学生中心のチームでル・マン24時間耐久レースに挑戦 東海大学

マイスターです。

ロボコンや鳥人間コンテストなど、学生がもの作りを通じて創意工夫を競い合うイベントは、大好きです。

というわけで今日は、↓こんなニュースをご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「東海大学がル・マン挑戦 01年以来の夢実現へ」(中日スポーツ)
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/sports/news/CK2007120502069764.html
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東海大学は4日、同大の総合科学技術研究所の林義正教授を中心とする「東海大学ル・マンプロジェクト」が2008年6月に開催される仏ルマン24時間耐久レースにエントリーする意思を固めたことを明らかにした。主催団体のフランス西部自動車クラブ(ACO)が受理すれば、日本初の大学チームのルマン挑戦となる。2001年のプロジェクト発足以来、産学協同でのエンジン製作、スタディーカーのテスト走行などを経て、足かけ7年もかかった夢が成就しようとしている。

「私もエンジニアの一人。6年前のある夜、工学部の研究室を訪ねたら学生が必死にエンジンの設計を行う姿に感銘を受けた。何とか学生の夢を実現したいと思った」。冒頭のあいさつに立った東海大の松前達郎総長・学長は、ル・マンプロジェクト実現間近を強調した。

(略)今後はフランスに学生を派遣して仮組みを行い、日本へ輸送。専用部品も多い外装パーツ、X-trac社製ギアボックス、YGKエンジンに合わせたハウジングなどを持ち込み、東海大学の湘南校舎で学生が中心となって組み上げる。3月中旬には組み上げを完了し、国内外でテスト走行を行い6月の本戦に備えるスケジュール。また、「うまくいけば本戦までに欧州のレースに出場したい」(林教授)という本格派だ。

40〜50人の大所帯となる実際のレース運営も学生が中心となる。レース参戦経験もあるワイ・ジー・ケーのスタッフらが要所に付く予定ながら、あくまでも学生の教育がテーマのル・マンプロジェクト。設計、製作、レース運営とも未来の日本レース界を担うであろう若き学生が主役だ。

林教授は「プロなら勝敗にこだわりますが、今回は教育の一環。完走できたら勝利だと思う」と結んだ。

(上記記事より)

モータースポーツに疎いマイスターも、名前くらいは知っている世界的な耐久レース、ル・マン。
世界的に認められているレースであり、各国の大手自動車メーカーが参戦しています。

そんなレベルの高いレースに参戦する、学生チーム。
ル・マンの歴史の中でも、大学チームの参加は史上初だそうです。

東海大学の学生が設計し、組み立てから参戦まで行うこのプロジェクトは、1999年の春、東海大学工学部・動力機械工学科の卒論発表会に席上で、林教授が『将来は研究課題として、ル・マン24時間耐久レース挑戦を行う』と述べたときから始まった。

同教授はその翌年10月の、東海大学モータースポーツフォーラムで、「モータースポーツの研究成果をル・マンというアリーナで公表したい」と講演。2001年4月から、工学部動力機械工学科の卒業研究テーマに、ル・マンカーTOP03(東海オリジナルプロトタイプ。03は林教授が好きな数字)の研究を設定し、同年10月には、すでに図面を起こしていたワイ・ジー・ケー製作の、YR40Tエンジンに火入れが行われた。

(略)林教授は、東海大学の教授となる前、日産自動車のレーシングエンジン開発総責任者を務めていたのだ。そのときから、急速燃焼(リーンバーン)にこだわりを持ち、ル・マン参戦用のエンジンばかりでなく、デイトナ24時間レース用のエンジン(このときには大差をつけて優勝した)を開発してきた。

(「東海大学、2008年のル・マン24時間レースに向けて発進」(オートギャラリーネット)より)

このように、中心になっているのは、メーカーでの実績もある林教授。
そして、重要な部分のいくつかは、産学連携でパートナーとなる企業から提供されるとのことです。

しかしそれでもこのチャレンジが、大学生のレベルを超えたものであることは変わりません。
こういうプロジェクトを発案し、本気で実現させようとする人がいると、学生も貴重な経験を通じて、多くのことを学べますよね。

「学生たちにレースを通じて真のもの作りやチームワーク、あくなきチャレンジ精神を体感させたい」

4日の会見で林教授は、参戦の狙いをこう説明した。

同チームの最大の特徴は、「研究活動の応用編」(林教授)として学生主体に運営していることだ。マシンの設計などを学生が担当。エンジンは、輸送用機械メーカーのワイ・ジー・ケー(山形市)との産学連携で開発した。来年1月からの車体の組み立て作業も学生の手で行う。これまでプロジェクトに参加した学生は延べ100人に上る。

会見では同大学の内田裕久副学長は「工学教育と産学連携の結果をル・マンで生かしてほしい」と激励。林教授も「3年後には表彰台を目指す」と意気込みをみせた。

過酷なル・マンは、耐久性能などの技術力を見せつける格好の舞台として世界中のメーカーが参戦してきた。現在はアウディやポルシェなど欧州勢の独壇場だが、日本からの新たな挑戦者は、現地でも大きな話題となりそうだ。

(「ル・マン参戦、異色2チーム…東海大、ベンチャー『エイム』 」より)

このように、延べ100人にのぼる学生が設計や組み立てなどに関わっているとのこと。
プロジェクトを通じて産学連携も体感でき、教育への波及効果は高いようです。

コストもかかるでしょうし、人材がいなければなかなか取り組めないプロジェクトだと思います。
しかしだからこそ、東海大学の独自性が活かされる機会でもあるのでしょう。

他の大学がそう簡単には参加できない分野で成果を上げる、というのは、大学の差別化という点で参考になりそうです。

以上、これまで耐久レースの結果なんて一度も気にしたことなかったけれど、今度はチェックしてみようかな、と思うマイスターでした。