大隈講堂 重要文化財へ

マイスターです。

125周年をお祝いして、と言うわけではありませんが、今日は早稲田大学関係のニュースを日本ご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「大隈講堂など10件、重要文化財へ 文化審議会が答申」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/culture/update/1019/TKY200710190437.html
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文化審議会(石澤良昭会長)は19日、早稲田大学大隈記念講堂(東京都新宿区)など建造物10件を、重要文化財に新たに指定するよう、渡海文部科学相へ答申した。また重要伝統的建造物群保存地区として、豊岡市出石(いずし)(兵庫県)を新たに、世界遺産の石見(いわみ)銀山遺跡にある大田市大森銀山(島根県)を追加で、選定するよう答申した。

大隈講堂は1927(昭和2)年に完成し、早大の象徴的な存在として知られる。ロマネスクにゴシックを加えた様式が近代の優れた折衷主義建築として評価された。

(上記記事より)

大隈講堂、まだ重要文化財じゃなかったんですね。ちょっと意外でした。
125周年で外壁タイルを貼り替えたばかりと聞く、大隈講堂。「第二の建学」に向け、さい先がいい話題です。

建築学科卒のマイスターとしては、ついついこういう話題に反応してしまいます。

ちなみに、日本建築史を勉強すると出てくるのですが、早稲田大学大隈講堂の設計案は当時、コンペで競われました。
設計の仕様を決める際、当時の高田早苗総長が出した注文は、「ゴシック様式であること」と「演劇に使えること」だったそうです。

実を言うと、第一等になったのは、現在のものとはまるで違う印象の案。「塔」の部分がないデザインでした。

■米山 勇「佐藤功一の『建築-都市』観とその影響に関する史的研究:第3章 都市への視線」,早稲田大学リポジトリ,2005
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/2933/5/Honbun-4032_05.pdf

上記のリンクは、早稲田大学の学術情報データベースで公開されている学術論文の一部分です。PDF形式になっています。
76ページに、「図78 コンペ一等前田・岡田案」という図がありますので、ご興味のある方はどうぞ。
現在の大隈講堂に馴染んでいる方にとっては、違和感を覚える形だと思いますよ。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「新入生に『日本語の文章講座』、論理的思考力を育成…早大」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071019i507.htm
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学生の“日本語力”を引き上げようと、早稲田大学(東京都新宿区)では、来年度から、新入生を対象にした「日本語の文章講座」を行う方針を決めた。

理路整然と話したり、書いたりすることが出来ない学生が増えているためで、日本語で論理的に表現する力を身につけさせるのが目的。数年後には、約1万人の新入生全員を対象に実施したいとしている。

早大ではここ数年、「学生たちの論理的に考え、表現する力が落ちている」といった指摘が教員らから相次いでいた。ある教授は、「ゼミで議論をしても、自分の思いこみや考えを言いっぱなしの学生が多い。意見の論拠や、反対意見よりどう優れているかなどをきちんと説明できないので、議論が深まらない」と嘆く。

早大はほぼ全員の学生を対象に、英語でリポートを書かせたり、議論させたりする少人数の英語教育を行っているが、講師陣からは「まずは、日本語でしっかり議論できる力がないとダメ」といった意見も出ていたという。

日本語で考える能力が落ちている背景について、早大は、読書量が減っていることやメールでのやりとりで短い文章しか書いていないことがあると分析。学生の論文の添削指導を丁寧に行うことで、日本語で考え、表現する力を向上させることを決めた。

(上記記事より)

日本語力、論理力の強化は、早稲田に限らず、どこの大学でも課題にされているトピックですね。
最近では京都大学が、工学部の入試で国語を必須にしたことが話題になりました。

■「京大が入試科目を変更 工学部も国語必須に」(2007年03月26日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50300883.html

論理力はすべての基礎。その基礎が揺らいでいるわけですから、非常に深刻です。
読書量の減少や、メールでのやりとりに慣れたことなどが原因としてあげられていますね。それらも理由のひとつではあるでしょう。
個人的には、「そもそも大学入学までの間に、文章で論理的に物事を伝える訓練の時間が十分にあったのか」という素朴な疑問もわきますけれど……。

ちなみにアメリカの大学には、新入生全員が基本的に受講しなければならない科目として、「English 101」というのがよく設けられているそうです。
アメリカの大学では、科目コードの数字はその科目の難易度などを表していますから、「101」というのは、一年生が最初に履修すべき科目であることを示しているわけですね。
大学入試をくぐり抜けたからと言って、学術的な作法に則った文章が書けたり、厳密な論理展開ができたりするとは限りません。ですから大学に入学して最初にやることは、とにかく文章を書かせ、文章力・論理力を鍛えることだというわけです。

日本でも、入学後にツールとしての日本語を教える動きが出ていますが、いずれはどこの大学でも、必修化されたりするかもしれません。

以上、偶然なのですが、たまた今日は、早稲田大学の話題をお送りしました。

マイスターでした。

1 個のコメント

  • はじめまして(^^)
    学生の論理的に話す力が落ちているという話は、よく耳にしますよね。
    自分が歳を取ると余計にそう感じるのかもしれませんが、会話などが幼稚になっている印象をうけます。
    こ難しいへ理屈を述べることおは出来ても、きちんと論理的に筋道を立てて話す(説明する)ことは出来ない学生が多いように感じます。
    本を読まなくなったとしても、せめてネットの長文系の記事なり資料に目を通す習慣をつけるなど、なんらかの方策が必要だと思います(^_^)