マイスターです。

案の定、その後しばらく、報道が続きました。
高等学校の水増し問題。

大阪から発覚した問題ですが、関東でも事例が見つかっています。
様々なブログや日記でも、この問題についての意見をよく見かけます。

ただ、報道が増えるにつれ、だんだん論点がわかりにくくなってきている気がします。
そこで、マイスターなりに、自分の考えを整理してみたいと思います。


そのためにも、すみませんが以下の、過去の記事を見てみてください。
今回の一連の騒動のきっかけとなり、個人的にも「ひどい!」と思った、大阪学芸高校の事例です。

(過去の関連記事)
・進学実績PRのため、優秀な生徒に大量出願させていた高校(2007年07月20日)
http://www.unipro-note.net/archives/50328826.html


マイスターが、この事例について「ひどい!」「おかしい!」と感じたのは、以下の点です。


<学校側の対応で、問題と思われる点>

【1】学校が、「学校にとって都合の良い大学・学部」を選んで、出願先を決めていた

本人はもともと受ける気がなかったし、いきたいと思っていなかった。
そんな大学を、学校にとって宣伝価値が高いという理由だけで、教員が出願先を決め、出願させた。

学校が、広報目的だけで生徒に出願させているのだから、これは教育行為ではありません。
というかむしろ、教育的にはやってはいけない行為だと思われます。
受験した生徒は、この持ちかけを一体どう思ったでしょうか。
(ちなみにこの場合、当然、受験費用は学校持ちということだったのでしょう。
そりゃそうです、完全に学校の都合なのだから。)


【2】そして、上記のような「受験依頼」について、合格のための報奨金として金銭を出し、しかもそれを秘密裏に行っていた

その上、「合格実績に応じて報奨金を出します」と持ちかけているわけです。
これも、教育者としてやってはいけない行為です。
というか、この報奨金があるから、学校の都合による虚飾の大量出願に、生徒も加担するわけです。
その意味では、【1】と【2】は、セットです。


さて、こういった行為を認めていると、結果として何が起こるでしょうか。

<結果的に発生する問題>

■その学校の「実力」が、粉飾された形で社会に伝わる

中学生およびその保護者や、中学の進路指導担当者は、虚飾の情報を元に進学先を選ぶことになります。
ちなみにこの問題について、非常に説得力のある「証拠」を紹介してくださっているブログがありました。

■「真の間抜けは誰か」(大学と教育ビジネス)
http://tyamauch.exblog.jp/5937337/


「目標設定と組織づくりで進学校化を実現させる高校
大阪府・私立大阪学芸高校(VIEW21[高校版]2006.10)」


というタイトルで、実際に大阪学芸高校の「虚飾された進学実績」がメディアに取り上げられ、学校の実力として報じられていたのですね。
同校教諭のインタビュー記事なども掲載され、「すばらしい成果」として記事で大々的に紹介されています。
読めば読むほど、ある種のむなしさが漂いますね。

(……と、つい先日までは、上記の記事内で紹介されているリンク先が読めたのですが、本ブログを書いている8/18現在、どうやらweb上から削除され、読めなくなってしまったようです。しまった、もっと早くにご紹介すべきでした。
冊子版のバックナンバーをお持ちの方は、読んでみてください)



以上のような点により、大阪学芸高校の対応には明らかに問題があるとマイスターは思うわけです。



では、ちょっとここで考えてみましょう。

もし、「すべて、本人が望んで選んだ受験」だったとしたら、以下のような点は、果たして問題になるのでしょうか。


●学校側が受験の費用を、一部ないし全額負担する

個人的には、このこと自体は、あまり問題にはならないんじゃないかと思えます。
「受験料は学校が負担してくれるから、積極的に行きたい大学の入試に挑戦できる」ということを制度化し、ウリにする学校があったとしても、それはその高校の特色だと思います。
もっともこの場合、たくさん受験した生徒のコストを、あまり受験しなかった生徒の学費が支えるという構造になりますので、様々な誤解を招かないためにも、ちゃんと正式な制度にして、パンフレットなどに明示しておくべきだと思いますけれど。


●一人の生徒の合格実績を、累積表示する

これは、意見が分かれるところでしょう。
これまでは、慣例的に、累積表示でした。入学者数ではなく、合格者数でもなく、「合格件数」でした。
そして、進学先は基本的に「大学単位」であることが多いため、例えば一人の生徒がA大学の3つの学部に合格すると、
「A大学 3名合格」
と表示されたりしていました。

ただしこれは、実態を伝えるという点においては、明らかに欠陥のある方法です。
今まで、この欠陥をいいことに、進学実績をうまく飾り立ててきた高校もあったことでしょう。

個人的には、欠陥があるのだから、「これまでも慣例的にこのやり方で行ってきたのに、今になって問題にするのはおかしい」と主張するのではなくて、「これはチャンスだ。今回の騒動を機に、表記の仕方を見直そう」と、建設的な方向で考えればいいのではないかと思います。

例えば、「複数学部で合格しても、その大学への合格数は1とカウントする」とか、「合格数と進学数の両方を掲載する」とか、「合格件数(実際に合格した生徒の人数)」のように併記するとか、色々な表記の仕方があると思います。
より実態がわかるような表示の仕方はどういうものだろうか? という議論があってもいいのではないでしょうか。

ただし、こうした表記方法は、各校にとっては経営的にも非常にシビアな問題ですから、これに関しては「お上」がルールを決めるというのも手なのかなと思います。
「国」もそうですが、まずは各都道府県レベルでルールを定めるというのもありなのかな、という気もします。


そんなわけで個人的には、「より誤解を生まない仕組み」を目指す方向に向かえばいいんじゃないかなぁ、なんて考えます。

完璧な方法を見つけるというのは大変なことですから、今回の騒動をきっかけにして、少しずつわかりやすくしていけば良いんじゃないでしょうか。


以上、マイスターなりに考えてみたことを述べてみました。
とは言え、こういった問題についてはまだまだ自分も、よく分かっていない部分が多いと思います。

「こんな事例もあるが、これはおかしいのでは」とか、「自分は、この点はアウトだと思う」とか、ぜひ、色々なご意見をいただければと思います。

マイスターでした。


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※今見てみたら、大阪学芸高校の出した「お詫び」という文章も、まさに上記のような内容でした。

■「お詫び」(大阪学芸高校)
http://www.osakagakugei.ac.jp/senior/housin/newpage5.htm#owabi



※大学の就職実績についても、不明瞭な部分は多いと思います。
例えば、「内定率」のような数字がよくパンフレットなどに掲載されていますが、内定率を算出する際の「母数」が、学校によってまちまちです。
全学生が母数になっているところもあれば、「就職希望者数」を母数にとった数値を出しているところもあるようです。

で、後者の場合、少しでも見た目の「内定率」をあげようとした結果、かなり恣意的な数値調整で、「就職希望者」の数を極力減らした数字を使ったりしているところもあると聞きます。
これも、度を過ぎると、実態と宣伝がかけ離れてきます。

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