ニュースで見かけた関西私大の動き

マイスターです。

いつものように大学関連のニュースを見ておりましたら、関西方面の報道がいくつか目にとまりましたので、ご紹介したいと思います。

【今日の大学関連ニュース】
■「関西大:外国語学部を来春に新設 学生は留学が必修」(毎日jp)

関西大(大阪府吹田市)は5日、09年4月に外国語学部(仮称)を新設すると発表した。専攻言語を英語と中国語に絞り、定員は1学年150人。中国や英語圏の国の大学への1年間の留学を2年生の必修とする。留学が必修となる学部は、早稲田大国際教養学部などの例があるが、西日本では初めてという。
吹田市の千里山キャンパスに置き、英語教育(定員60人)▽中国言語文化(同30人)▽外国語コミュニケーション(同60人)の3専修を設ける。3年生以降の専門科目の授業は、英語や中国語で行う。外国語担当教員や高いコミュニケーション能力によって国際的に活躍できる人材の育成が目標。河田悌一学長は「関大の新しい売り物にしたい」と話している。
(上記記事より)

■「同大、2学部を新設  11年度に外国語係、13年度に国際関係」(京都新聞)

同志社大の八田英二学長は27日、2011年度に外国語関係の新学部を京田辺キャンパス(京都府京田辺市)に、13年度に国際関係の新学部を今出川キャンパス(京都市上京区)に、それぞれ設置する方針を明らかにした。同大では、今年4月にスポーツ健康科学、生命医科学部を新設するほか、09年度の心理学部の設置も決めており、13年度には14学部体制となる。
外国語関係の新学部は定員約150人を予定し、英語を中心とした言語を自在に扱える能力を持った学生を養成する。国際関係の学部も定員は同数で、アジアや米国、欧州などの地域の文化や歴史、経済を学ぶ。関連組織として、大学院に「グローバルスタディーズ研究科」の設置も検討する。
(上記記事より)

そんなわけで、関西大学と同志社大学が、こぞって語学系の学部を新設します。

関西大学の新学部では、1年間の留学が必修。国際教養大学や、早稲田大学国際教養学部などで行われている取り組みに続く形ですね。
同志社大学も、「国際関係」の学部とあわせて計画されている辺り、それぞれの学部の性格付けがどのようになるのか、とても気になります。

ここ数年、関東の私大でも、「グローバル」「国際教養」などの名称と、既存の外国語学部とは少し在り方が異なるカリキュラムを持った学部が次々に登場しています。国際的な環境の中で議論し活躍できるような人材を育成するというのが、日本の大学の間でテーマになっているようです。

というかむしろ、個人的には、

<「国際的に活躍できる人材」を送り出せる大学にならないと、後々の競争に勝てない!>

という、焦りのようなものが、特に主要な私立大学の間にはあるような気がします。

■「関学大、生き残りへW杯予選に“奇襲”パネル広告」(スポニチアネックス)

日本代表より目立った!?26日のサッカーW杯アジア3次予選で日本は敵地でバーレーンに敗れたが、マナマ国立競技場のピッチ脇に設置された関西学院大学のパネル広告が話題となっている。サッカーW杯代表戦でのパネル広告は「関学としては初めて。大学全体でもかなり珍しいのでは」(同大学広報室)という。少子化で各私立大学の経営は厳しさを増している。この“奇策”も生き残りへ向けたイメージ戦略の一環だ。
ABC系で全国中継(26日後11・10~)されたW杯3次予選の日本代表戦。この試合で、岡田ジャパンに負けず劣らずテレビ画面で何度もアップにされたのが、関学大のパネル広告だ。同大広報室は「ブランドを高める戦略の一環です。一口で言えば知名度アップが目的」と説明。「計画していたわけではなく、広告代理店と話がまとまったのは今月中旬。たまたまタイミングとコストが合致した」という。
同様の広告を企業が出す場合の費用は約6000万円。しかし、これは教育機関である私立大学にとって、かなり難しい金額だ。関係者によると、今回は「広告枠が空いていて、割安で出せる」という情報を広告代理店勤務のOBが持ち込み、1000万円以下という破格の安さで実現したという。
関西に比べて全国的な認知度が比較的低いとされる関学大としては、少子化時代の受験生確保のために知名度アップが欠かせない。サッカーW杯予選の全国中継は「若者が見てくれる」(同広報室)うえに深夜でも視聴率10%以上が見込めるキラーコンテンツ。今回も関西で平均12・6%(関東11・6%)を叩き出し、「90分間、あれだけ露出したので効果はあったと思っています。国際派を掲げていますから、世界から発信したという点もよかった。OB、OGらの評判もいい」(同広報室)とニンマリだ。
(上記記事より)

続いては、関西学院大学に関するニュース。
マイスターはこの試合を観ていなかったのですが、サッカーW杯アジア3次予選で、関西学院大学がパネル広告を出していたのですね。
野球場ではたまに大学の広告を見ますが、サッカーの、しかもこういった試合で学校法人が広告を出すのは珍しいのだそうです。
(通常なら数千万円はかかるところを、卒業生の紹介などもあり、格安で出せた……というのは、ちょっと大学っぽいかもしれません)

あとは、学内や卒業生ばかりではなく、受験生などから反響がくるかどうかですね。

■「市岐阜商廃止、市教委『やむを得ず』 立命館移管へ道筋」(Asahi.com)

立命館大学などを運営する学校法人立命館(京都市)が、岐阜市立岐阜商業高校の運営移管を岐阜市に提案している問題で、市教育委員会は27日の定例委員会で「将来的に市岐阜商高の廃止はやむを得ない」とする方針を決定した。「提案とは無関係」としているものの、立命館の付属中高一貫校設置に向け、道筋がつけられた。
市教委は、5人の委員の総意として「市岐阜商高の取り組みや実績は高く評価でき、今すぐ廃止の理由は見あたらない」とした上で、少子化のため10年後ごろから生徒数が激減するため、高校の再編や統合は避けられないとした。
廃止の時期については条件や方法とともに「速やかに検討を始める」とするにとどめ、県立への移管の可能性も残した。ただ、5年後程度をめどに、20億~30億円かかる校舎の耐震改修工事が必要なため、それ以前の廃止が想定される。
市教委は、昨年10月に設置した外部有識者会議の議論を参考にしながらも、「立命館からの提案とは別に、教育的観点から判断した」として、市が高校を維持する意義に絞って方針決定したことを強調した。
今後は市側が財政面などを含めて判断することになるが、細江茂光市長は「市教委の方針を尊重する」としており、廃止のための条例案を市議会に提案する見込み。議決され廃止時期が決まれば、移管に向けた調整が加速することになる。
(上記記事より)

最後は、立命館大学の話題。
簡単に言えば、将来的に廃止や統合が予想される岐阜県の市立高校を、立命館の附属校にしませんか、という提案を立命館側が市に対して行っているわけです。

公立の学校が私立の学校法人に運営移管されるという例は、非常に珍しいのですが、他ならぬ立命館が既に例をつくっています。
「守山市立守山女子高等学校」を前身とする、立命館守山中学校・高等学校です。

■「本校の沿革」(立命館守山中学校・高等学校)

「立命館」のブランド力を利用しながら既存の学校を統合し、学園を拡大させていくというのは、立命館グループが積極的に行っている手法であるように思います。
急激な拡大には色々な意味でリスクもあります。すべてのステークホルダーが満足するように進めるのは難しいかも知れませんが、良い形になるといいなと思います。

というわけで、以上、関西方面の話題をまとめてご紹介しました。

大学改革のニュースなど、関東よりも関西の方が動きが活発だなと思うことは多いです。
興味深いニュースがありましたら、今後もあれこれとご紹介していきたいと思います。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

1 個のコメント

  • 関東でも関西でも、大学改革が活発なのは上位校だけです。関西のほうが商売っ気があるせいか、公立の名門校を買い取るような荒技が目立ちますが。
    ただ、それ以下の大学に関してはどこもどんぐりの背比べになっている面が強いです。「大学職員への道」などを見てもそうですが、関東のほうが上位校やそうでない大学も含めて、わりに頻繁な求人がありますが、関西ではほとんどありません。
    雇用の流動性に欠け、新しい感覚を持った人材を取り入れない風潮が関西の大学には根強く、結果的に上位校だけが元気な「格差」を生んでいる要因になっているとも言えます。