ニュースクリップ[-4/2] 「バレンタイン監督、千葉の2大学で客員教授に」ほか

マイスターです。

新年度最初の日曜日ですね。
恒例、ニュースクリップをお届けします。

プロスポーツ団体の地域貢献に、大学が活用されています。
■「バレンタイン監督、千葉の2大学で客員教授に」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200603310447.html

千葉ロッテマリーンズの人気者、バレンタイン監督が、千葉の大学の客員教授に就任です。スポーツビジネス等を学びたい学生にとっては貴重な機会になりますね。
「同球団が大学側に働きかけて実現した」という点に、地元に貢献しようという球団の姿勢を感じます。ちゃんと地元、千葉の大学に声をかけていますし。
プロスポーツの社会貢献のひとつとして、大学がこのように活用されているのは、非常に良いことだと思います。

なおスポーツ選手に限らず、今は芸能関係者や作家など、様々な分野で活躍する人材が大学に招かれています。せっかくですので、単なる「客寄せパンダ」になどせず、貴重な経験を学生さんの教育に活かしてもらってくださいね。

■「有名人が大学教授!新分野続々」(AllAbout)
http://allabout.co.jp/study/adultedu/closeup/CU20060325A/index.htm?NLV=AL000002-354

すぐ辞める官僚の国費留学費用返還義務を、法制化です。
■「留学費用を返せ!返還義務法制化」(AllAbout)
http://allabout.co.jp/study/adultedu/closeup/CU20060319A/index.htm

国費留学は、1966年から始まった「行政官長期在外研究員制度」により実施されている。これは国際化する行政に対応できる行政官育成を目的とし、在職8年未満の若手官僚を海外大学院等に留学させる制度。留学は職務命令で出張扱いとなり、学費、渡航費、滞在費だけでなく、給与も支払われ、学位も取得でき、帰国後の職も保障されているというおいしい制度。1人当たり約 1,300万円相当の税金が使われていることになるという。
問題視されているのは、この制度を利用して留学した者のうち、1割が帰国後5年以内に自己都合で退職しているという点。早期退職者に返還義務がなく、以前から税金の無駄遣いが指摘されていた。
(上記記事より)

マイスターは、国費留学自体は、悪いことだとは思いません。国の重要政策に関わる人材には、プロ人材として世界で通用する知識を身につけ、研鑽に励んでいただきたいと思います。
ただその一方で税金を投入した費用対効果に疑問があるのであれば、上記の記事で書かれているように、それを検証するのも大切だと考えます。

また、

「問題は、留学した役人が辞めることでなく、役所が『目的もなく留学させ、帰国後も留学で得た能力を使いこなせないこと』にある」(官僚の海外留学[2005年06月21日]より)

「役所が、きちんと『国際舞台で活躍する人材を育て、活用する』ようになれば、役所を辞める留学帰りも減りますし、なによりも『大きく国益に貢献できる』と考えます。今こそ、きちんと国際交渉ができる役人を育成すべきです。」(官僚の海外留学[2005年06月21日]より)

…なんてご指摘も。
省庁にとって「留学させること」自体が目的となってしまっており、留学から帰ってきた人材をフル活用するという意識がない、ということですね。いかにもお役所っぽいです。

っていうか、なんだか大学職員の世界でも似たような話を聞くような…。

こんなところに、PSEマークの影響が出ています。
■「PSEマーク問題、大学サークルも困惑(東京)」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060328wm03.htm

電気用品安全法で「PSEマーク」のない家電製品(259品目)が4月から販売禁止になる問題で、新入生に卒業生の不用品を提供する大学サークルの「リサイクル市」に戸惑いが広がっている。経済産業省は24日、レンタル扱いとすることで中古家電製品の販売を事実上容認する考えを表明したが、運営する学生からは「依然として適法の条件が不明確で、例年通り実施していいのかどうか不安」との声が上がっている。
(略)
同省製品安全課は大学のリサイクル市について「法的には販売ととらえざるを得ず、PSEマークのない製品の有償提供は、自主検査を前提としていない以上は違法。カンパ方式なども対価とみなされる可能性が高い」としている。(上記記事より)

安全面を強化するための法律とは言え、やっぱり、こういう社会活動の流れを寸断するようなことになるのは、残念ですね。中古品を次の利用者達にまわしていくビジネスモデルというのは、これからむしろ振興していかなければならないはずですし…。

■「島根大で、卒業生の家電などを新入生に提供する企画(島根)」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060328wm04.htm

↑こちらは無償提供の活動ですから、電気用品安全法には引っかからないのかも知れません。この島根大のケースのように、うまくまわっているところはいいのですが、マイスター個人の考えとしては、一般的にはリサイクル市で対価を払って販売する方が製品の提供者は増えますし、活動が継続すると思います。

PSEマーク付製品が普及するまでの間、こうした活動がとぎれてしまわないことを祈ります。

こちらも、制度の改正で危機に立たされています。
■「ピンチ!PTAの事故見舞金」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060327ur21.htm

児童・生徒が事故などに遭った場合に備え、事前に集めた負担金を見舞金として支払うPTAの「安全互助会」が存続の危機に立たされている。
4月1日施行の改正保険業法の影響を受け、無認可共済が保険会社と同水準の管理体制が求められることになったためだ。PTA団体は、将来的な解散を含め、今後の対応を協議しており、長年続いた子供たちの事故保障制度が途絶える可能性もある。 (上記記事より)

保険会社と同水準の管理体制というのは、「保険金額が少額であっても参入条件として原則、株式会社か相互会社にしたうえで、最低資本金1000万円や供託金1000万円などを義務づけ」といった内容です。個別のPTA組織がどうにかできるレベルではありませんね。

法律というのは全国一律のルールを定めるものですから、他の問題を解決しようとした時にこうして別の部分が犠牲になることは、ある程度仕方がないことなのかも知れません。
とは言え、先述したPSE方といいこの保険業法といい、善意と工夫で運営され社会のニーズの穴を埋めてきていたシステムが、こうしてあおりを受けるのは、やっぱり残念ですよね。
この法改正をも乗り越える、新しい良いアイディアはないものでしょうか…。

「増税しないと、国民が大学に行けなくなる」というアピール(脅し?)です。
■「国立大授業料3・8倍に 『増税なし』の未来予想図」(共同通信 excite掲載)
http://www.excite.co.jp/News/economy/20060327124219/Kyodo_20060327a209010s20060327124222.html

増税をせずに歳出削減だけで財政健全化を達成すると社会にどういった影響が起きるかという試算結果を、財政制度等審議会が公開しました。

その中に、こんな記述が。

○国立大学の授業料(2006年度:53.6万円)が、20011年度に2.7倍、2015年には3.8倍に達する。
○私学助成(2006年度助成額:約4,600億円)が、20011年度に約6割、2015年に約3割の水準にまで縮減。
財政制度等審議会長期試算資料より)

国立大学だけでなく、私立大学への影響も甚大です。高等教育の無償化どころか、ほとんどだれも通えなくなりますね。

この試算結果については、色々な感想を持たれる方も多いと思います。

「15年度に財政健全化を達成するには26兆9000億円の歳出削減が必要で、社会保障や地方交付税、人件費を一定の抑制にとどめ、その他経費を一律にカットしたと仮定した姿を例示した」と記事にはありますが、この条件設定がそもそも適切なのか、
本当にこれまで存在した「ムダ」を徹底的に取り除いた上で、こうした社会基盤に関する予算削減を口にしているのか、
これまでの税金が、どのように適切に使われたか検証したのか、
この数字を出すことで、安易な増税を進めようとしていないか、

などなど…。もっともらしいことを政治家が言うときほど、強く疑ってみるのが、正しい国民の務めというものでありましょう。

と、内容を鵜呑みにできないとは言え、こうして数字をあげ、政策の論拠を示そうとする姿勢自体は、悪くないことだと思います。こうした数字を挙げれば、国民やメディア、外部の専門家などから批判や賛同などの突っ込みが入れられますので、少なくとも何らかのコミュニケーションは進みます。逆に、これまでの政治家や官僚が、こうしたことをあまりにもしなさ過ぎたのかもしれませんね。

教科書検定の結果が公表されまして…。
■「高校教科書、来春から至れり尽くせり」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0330/002.html?ref=rss
■「教科書検定、高校も『発展的記述』…小中高出そろう」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060329it13.htm
■「高1用に『発展的な学習の内容』初登場 教科書検定」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200603290423.html
■「教科書検定、文科省が難色 靖国訴訟の記述巡り」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200603290506.html

上記の記事から、いわゆる「学力の二極化」をふまえて本年度の教科書が作られている様子が、非常によくわかります。
Asahi.comの「高校教科書、来春から至れり尽くせり」の記事では、教科書の内容を簡単にする方の動きを中心に紹介。
教科書と言うよりは「ドリル」に近い?ような気がしなくもないものもあります。「こんな教科書を使っていたら考える力が身につかん!」なんて意見も出るに違いありません。マイスターも記事を読んで、正直コレはどうか…と感じるものがなくもないです。「ノートをとらない生徒がいるから、教科書をノート代わりにできるようにした」なんてのは、やっぱり本来は、ちょっとおかしな話だと思います。

でもこうした教科書が出てくるということは、従来の教科書ではもう授業が成立しないケースが、現時点で少なくないということなのでしょうね。現場だけでなく、教科書を出版する企業の方でも、今の教育にどう向き合うか迷い、悩んでいるんじゃないかなと思います。

一方内容を難しくする方としては、学習指導要領改訂時に削られた内容を、「発展」として掲載し直す動きが目立ったそうです。特にその分量が多かったのは理科であるとのこと。逆に言えばそれくらい、理科の知識はバッサリ削られていたということなのでしょうか?

※高校卒業時まで「進化」について学ばないままの生徒が出る可能性がある、なんて話を聞くと、↓以前ご紹介したアメリカの話を思い出してしまいます…。
・宗教と教育の間で起こる問題 :米国の公立学校で 進化説 VS 創造論の争い!
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50119891.html

まぁ、アメリカのように宗教が根付いている国ではないので、こういう心配は要らないかも知れませんけれど…。

なお学校教材については、時をほぼ同じくして、こんな報道もありました。

■「教材出版社6社に賠償命令 作品無断使用訴訟」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200603310556.html
■「国語の副教材、無断使用で賠償命令」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060401ur02.htm

児童文学者あまんきみこさんや翻訳家ら計23人がいずれも教材出版社6社を相手取り、「小学校の国語のテストに無断で作品を使われ、著作権を侵害された」として賠償を求めた訴訟で、東京地裁は31日、全員の主張を認め、6社に支払いを命じる判決を言い渡した。
(上記記事より)

「出版社は許諾なく作品を使い、複製権を侵害した」ということで著作権侵害を認め、この23人に対し、使用料相当額と慰謝料計約3700万円を支払うことを命じたとのこと。
ちょっと前から、大学入試問題集(「赤本」など)に掲載された作品を巡って、著作権侵害の裁判が起きているので、こういう動きがあることは耳にしておりましたが、こうして実際に支払いの判決が出ると、試験作成担当者は慎重になるでしょうね。

試験作成者の苦労もわかる一方で、確かに作品の著作権はきちんと認められなければならないと思います。
著作権保護というのは本来、
他人の作品を使えない」ということではなく、
他人の作品を、『無料では』使えない」という意味合いなのです。
ですので、よっぽど作者を怒らせるような使い方をしない限り、著作の使用料をきちんと支払って出版すれば問題はないはずなんです。
つまり、著作の使用料を支払っていると利益が出ないくらい、出版社がギリギリの計画で試験問題や教材を作成しているか、あるいは著作者の許可を得るのがめんどくさい(許可を得る自信がない)かのいずれかなんじゃないかなぁ、と思われるのです。
多分前者で「採算が取れなくなる」ということなのでしょうが、後者の理由もあるかも知れません。国語の小説の問題では、よく「この中で、主人公の気持ちに最も近いものを選びなさい」なんて問いが出ますが、原作者にはあの問いのスタイルは、一般的に言って、大不評みたいですからね。

さぁ果たしてどういう風に、試験問題作成と、著作権保護を両立させるのでしょうか。

以上、本日のニュースクリップでした。

これから4月が終わるまで、マイスターは一年で最も忙しいシーズンです。
このブログを毎日更新し始めたのは、昨年の5月1日。つまり、繁忙期が終わってからだったのですね。

今年は、繁忙期とブログを両立できるかが、個人的なテーマになっています。頑張ります。

今週も、本ブログを読んでいただき、ありがとうございました。
来週以降も、よろしくお願いいたします。
マイスターでした。

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