ニュースクリップ[-10/8] 「<科研費>9大学で不適切経理10億円超」ほか

マイスターです。

今週は連休ですね。皆様は、いかがお過ごしでしょうか。

さて日曜日ですので、一週間「大学職員.network」上にてご紹介し続けてきた大学関連ニュースクリップの中から、いくつかを選んでご紹介したいと思います。

科研費を巡って不適切経理。
「<科研費>9大学で不適切経理10億円超 会計検査院が指摘」(毎日新聞 Yahoo!JAPAN NEWS掲載)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061001-00000009-mai-soci

文部科学省が交付する科学研究費補助金(科研費)を巡り、東京大など九つの国立大学で、研究用に購入した物品の納品書の日付が、業者側に残った日付と大幅に異なる不適切な経理を行っていたことが、会計検査院の調べで分かった。日付が1カ月以上異なっていた納品書の総額は10億円を超え、文科省は、1年以上ずれていた6大学の計約2000万円分について、補助金適正化法に基づき返還させた。また、私立大学も含めた全大学に対し、納品検査の徹底を通知した。
(略)
検査院の調べでは、9大学で注文した物品を業者が大学に納入したものの、事務担当者の確認が遅れたため、業者側と大学側で、それぞれ保管していた帳簿類の納品日付にずれが生じた。うち約2億円分については、大学側の納品が年度末の3月31日を越え、補助対象の翌年度になっており、文科省の補助条件に違反した状態になっていた。さらに約2000万円分は、研究者が1年以上前に納品があったにもかかわらず、大学側に届けていなかった。
ただ、研究費の私的流用やプールなどといった不正行為はなかった。
(上記記事より)

研究費を処理する担当者にとっては、人ごととは思えない話でしょう。
私用流用やプールなどの不正行為はないとのことですが、2,000万円が1年以上もずれた日付で処理されていたのですから、良いことではありません。

文科省学術研究助成課は「公務員の定数削減の影響で、事務スタッフの減少が納品を確認する体制の不備につながった。今後、納品検査を徹底させ再発防止したい」と話している。(上記記事より)

……と、文科省は言っています。なんだか、「(政府が進めた)公務員削減が原因であって、自分たちは被害者だ」と主張しているように聞こえなくもないのですが、本当にそれだけが原因でしょうか。
1年以上も遅れていたのなら、「忙しくて遅れた」というレベルではないような気もしますけれど。

フランシスコ・ザビエルの再上陸?
■「米ロゴス大学 鹿児島校の開設計画 誘致自治体募る」(南日本新聞)
http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=637

アメリカ・フロリダ州に本拠地を置くロゴス大学のチャールス・トラビス学長らは6日、鹿児島市で会見を開き、県内自治体から誘致があれば日本校を開設する意向があることを明らかにした。
同大は神学部や経営学部など5学部を持つ私立のキリスト教系大学。同州ジャクソンビル市のキャンパスに2000人の学生がいるほか、中南米やアフリカ、韓国など34カ国の大学と提携して、通信制講座で3000人が学んでいる。
開設の前提は、統廃合で使用されていない小、中、高校の校舎などの提供を受けられること。大学と付属高校を同時に開校。大学は本校と同じく5学部を設置予定で、付属高は国語以外の授業はすべて英語で行う。
(上記記事より)

最近、海外大学日本校の話をよく耳にしますね。
今回のロゴス大学は、正確には「Logos Christian College」という名称で、神学部を中心とするアメリカの大学です。

■Logos Christian College
http://www.logos.edu/

今回は、本校と同じ神学部を含む5学部と、英語で授業を行う付属高校の設立を検討しているとのことだそうです。
ただ、本校のwebサイトを見ると、キリスト教教育の色が結構強いように思えなくもありません。高校はともかく、大学の5学部を全部、同じように日本で開設して、日本でそこまで需要があるのかどうか、ちょっと心配です。

トラビス学長は「フランシスコ・ザビエルが日本での布教のために上陸した鹿児島に興味がある。キリスト教的な価値観に基づいた実践的な教育を行って人材を育てたい」と意欲を語った。(上記記事より)

なるほど、キリスト教系の大学にとっては、そういった歴史を持つ地であることも大きいのかも知れませんね。

教育再生会議、メンバー構成が明らかに。
■「教育会議、首相に近い人選も 現場からは百マス陰山氏」(中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200610070328.html
■「教育再生会議委員に『ヤンキー先生』義家弘介氏ら」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061007i401.htm
■「教育再生会議メンバー、張トヨタ会長ら内定」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20061007AT3S0601H06102006.html

いち早く座長に内定していたノーベル化学賞受賞者の野依良治氏に続き、今週は、教育再生会議のメンバーがどのような構成になるかが注目されていました。

結果は、上記の報道をご覧ください。
記事のタイトルを見ていただくとわかるとおり、メディアによって大きく取り上げる人が違うのが面白いです。研究者以外で起用された方には他に、シンクロナイズド・スイミング元五輪代表の小谷実可子氏、劇団四季代表の浅利慶太氏、JR東海会長の葛西敬之氏などがいます。

この人選がベストなのかどうかは人によって意見が分かれるところでしょう。しかしいずれにしても、この会議での審議が、安倍首相の教育政策にいくらかの影響を与えることは確か。
教育改革を旗印にする安倍政権。再生会議の動向からも目が離せません。

ちなみに再生会議とは関係ありませんが、神奈川県の教育委員に↓この人が起用されたのも、個人的にはちょっと気になります。

■「居酒屋『ワタミ』の社長が教育委員に(神奈川)」(nikkansports.com)
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20061005-99691.html

大学生協職員が不正。
■「大学生協京都連合の職員が1300万円着服」(news24)
http://www.news24.jp/68502.html

京都府などにある大学生協が加盟する「大学生協京都事業連合」の男性職員が、約1300万円を着服したとして、懲戒解雇されたことがわかった。

懲戒解雇処分となったのは、京都府や滋賀県などにある19の大学生協が加盟する大学生協京都事業連合に勤めていた男性職員(45)で、旅行サービス事業課に所属し、6年前から代金後払いで発行した新幹線の回数券を換金したり、取引のあった旅行代理店に代金を自分の口座に振り込むよう指示するなどして、約1300万円を着服したという。
(上記記事より)

マイスターも生協に加盟していますが、生協は「信頼感」というブランドイメージを持っているように思います。
その意味でも、残念なニュースです。

自分が苦手な英語、せめて子供には…。
■「こどもの英語教育、約8割が『始めるなら小学校低学年以下から』」(NIKKEI BP NET)
http://www.nikkeibp.co.jp/news/life06q4/515037/

ニチバンは、こどもの英語教育に関する調査結果を10月6日に発表した。それによると、2005年度に、児童が実際に英語を聞いたり話したりする英語活動を実施している公立小学校は、全体の93.6%にあたる2万803校にのぼるという。
こどもの英語教育をいつから始めるべきかについては、「保育園・幼稚園」(36.6%)という回答が最も多かった。これに「小学校低学年」(21.3%)、「0~2歳」(19.5%)が続き、小学校低学年以下からが良いとする考えが8割近くを占めた。
こどもにどんな英語教育を受けさせたいか尋ねたところ、トップは「遊び中心の英語教育」(61.4%)、次いで「ネイティブの英語教室」(45.1%)だった。学習や勉強という英語ではなく、「楽しむ・感じる英語教育を望んでいるようだ」(ニチバン)。
英語教育を受けさせたい理由は「抵抗感を持って欲しくない」(54.4%)。「はやく慣れて欲しい」(49.7%)など、自身の英語アレルギーを反映する回答が多かった。また、55.8%が「コミュニケーションを楽しめる」能力を身につけて欲しいと期待しており、ビジネス・エリート志向ではなく、会話の充実や国際的感覚を重視していることが伺えた。
(上記記事より)

新文部科学大臣が「小学校からの英語教育義務化は必要ないと思う」と発言したことで、この話題もホットになってますよね。
そんな動きに合わせて行われたかのような調査です。

早期の英語教育については、研究者や教育現場でも意見が分かれておりますし、そう簡単には決着が付かないと思います。
「日本語ができていないのに、英語を学ばせても仕方ない」という意見も、「早くからなじんでおくことが大切だ」という意見も、それぞれにそれなりの説得力がありますよね。
個人的には、学ぶ期間の長さ云々より先に、現在行われている教育の「方法」を検討し直した方がいいような気がします。ただ、「英語を話す人が身近にいる」という環境に身を置くことは、語学のことだけにかかわらず、色々な意味で良いと思います。

しかし、今回の調査結果を見る限り、日本人の多くは、「自分がいつまで経っても英語を話せないのは、小さな頃からやっていなかったせいだ!」と考えているんでしょうね。

既にヒーロー。
■「夢プラン浮上、佑ちゃん早慶戦で始球式」(nikkansports.com)
http://www.nikkansports.com/baseball/amateur/p-bb-tp3-20061006-99965.html

入学する前から大学野球のヒーローになっている斎藤佑樹投手。六大学野球での活躍に期待したいところです。
しかし、早い段階であまりに周囲が盛り上げ過ぎるのも良くありません。球場から出たら、彼はいち高校生です。

既に、斎藤選手の「志望学部」や通学路の予想記事が、雑誌に掲載されたりしているようで、ちょっと心配です。どうして日本のメディアは、プレーとは関係ないところでスポーツ選手を取り上げるのでしょうね。

ベトナムで、企業が大学を設立。
■「FPT:IT大学の設立許可を取得」(ベトナムニュース)
http://viet-jo.com/news/economy/060929121422.html

通信・情報技術(IT)最大手のFPTが9月27日、IT大学の設立許可を取得した。同校はITの専門的なスキルを学べるコースを用意し、海外企業との競争にも負けないITプロフェッショナルを養成することを目標とする。
開校後最初のコースを受講する学生は、優先的にFPTとの雇用契約を結ぶことができ、200~400米ドル(約2万4000~4万7000円)の給与が約束されている。また同校は、ベトナム投資開発銀行(BIDV)と提携し、学生に対し担保付ローンを用意する。同行では、このローンのために年間 1000万米ドル(約12億円)を確保するという。
(上記記事より)

・韓国の大学と企業が取り組む、「企業適合型人材教育」
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50245930.html

↑先日、韓国の動きを取り上げたばかりですが、ベトナムでも同様の取り組みがなされているようです。ご参考まで。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでいただいて、ありがとうございました。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。