば、高専卒業生を受け入れるメリットは非常に大きいと思います。

大学の側も今、高専卒業生に対して門戸を開く傾向にあるように思います。
上記の記事でも紹介されている豊橋技術科学大学や長岡技術科学大学などの他、国公立大学工学部が高専卒業生達の主な受け入れ先のようですが、私学もそろそろ受け入れのために動いているのではないでしょうか。

工科系学部は今、様々な問題に悩まされています。
工科系は、学びの特質上、いわゆる「大学生の学力低下」の影響をもろに受けております。学力低下も、よくよく話を聞いてみると正確には「学びに対するモチベーションの不在や低下」であるケースも少なくないようです。
受験者数の推移を見ても、工学部はわりとピンチ。日本の製造業の将来を危ぶむ声も聞かれます。

そんなわけで、学びに対する意欲の高い高専卒業生を奪い合う理工系大学間の戦いが、密かに始まっているような気がします。
かつては2年次編入しか認めなかった大学が、3年次編入できるように仕組みを変え、高専にアピールする……なんて例も出ているのではないかと想像します。

即戦力となる優秀な技術者を世の中に送り出していくという使命と、意欲ある学生を大学に供給するという役割。
高専はそんな2つの役割を期待される機関になっているのかも知れません。

マイスターは高専の卒業生ではないのであまり詳しくはないのですが、考えてみればみるほど、色々と可能性を秘めた存在であるように思います。

以上、マイスターでした。

3 件のコメント

  • 短大でも大学への3年次編入を主眼においたコースがありますよね。
    たとえば「拓殖大学北海道短期大学」の経営経済科は拓殖大学への編入に対する学長推薦枠を計125名分確保しています(定員150名に対して)。
    他にも地域総合科学科をおく短大には、編入コースを持っているところがいくつかあるみたいですね。
    3年次編入の定員を増やすことへ仕組みを変える、という方向性は賛成します。そこから進んで、法学部なんかならロースクールを視野に入れた5年計画のカリキュラムを作る、というのも面白そうだな、と思いました。

  • 高専が「難関大学への知る人ぞ知る近道」というのは私が知っている限り結構前から(少なくとも私が現役高校生だった15年位前には)言われていたような気がします。
    ここに挙げられているように高専5年卒業で4年制大学への2・3年次編入学は一般的ですし、その気になれば高専3年修了で普通の高校3年卒業者と同様に大学の一般入試を受験することも可能、さらに2・3年次編入学は一般入試と違い、国公立大学も試験日さえ重ならなければ何校でも併願が可能と、大学受験のチャンスが格段に多いことがその理由です。
    そんな理由から、中高一貫の有力私立進学校がない地方では、高校受験での地域最難関校が地元の高専という地域も結構存在します。
    そういえば昨年夏に徳山高専の研究室で起きた殺人事件の被害者の女子学生も、熊本大学への編入学が決まっていたと報じられてましたよね。

  • 就職より大学に進学する人数の割合が多い高専も存在します。それに「東大や東工大を目指す」という事も当たり前になってきました。
    また専攻科(2年間)の設置してある高専では、専攻科を修了し大学評価・学位授与機構が行う審査に合格すれば、大学と同様に「学士」の資格を得ることが出来ます。
    時代のニーズに合った知識・技術を求められる今日に大学と高専が競い合えば、日本の科学技術はより発展していく事でしょう。