不祥事を起こしたときの謝りかた(3):駒大苫小牧高校のプレス対応

マイスターです。

学校の不祥事対応についての記事を書こうと思っていたら、
想定外のニュースが。

■選抜野球、駒大苫小牧が辞退 部員飲酒で
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000603030010
■センバツ:駒大苫小牧、出場辞退 夢奪われナイン涙
http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/ama/news/20060304k0000m040156000c.html
■駒苫がセンバツ出場を辞退/香田監督辞任、校長は辞職
http://www.kita-nikkan.co.jp/news/h06030401.htm
■部員100人、若い監督ら3人 未熟さ放置の学校にも責任 駒苫
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060304&j=0022&k=200603048982

スポーツに疎いマイスターですら、この名前は知っているわけで、
地元に与えた衝撃はさぞ大きかったことでしょう。
自分が起こした事件でないのに出場を絶たれてしまった1、2年生達に対して、同情の声が集まっているようです。

ところで、本題からちょっとズレるのですが、普段から気になっていたことですし、良い機会なので、ついでにちょっとだけ。

マイスターは体育会系部活動の経験がほとんどないので、未だによくわからないのですが、「卒業式を終えた後の3年生」っていうのは、部にとっても、学校にとっても、OBですよね。
これで、どうして部のセンバツ出場が絶たれるのでしょうか?

いや、もちろん、気分としてはわかりますし、
「高校野球は教育の一環」という主旨も理解できるのですが、
校長の辞職という、オフィシャルな部分に影響を及ぼしてくるとなると、
理屈で考えたときのおかしさが、ちょっと気になってしまうのです…。

卒業してすぐに問題を起こしたことが責められるのだとしたら、いったい卒業式の何日後なら、部は責任を取らずに済んだのでしょうか。
「どこかの大学の学生になるまで」でしょうか。

-高野連では1月31日にセンバツ代表校の現役部員に対し「不祥事を起こさないように」と通達した。しかし同会長は「3年生の部員に関しては、指導者の行き届きがおろそかになっていたことがハッキリした」と指摘。3年生に対しても規範ある行動を取らせるよう全国に通達する方針だ。-北海道日刊スポーツより)

これも、ちょっと考えてみると、違和感を覚えます。
つまり、「部活動に関わらなくなった3年生であっても、生活上の問題を起こしたら、それは部の指導者の責任である」ということですよね。
マイスターは、学校の指導教員の責任が指摘されることはあっても、部活の指導者の責任ではないんじゃないかと思うんですが…。

高校野球の世界って、独特の文化や風習がありますよね。
「高校生らしい身なり」といった理由で、坊主頭を事実上、強制していたり。
マイスターには、デッドボールを受けた時の衝撃が大きくなるだけに思えるのですが。
高野連って、不思議な存在です。中等教育を考える時の、思考のデッドスポットを生み出しているような。

…おっとっと、本題である、広報の話に戻りましょう。

これだけメディアに取り上げられたのだから、プレスリリースを出しているかなと思って、さっそく、駒沢大学付属苫小牧高校のwebサイトを見てみました。

■駒沢大学付属苫小牧高等学校webサイト
http://www.komazawa-uth.ed.jp/

2006年3月4日23時現在、高校のサイトでは、まだ、事件のことにはなんにも触れられていませんでした…。

駒大苫小牧20060304思わず、キャプチャ、とっちゃいました。

「OBのやったこと」だから、高校の公式webサイトで発表することではない、
ということなのかなと思ったのですが、
校長が責任とって辞職するくらいのことだと同校は考えているわけですから、この理由は当てはめられないでしょう。

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 ――辞退の判断はだれがしたのか

 昨年、あれだけ世間を騒がせてから、これでございますから、言い訳はきかんと。(駒澤大学の)理事長と私の考えが一致した。

(以上、Asahi.com記事内「篠原勝昌校長の主な発言」より)
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Asahi.comの記事には、こうありました。
世間を騒がせた上で、また騒がせてしまったから、責任をとる。
ということなら、webサイトを通じて「世間」とやらに対して説明があっても良さそうなものです。

(ちなみに、「世間を騒がせたから」というのは、広報担当者は絶対に使わないでください。
従来の日本社会でなら、その場を取り繕う言葉としてある程度有効でしたが、情報開示を行い、説明責任を果たすことを求められる今後の広報の在り方の中では、まったく意味をなさない言葉です。
この言葉は、問題の追究をストップさせるための言葉だと、今や誰もが知っています。悪い見本として、反面教師にしてください)

「事件が起きたばかりで、対応する時間がなかった」ということかも知れませんが、それはパブリックな性格を持つ組織としては、ほめられたことではありません。

学校によって出場辞退の発表がなされたのが、3日。
すでに、24時間以上経過しています。
その間に、新聞やテレビは何度もこの問題を報じたわけです。

「出場辞退は6日に開かれる選抜大会の臨時運営委員会で正式に認められる予定」とありますから、この決定を待って報道するつもりなのかも知れませんが、マスメディア報道の後追いは、あまりよろしくありません。

メディアによる記者会見やインタビューなども行われたでしょうが、そうして報道される情報は、メディアの側の都合で編集された情報です。
自らの言葉で正確に事実を説明し、組織としての考えをなるべく誤解ないように広く伝えるためには、やはり、24時間以内に自分達のwebサイトで対応するのがベストです。

それができれば、大きなプラスです。
大抵、テレビや新聞などの取材担当者は、まず何よりも先に公式webサイトのプレスリリース欄をチェックするのです。ですからそこで正確な情報と学校のスタンスが明確に説明されていれば、他メディアでの報道内容だって変わってくると思いますよ。

もちろん、これはあくまで「理想の対応」で、必ずしもこううまくいくとは限りません。
でも、この2日間、垂れ幕を外したりしている余裕があった駒大苫小牧高校なら、時間的にはサイトの更新くらいできたんじゃないかな?
垂れ幕は地域の方しか見ませんが、webサイトは全国の方(メディア関係者含む)が見るわけで、こっちを先にどうにかした方が良かったのでは…。

webサイトの更新をしているのは、おそらく高校の教職員の方かと想像しますが、土日は休みだから月曜日に対応する、なんて理由じゃなかったことを祈ります。
仮にそうだとしたら、相当、お粗末です。

組織にいつ何が起こるかわからないのですから、webサイトの管理権限を持つ者は、365日、いつでも更新すべき時にできるようにしておきましょう。
ただし、そんな対応は一人では絶対に不可能ですから、あらかじめ複数の学校関係者がプレスリリース欄くらい更新できるようにしておいた方がいいのです。
リスクマネジメントですね。

というわけで、偶然のタイミングで起きた、駒大苫小牧の事件でしたが、
ちょうど良かったので取り上げました。

なんと!これで一回分、記事が埋まってしまったではないですか。
もうそろそろ、また記事が長くなっていきそうだし、予定外だったけど本日の記事はこの辺で。
また、(本来予定していた)続きは次回。

以上、マイスターでした。

2 件のコメント

  • 確か件の高校の場合は、規定が変わって、3月末まで部員扱いになってたと記憶してます。もっとも、普通は夏の甲子園で引退とはいえ、退部届を出すわけでもなく、その意味では卒業まで部員と見ることもできます。ドラフトに関連して部員を(学校が?高野連が?)縛る意味もあったでしょうが。

  • 日本はまか不思議である。
    飲食させた店に対しては誰もおかしいと言わない。
    未成年であることを分かっていて、飲食させてのであれば
    そのこと自体が問題ではないのか、
    米国では一定年齢以下(州によって違う)の者にアルコールを売ったり
    飲ませたりした者は罰せられるのである。
    飲酒時にはIDは必需品である。