ニュースクリップ[-4/22]「大学の統合・合併に補助金を、諮問会議で民間議員提案へ」ほか

マイスターです。

日曜日になりましたので、一週間個人的にクリップしていたニュースの中から、いくつかを選んでご紹介したいと思います。

大学でも「平成の大合併」が起きるか?
■「大学の統合・合併に補助金を、諮問会議で民間議員提案へ」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/update/0417/TKY200704160326.html

大学の再編・統合を進めるため、政府の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)は、統合を決めた大学への補助金支給などの優遇策を検討する。17日に開く諮問会議で日本経団連会長の御手洗冨士夫氏ら民間議員が提案する。市町村合併を特例債を認めて推進させたのと同じ手法で、優遇策の適用期間を定め、再編を拒んでいる大学側を後押しする狙いだ。
(上記記事より)

経済財政諮問会議による提案です。市町村合併のときと同じ手法を大学に適用させて、統合・合併を促進させようというものです。
皆様もご存じの通り、市町村合併はその後急激に進みました。大学はどうでしょうか。

今は、共立薬科大学のような優良大学でも、将来を見据えて合併を決めるという状況です。緊急かどうかはともかく、多少なりとも合併を検討しているという大学は、結構あるような気がします。補助金による優遇策の適用期間が提示されれば、「どうしようか」と悩んでいた大学が次々と決断していく流れが起きるのもしれません。

当たり前になっていく? 補習プログラム。
■「3割の大学で高校の『補習』 学力不足や入試多様化影響」(中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200704170354.html

高校で学ぶ内容を大学入学後に教える「補習」を実施している大学が二○○五年度で二百十校と前年度から五十校増え、割合も23%から30%に拡大したことが文部科学省が実施した全国調査で十七日、分かった。

補習の対象は学力不足の学生や、AO入試、推薦入試で合格した学生、帰国子女などさまざまで、文科省は「高校の学力低下対策とは限らず、入試の多様化などに対応した取り組みが広がっている」と見ている。
(上記記事より)

5年前までなら衝撃の報道だったかも知れないが、今ではそう意外でもない……そんな内容です。

大学入学者の状況を見る限り、「あなたは受験に合格する学力を持っていたのだから、入学したら勝手にやってください。落第しても、大学は知りません」という姿勢をとり続けるのは、実質的に不可能になってきています。
学力低下もさることながら、記事にもあるように、推薦やAO入試で入学する学生が増えていることも、理由の一つでしょう。

ただ考えてみると、これは別に悪いことではないかも知れません。
もともと「多様な人材が欲しい」「ペーパーテストだけでは測れない能力を持った学生に来て欲しい」という目的で始めたAO入試です。その結果確かに、学力は低いけど魅力的な学生が集まったのだとしたら、それはむしろ予想通りです。必要に応じて補習を行い、学ぶべきところは学んでいただければいいだけの話ではないでしょうか。

ここしばらくの間に、確実に、大学の学びのあり方は変容つつあるように思います。

大学の全授業が休講に。
■「はしか流行、連休明けまで授業は休講に 創価大」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0420/TKY200704200370.html

創価大(東京都八王子市)は19日、学生と教員に、はしかの集団感染が判明したため、5月6日まで全学部と大学院、創価女子短大の授業を休講にすると発表した。国立感染症研究所感染症情報センターによると、はしかの集団感染が原因で大学が全学休講になるのは珍しい。
(略)同センターのまとめでは、東京、埼玉など関東地方で患者が急増している。通常は乳幼児に多いが今年は10代以上にも多いのが特徴という。
(上記記事より)

はしかが猛威をふるっています。
学生および教員が集団感染した創価大学では、さらなる感染を防止するため4月18日(水)から5月6日(日)まで、全学的に休講する措置を講じたそうです。

このほか↓創価大では、まだ感染していない学生に対して無料でワクチンを接種するなどの対応を行っているとのことです。

■「はしか(麻疹)感染防止のための本学の取り組み」(創価大学)
http://www.soka.ac.jp/news/headline_news/2007/20070420.html

大学キャンパスは、メンバーがほぼ固定化されたコミュニティです。感染性の病気が流行すると、あっという間に被害が拡大するおそれがあります。授業日程の調整は大変でしょうが、全授業を休講にするという大学側の判断は正解ではないかと思います。

「世界の工場」から、「世界の研究所」へ。
■「日米欧大手、中国の開発拠点を拡充」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070410AT2M0501N09042007.html

日米欧の大手企業が中国をグローバルな研究開発の重要拠点に位置づけ始めた。米マイクロソフトや米デル、日立製作所、東レなどが中国人研究員の大幅増に着手した。従来の中国市場向け商品開発に加え、豊富な理系人材を活用して基礎研究や世界戦略製品の開発を進める狙い。中国は「世界の工場」だけではなく、「世界の研究所」の顔も持ち始めた。
(上記記事より)

記事では、日立や日産自動車、マイクロソフトといった企業が、中国での研究体制を大幅に増強していることも指摘されています。企業の将来を左右する基礎的研究も含まれます。
単に人件費が安いというだけではなく、優秀な人材が数多くそろっているということなのでしょう。だとしたら、企業が目をつけないはずはありません。

こういった産業の動きには、中国の大学も関わっています。
↓以前のニュースクリップでは、松下グループが中国の大学との連携強化に動いているという報道をご紹介しました。

(過去の関連記事)
・ニュースクリップ[-11/19] 「松下グループ 幹部育成や人脈作り 大学との連携強化」ほか(2006年11月19日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50264369.html

安価な人件費を背景にした工業生産能力だけではなく、優秀な頭脳による研究開発でも存在感を強めている中国。相対的に、日本の影響力が弱まってくることも考えられます。
日本も、人材育成力で負けないようにしなければなりませんね。

使えない(?)特許の維持費用に悩むソウル大。
■「ソウル大が頭を悩める『黄禹錫特許』」(中央日報)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=86321&servcode=400&sectcode=400

放棄もできずソウル大が黄禹錫(ファン・ウソク)元教授の幹細胞関連特許で頭を悩めている。特許を維持すると費用がかかり、しかし簡単に手放すのも難しいという立場だ。
(上記記事より)

生命科学の分野で韓国中から期待を集めていたけれど、研究成果の捏造事件を起こしてしまった黄禹錫氏。彼の残した特許の数々が、大学を悩ませているようです。
詳細は元記事をご覧ください。ソウル大学の苦悩が伝わってきます。

大学の知的財産管理は、日本でも今後、重要なテーマになってくると思います。
こんな問題も起こりうる、ということで、参考になるかもしれません。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログをごひいきにしていただき、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。