ついに私立大学同士が合併へ <関西学院大×聖和大>

全国の大学関係者の皆様、こんにちは。マイスターです。

来るべきときがとうとう来たようですね。

四年制私立大学同士が合併する

時代の幕開けです。

【教育関連ニュース】——————————————–

■「少子化見越し合併へ=兵庫の関学大と聖和大-私立4年制で戦後2例目」(毎日新聞 Yahoo!NEWS掲載)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060118-00000154-jij-soci

■「関学、聖和大と合併へ 幼―大学一貫目指す」(神戸新聞ニュース)
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/00047012sg200602191000.shtml

■「関西学院と聖和大、生き残りかけ合併へ」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060118ur21.htm

■「関西学院大と聖和大、08年4月の合併に向け協議」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/OSK200601180047.html

■「<学校合併>兵庫の関西学院と聖和大学、協議を開始」(毎日新聞 Yahoo!NEWS掲載)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060118-00000145-mai-soci

・関西学院
http://www.kwansei.ac.jp/index_flash.html
 プレスリリース「『関西学院、聖和大学の合併へ向けての検討開始』について」
 http://www.kwansei.ac.jp/kgnews/pdf/press060119.pdf
 関西学院大学 入試案内「「関西学院、聖和大学の合併に関して」」
 http://kwangaku.jp/blog/

・聖和大学
http://www.seiwa-u.ac.jp/
—————————————————————

メディアの報道、および関西学院プレスリリースをまとめると、以下のようになります。

○関西学院大学と、聖和大学をそれぞれ経営する学校法人が、経営基盤強化のため、2008年春をめどに合併する方針を固めた。双方の理事会が、合併に向けた話し合いを進めることで合意した。

○聖和大学の法人が解散し、関西学院側に吸収される見通し。

○関学大の西宮上ケ原キャンパスと聖和大との距離は約1キロと近接している。

○学校法人聖和大学は、大学の他に附属幼稚園を保有しており、関西学院大学が保有している中等部、高等部、および2008年開校予定の関西学院小学校を合わせると、幼稚園から大学院までの一貫教育体制ができあがる。

○聖和大学は関西学院大学に吸収され、聖和大学教育学部が、「関西学院大学教育学部」になる見通し。

○関西学院大学で取れる教諭免許は、従来からの中学校教諭、高等学校教諭に加えて、小学校教諭、さらに幼稚園教諭、保育士資格の取得が可能となる。

○2007年度入学までの聖和大学入学者は、2008年度以降も聖和大学の学籍を継続し、聖和大学を卒業することになる。
2008年4月より、聖和大学の教育学部、人文学部の募集は停止される。

「合併」と聞いて、マイスターが最初に見たのは、両校webサイトに掲載されている「学部構成」の情報でした。
合併する意味がどのあたりにあるのかな、と思ったのです。
(マイスター、恥ずかしながら両校の学部構成を覚えていませんでしたので…)

で、「これは成功するなぁ」と思いました。

世間的な知名度や経営規模で言うと、関西学院大学の方がずっと大きいです。

一方、聖和大学は幼児教育学で高い評価を得ており、小規模だけど強い得意分野を持っているというタイプの学校。
幼児教育学科は1964年設立、幼児教育の分野では日本初の4年制学科ということですし、幼児教育学専攻の大学院教育学研究科というのも、やはり日本初だそうです。
専門の研究所や保育センターなど、キャンパス内の施設も充実しています。
このキャンパスを関西学院大学教育学部として使うのだとしたら、教育系の学部としては、なかなか充実した体制になるんじゃないでしょうか。

関西学院は欲しかった学部や資格課程、幼稚園をキャンパスごと手に入れられますし、聖和大学は、生き残りをかけて、より総合的な体力のあるところと手を組めます。

これはまさに、典型的なM&A!

しかも、付属校などのかみ合わせも、見事な相互補完関係。
おまけにキャンパス同士も近距離。
こうして見てみると、理想的な相手に思えます。パートナーとしてはとてもイイ感じですね。

おそらく、「大きな総合大学が、個性的な小規模大学を吸収」というこの構図も、M&A向きだったと思います。
同じような規模、同じような内容では、主導権争いになってしまってスムーズに合併できませんし、結果的に特徴がよくわからない大学になってしまうおそれがあります。

もちろん、数々のデメリットや、超えるべき障害などもきっとこれから数多く出てくると思います。

今回の合併は、「法人同士の合併」です。
学校法人聖和大学の教職員達が、学校法人関西学院大学の教職員になるということだと思います。
その関係で、労使の問題なども、これからあれこれと出てくることでしょう。

ですが、それは企業のM&Aも同じこと。
この「失われた10年」の間に民間企業が経験して来た道を、関西学院と聖和大学の教職員達は大学業界でいち早く通ることになるわけです。

合併移行期間は色々あるでしょうが、それを乗り越えた先には、一回り強くなった学園があると思います。
関係者のみなさん、頑張ってください!

ちなみに関学と聖和大はいずれも米国から来日した宣教師らが創立、しかも同じ「南メソジスト監督教会」という宗派から発しているそうです。
理念やルーツを共有する間柄は、比較的スムーズに連携できる、ような気がしますよ。

法的な手続きのことや、経営上の詳細なメリットおよびデメリットについては、明日にまた解説いたしますね。

乞うご期待!

 * * * * *

以下は余談になりますが、
ところで、今回、どのメディアも

「四年制大学を運営する学校法人の合併は、戦後すぐに1件あっただけ」

なんてもったいつけた書き方をしていますよね。
この1件って、どの大学のことだかご存じですか?

実は、↓この大学でした~。

http://www.nihon-u.ac.jp/info/history.html

この大学の長い歴史の中で、1951年に、
「農学部に東京獣医畜産大学を吸収合併」という文字があります。
これが、戦後すぐのタイミングで行われたという、4年制大学を持つ法人同士の合併なのでした。

この吸収合併の結果生まれた学部が、この大学では唯一21世紀COEに採択されており、それも2年連続採択だそうです。
50年前のM&Aは、大成功だったと言えそうです。

このときの例も、今回の関西学院×聖和大学と同じで、
「個性的な単科大学を合併し、学部として統合」
というパターンでした。

50年ぶりのM&Aも、同じようにうまくいくといいですね。

以上、マイスターでした。

4 件のコメント

  • これをM&Aと呼ぶんだろうか、
    同じ宗教法人、同じ宗派の学校は教育目的がほぼ同じであり
    理事会メンバーもほぼ同じことがよくある。
    南山と名古屋聖霊、佛教と華頂は同じ宗派だったので
    統合は自明の理であった。

  • 聖和短期大学 保育科のものです。
    今合併で関学の方では署名が行われているとか・・・  
    掲示板でも関学生が反対意見を言われているとか・・・ 
    私も早速掲示板を探していたのですが、まずこのホームページに出会いました。
    このようになぜ合併が進められたか、お互いのメリットなどが書かれており、嬉しかったです。
    私は最初は合併は反対でした。しかしなぜこのような話が進んだのか、など自分の学校に対しても、関学に対しても知っていくうちいい方向に考え方を変わっていきました。

  • 聖和短期大学 保育科のものです。
    今合併で関学の方では署名が行われているとか・・・  
    掲示板でも関学生が反対意見を言われているとか・・・ 
    私も早速掲示板を探していたのですが、まずこのホームページに出会いました。
    このようになぜ合併が進められたか、お互いのメリットなどが書かれており、嬉しかったです。
    私は最初は合併は反対でした。しかしなぜこのような話が進んだのか、など自分の学校に対しても、関学に対しても知っていくうちいい方向に考え方を変わっていきました。

  • らぃ様:
    マイスターです。こんにちは。
    せっかくコメントをいただいたのにお返事が遅くなって、大変失礼いたしました。
    こうして、実際に関わりの深い方からコメントをいただけますと、とてもうれしいです! ありがとうございます。
    私は当事者ではございませんので、なるべく客観的に、気づいたことを述べさせていただいたつもりです。
    実際にはやはり、合併のさなかにいらっしゃる皆様には、様々な想いがおありかと思います。
    それに今後、学生さんや教職員の皆様にとっては、しばらくは忙しく、混乱した、大変な時期が続くだろうとも思います。
    確かにそうした困難はあるでしょうが、でも、それだけではなく、メリットもあるんじゃないかということをお伝えしたいと思って記事を書かせていただきました。
    私は、合併した、または合併された企業をいくつか目にしてきましたが、やはり最初は辛く、大変そうでした。
    でも「生き残るための合併」でしたから、いずれのケースも、最終的にはみなさん、前向きにやっておられました。合併しなければ、いずれもっとひどいことになるというのを、皆がうすうす知っていたのだと思います。
    「合併」は、けっこう前向きな、ポジティブ思考の行動だと個人的には思います。
    「リストラ」という言葉もそうですが、本来は前向きな行動であっても、やはりどうしても悲観的な、デメリットの部分がクローズアップされてしまいますね。