日本のアニメや漫画が、世界の大学生に与える影響

海外を旅行していた頃、よく街角で日本の漫画やアニメを見かけたマイスターです。

スペインのホテルのテレビで、「キャプテン翼」が放映されていたのを見た時は、衝撃でした。
コレを見て育った何年後かのW杯スペイン代表が、「スカイラブハリケーン」みたいな技を繰り出してきたらどうしよう、と一瞬、心配しました。
だって、スペインの子供だったら、やってしまいそうではないですか。ねぇ。

そんなわけで、今日は、ちょっと変わったネタを。

【教育関連ニュース】——————————————–

■「ローマ学生の狂言一座好評 アニメ・漫画から日本に興味」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/culture/update/0926/011.html?ref=rss
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この記事は、日本の早稲田大学から派遣された研究者が、ローマ大日本研究科の6人と設立した狂言一座のことを紹介しています。

で、彼らローマの学生は、日本のことをアニメや漫画で知って好きになった、と言っているのですね。

日本のアニメや漫画が世界を席巻しているというのは、なんとなく知られていると思いますが、もう既に、「小さい頃から日本のアニメや漫画が好きだった」と言うような若者も、もういるのです。

そんな彼らが大学の「日本研究科」に入ったのにも、当然こうしたアニメ・漫画文化が寄与しているはずです。

文化、特にエンターテイメントの力はすごいよなぁ、と思います。

文科省や政府が予算をつぎ込んで
日本の文化を紹介したり、日本への留学を広報したりするより、

その予算のいくらかを最新のアニメや漫画の翻訳費に充てて、
海外で流通させることに使った方が、
はるかに文化交流、学術交流につながるのではあるまいか?

なーんてことまで考えてしまうマイスターです。
(もちろん、奨学金などの整備をはじめ、まじめな対策も非常に重要ですよ)

冷静、客観的に見て、

「国の宣伝」
「国の広報」

という点では、歌舞伎や能などの伝統芸能より、
ゲームや、アニメ、漫画などの方が、どう考えてもパワーを持っています。

特に日本で育て上げられたこれらのエンターテイメントは、
他国の追随を許さないレベルで、世界的に広く流通しています。

これを国際交流に活かさない手はない…はずなんですが、
どうも、偉い方々は、こういうのがお嫌いなご様子。

「漫画学科」が日本の大学にできたのも、つい最近ですしね。

エンターテイメントは、学問としては成立しないのでしょうか?
いや、そんな訳はありません。

映画学科も、演劇学科も、エンターテイメントですよね。
ぶっちゃけて言えば、文学部にある「○○文学科」なんて、もともとエンターテイメントだったものを学問として研究しているわけです。

アメリカの大学に「映画学科」があるのと同じ理屈で、
日本の大学に「アニメ学科」とか、「漫画学科」、「ゲーム学科」が
そこそこあった方がいいと思うのですよ。
こうしたエンターテイメントを世界に流通させるためのプロ人材を、国としても育成した方が、絶対にいいですからね。

でも、大学では、あまり扱われないんですよね…。

こんだけ日本を代表するエンターテイメントとして成長したのに、漫画やゲーム、アニメなどの領域の専門人材育成を、専門学校にほとんど譲り渡してしまっている。
あぁ、もったいない。

おカタい人は、「不真面目だ」と思われるのを嫌って、こういうのに手を出さないんでしょうね。

冒頭のAsahi.comの記事だって、アニメ好きの学生が、「狂言」という伝統文化に手を出したから、初めて報道されたのでしょう。たぶん。

こんなんじゃ、いけません。
メディアの力を100%発揮させることは、できません。

5年以内くらいに、こうした学科を持つ大学、いくつかできないかなぁ。

そうした分野なら、即、

「世界の研究の中心」

になれると思いますし。
日本の有力大学が、いくつかこうした学部や研究科を作って、世界的な研究ネットワークを組織したりしたら、面白いのに。

きっと、日本にこれらのエンターテイメントを学ぶために留学する学生が、急増すると思うのですよ。

で。

調べているうちに、こんなページを見つけてしまった。

■「Anime Clubs and Organizations > College and University」(米 Yahoo.com)

http://dir.yahoo.com/Entertainment/Comics_and_Animation
/Animation/Anime/Clubs_and_Organizations/College_and_University/

イェール大、MIT、スタンフォード大、プリンストン大、UCLAなど、
世界を代表する米国の大学の…アニメ愛好クラブ。

各校のサイトを見てみると、

「そっか、アキハバラってアメリカにあったんだっけ」
と錯覚してしまうくらい、日本アニメの情報だらけです。

(どうでもいいけど、一流大学ばっかりの割に、著作権が無視されまくっているような気が。マイスターが想像するに、みんな日本の出版社サイトなどの画像をそのままペーストしてます。アメリカの著作権教育、大丈夫か)

冗談抜きに、世界のエリートを養成するこれらの大学で、
ここまで(分野は偏っているけど)日本を好きな人たちが学んでいるってのは、
日本の国益としてかなりプラスなんじゃないのかな、と思います。

だって、いくつかサイトを見てみましたが、どう考えても、

「アニメを見るために日本語をマスターした」

としか思えない学生達がサイトをつくっているのですよ。
んで、この人たち、絶対に在学中に一度は日本に行こうと思っているはずなのですよ。

たとえば、中国の「京劇」が、異国の学生にここまでさせられますかね?
歌舞伎や能のような日本の伝統芸能が、ここまで実際に人を行動させるパワーを持っていますかね?

ね、すごいことでしょう?

こんな現状を知ってしまうと思わず、
メディアとガバナンスに関する修士号を持つ大学職員のマイスターとしては、
日本産のエンターテイメント・メディアを使った戦略的な国際大学交流、
なんてのを考えてしまうのですよ。

絶対に、やったら、威力を発揮します。

んで、やるなら、リーダーシップを握れる今のうちなのです。

海外からこうした留学生が来たときのために、やっぱ、
秋葉原とかを案内できるようになっていた方がいいのだろうか…
と、真面目に考えたマイスターでした。