竹中平蔵氏が一体「なに大臣」なのか、途中で把握しきれなくなって(というか覚えるのを諦めて)ましたが、今度は総務大臣ですかそうですか、わかりやすくなって良かったですねのマイスターです。

「金融・経済財政政策特命担当大臣」だけでも長いのに、その後に「郵政民営化担当」がついたりつかなかったり。気づくと「金融」がいつの間にかとれてたり。
身近な人の記憶力を試す試金石として使えるネタでした。
総務大臣というわかりやすい名前に変わりましたが、まだ「郵政民営化担当大臣」でもありますので気を付けてください。ここ、引っかけポイントです。



今日は、用語解説!

…と言いたいところなのですが、我ながら今回は、どうも扱いのあいまいな用語を選んでしまったみたいです。




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【特任教授】
定義: ………?
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この言葉、一度はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか?
でも、はっきり定義を説明できますか? と聞かれたら、いかがでしょうか。


教授や助教授、講師などは、わかりますよね。

ちなみに今度、「准教授」と「助教」が制度化されますからね。
まだこれらの言葉の意味をよくわかっていない方は、今のうちに理解しておきましょう。
よければ↓こちらもご参考にお使いください。

・用語解説:「准教授」とは、「助教」とは
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/27915510.html




じゃあ、「特任教授」つーのは、何さ?


教授や助教授などは、法律に登場し、大学に置くことを義務づけられていたりしますが、それに対して「特任教授」は、別に法律等に出てこない言葉ですよね。

おそらくみなさん、普段あいまいにしたまま、何となく心の隅に追いやっていらっしゃる言葉ではないかと推察いたします。
このままじゃ、気持ち悪いですよね。すっきりさせたいです。
というわけで、マイスター、みなさんの代わりに調べました。




結論を先に述べましょう。

特任教授教授の定義は…

大学によって全然、異なります。





すっきりできない結論ですみません!

いや、何しろマイスターも、4つの大学に関わった男。
「特任教授とか特別教授とか色々いるけど、どうも学校によって扱いがバラバラなような…」
と、うすうす気になってはいたのです。

で、調べてみましたが、見事に各大学、定義がバラバラでした!

いくつか、以下に例をご紹介します。

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■小樽商科大学の例

「国立大学法人小樽商科大学特任教授規程」
http://www.otaru-uc.ac.jp/hsyomu1/kitei/jinji/tokunin.htm

第2条 特任教授とは,本学を定年退職し,国立大学法人小樽商科大学教員就業規則第17条第1項の規定により再雇用された者をいう。

第3条 特任教授は,次の各号に定める職務に従事するものとする。
 (1) 教育及び研究
 (2) ビジネス創造センター長又は保健管理センター所長としての職務
2 特任教授は,本学の意思決定に関わることができない。ただし,職務に関連のある学部教授会,学部・大学院合同教授会及び専攻会議等に出席することができる。

第4条 特任教授には,教育研究等に必要な施設及び設備を使用させることができる。
 (研究費) 
第5条 特任教授には,本学教授と同等の研究費を配分する。



というわけで、ズバリ特任教授に関する規定が見つかりました。
小樽商科大は、
「定年退職した教員を再雇用する」というケース限定で、特任教授が生まれるようですね。

穿った見方で申し訳ないのですが、定年を伸ばすための仕組みと受け取れなくもありません。
(「教員就業規則第17条第1項の規定」の内容がわからないので、何とも言えませんが…)

なお職務上の権限は、大学の意思決定に関われないという点を除くと、専任の教授とほとんど変わらないということです。

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■甲南大学経営学部の例

「特任教授の公募について」(甲南大学経営学部)
http://www.konan-u.ac.jp/news2/keieitokunin.pdf

応 募 資 格:次のいずれにも該当する者
民間企業・官公庁・研究所・大学等における経験のある者で,教授に相当する研究業績または実務経験を有する者
∈陵兒に満60 歳以上かつ満66 歳未満の者


<特任教授の勤務条件と待遇>
(定義)
特任教授とは、本大学が教育・研究上特に必要と認める者で、給与、勤務等の労働条件について特例の扱いをすることを条件として採用する者をいいます。
(職務)
職務は、学部の講義等(大学院を含む)の担当及び研究活動です。ただし、入学試験等全学的に取り組む業務については、これを援助する必要があります。
(定年)
定年は、70歳に達する年の年度末です。
(教育研究条件)
(1) 原則として、1週4コマの授業を担当する必要があります。
(2) 個人研究費、教員研究費、及び学会出張旅費は、専任教員に準じます。
(3) 原則として、大学及び学部の各種委員には選出又は任命されません。
(給与)
学園規程により支給されます。
(1) 俸給(月額)は、480,000円です。(2005年4月現在の実績)
(2) 賞与は、年2回です。
(3) 通勤手当等の各種手当あり。
(兼職)
事情によっては、兼職(他大学教員除く)を認めることがあります。



こちら甲南大学は、特任教授の公募の書類に、その定義が書いてありました。
「官公庁・研究所・大学等における経験のある者」ということなので、OB限定の小樽商科大とは違います。
俸給などがはっきり示されており、ちゃんと「公募」している雰囲気が伺えます。

ただ…
「採用時に満60 歳以上かつ満66 歳未満の者」という年齢制限が、やっぱりついてます。
で、「定年は70歳です」とある。

早い話、どこかの組織を退職or退官した人を集めようとしているのですね。
その辺は、小樽商科大と変わりません。

なお研究費などの扱いでは専任教員と同等の待遇を受けられるけど、
大学及び学部の各種委員にはなれない、という点も、小樽商科大と同じです。

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■新潟青陵大学の例

「新潟青陵大学大学院・新潟青陵大学 特任教授及び客員教授に関する規程」(新潟青陵大学)
http://www.n-seiryo.ac.jp/nsugs/gaiyou/pdf/shushi.pdf
※PDFの27ページ目に、以下の記述があります

第2条 特任教授とは、本学において期間を定めて専任教員に準じ、教育・研究を行う者をいう。

第3条 特任教授及び客員教授は、次の各号の何れかに該当する者から任用する。
 一、大学において教授の経歴があり、教育・研究業績が顕著と認められる者
 二、文化的又は社会的業績が顕著であって、前号に匹敵すると認められる者
 三、前各号に準ずる者
第4条 特任教授の任期は、原則として5学年とする。
(客員教授の任期は、原則として1学年とする。ただし、再任を妨げない)

第5条 特任教授及び客員教授を任用するにあたっては、本学教員選考に関する規程によるものとする。
第6条 学長は、特任教授について、勤務時間の特例を設けることができる。
2 学長は、特に指定する特任教授について、校務及び教務の一部を免除し、勤務時間の特例を設けることができる。
(客員教授については、就業規則第3章(勤務及び研修)の規定は適用しない。)
第7条 特任教授及び客員教授の給与は年額とし、その額は理事長が適当と認めた額とする。
第9条 特任教授には、その勤務の態様を考慮し、学長が適当と認めた額の個人研究費を配当する。



新潟青陵大学の規定です。
上記の2校とは異なる部分がいくつかありますね。

まず、年齢制限がありません。
そして、任期がはっきり「5年」と定められています。

客員教授は1年契約ということですので、<特任教授=すごい客員教授>みたいな位置づけなのかも知れません。

そして、注目すべきは、特任教授の待遇。

・勤務時間の特例を認める
・特に指定する特任教授については、校務及び教務の一部を免除
・特任教授及び客員教授の給与は年額とし、その額は理事長が適当と認めた額
・特任教授には、その勤務の態様を考慮し、学長が適当と認めた額の個人研究費を配当


同じ特任教授でも、給与と研究費にえらい差がつきそうな感じです。

おそらく通常の専任教員の給与は、学内規定で決められているのだと思います。
特任教授(&客員教授)の給与だけが、理事長権限でフレキシブルだという状況ですね。

うまく使えば戦略的に優秀な人を採用できますが、
悪い場合は、理事長の知り合いのじいさんばっかりが集まる危険もありそうです。

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■福井県立大学の例

「平成12年4月11日 評議会決定」(福井県立大学)
http://www.fpu.ac.jp/156staffonly/3%20jinji/327tokuninyoko.htm


内容、任期が1年とされている以外は、小樽商科大学とほとんど変わりません。
定年退職者限定だっていうところも。

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■早稲田大学の例

「早稲田大学における96年度教員採用について」(早稲田大学)
http://www.waseda.jp/koho/news/960401.html


偶然見つけました。

「特任教授とは、教授に準じて学生の教育指導にあたり、かつ教授会等の構成員に含まれないもの」
という記述がありますね。

ただ、このページはちょっと古いので、現在どうなっているかはわかりません。

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「大学評価・学位授与機構評議員会(第28回)議事要旨」(大学評価・学位授与機構)
http://www.niad.ac.jp/sub_file/H13_hyogi/0028/contents.htm


○ 特任教授と客員教授の違いは、勤務時間の違いのみか。
● 特任教授と客員教授の違いは、勤務時間のみで、報酬等は同じである。

○ 大学等の特任教授は、外部から研究費等を導入し、人件費に充てて任命するのを特任と言っているが、それとは少し違うことになるのか。
● 特任教授の先生方には、機構の業務に相当深く関係する方というように考えており、客員教授は、機構の業務を取り巻く様々な研究であるとか調査等を行ってもらい、外からの支援をしてもらう方というふうに考えている。現在では、報酬等全く同じであり、唯一違うのは、1週間6時間以上という勤務時間であり、機構としては、特任教授のほうのステータスを上げるような工夫をしたいと考えている。

○ 専任ではなくて、すべて併任か。
● すべて併任で考えている。

○ 特任と客員は、年齢制限は考えていないのか。
● 特段考えていない。
● 定年については従来に比べると、非公務員化するということで、かなり考え方は自由になったので、特任、客員となる本人次第で決めることになる。例えば1人の人が延々と居座る等、問題はあると思うが、その辺は運用上で気を付けていきたいと思う。

○ そのような問題は他の大学でも問題になるが、機構の特殊事情ということか。
● 実質的に正しく運営するということになると思う。

○ 特任及び客員は、任期付か。
● 毎年度、1年の任期付である。

○ 1年の任期付であれば交代しやすいと思う。規則等については、まだ若干変更の可能性があるので、その辺は機構長に一任ということにしたいと思う。


変わっているのがこれ。
「大学評価・学位授与機構」の特任教授に関する、評議会での質疑の記録です。

特任教授と客員教授の違いは、勤務時間のみだと言っています。
また客員教授と比較して、機構の業務のコアに関わるのが特任教授だとしています。
「特任教授のほうのステータスを上げるような工夫をしたい」のだそうで。

また、非公務員化を意識し、年齢に関してはかなり自由な運用にするとのこと。
任期は1年です。


実際の運用がどうなっているのかはわかりませんが、これだけ読むと、結構、アクティブに特任教授を入れ替えられるようなシステムに見えますね。

っていうか、発言者が「大学等の特任教授は、外部から研究費等を導入し、人件費に充てて任命するのを特任と言っているが」とおっしゃってます。衝撃の発言。この人のいた大学はそうだったのかも知れません。

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さて、いかがでしょうか。

なんか、

<特任教授=じいさん>

というイメージができちゃいましたか?


確かに、そういう面があることは否定できないと思います。

いい意味で、実績を出したベテラン看板教授をつなぎ止めておきたい、という一種の戦略でもありますし、

また一方で、単なる「定年延長策」として使われてしまっている大学も、少なからずあると思います。





しかし、そう思った人は、↓これを見よ!


■「デジタルハリウッド大学 教員紹介」
http://www.dhw.co.jp/un/professor/index.html


13人の教授のうち、

なんと7人が特任教授!



なにげに、ホリエモンも特任教授です。




そうです。
「特任教授」の制度が活用されるのは、研究面だけにあらず。

世間で活躍しているクリエイターや企業家、
ジャーナリスト、
市民活動家、
デザイナーや建築家、
(元)政治家、
作家、


そんな方々を、教育の現場に連れてくる時にも、特任教授という肩書きは有効です。
こうした方々は、それぞれ自分のフィールドの第一線で活躍していますから、
教授になることで、「研究実績」に束縛されてしまうのは、嫌なのですね。
「特任教授」という形で、様々な制約を免除してあげることで、こうした一流の人材を教育の目玉にできるわけですよ。

デザイン系は、上記のような理由からか、特任教授が比較的多いようです。

・「視覚伝達デザインコース(デザイン学科)」(名古屋造形芸術大学)
http://www.doho.ac.jp/~zokei/yon/vcd/



神戸芸術工科大学のこの方みたいに、
研究者なのか、臨床の実践者なのか、作家なのか、境界があいまいな方も、特別教授として招聘すると効果的ですね。




長くなったので、そろそろまとめたいと思います。




特任教授とは…

○「引退したベテラン研究者を引き留めるため」
 「クリエイターなど、他業種の一線で活躍する人材を教育の現場に引き込むため」
 という、主に2種類の目的で起用される、制限付きの教授職。

○本来教授に求められる研究、教育、大学校務のいずれかを免除する大学も多い。

○各種の役職や、意思決定の権限を与えない大学も多い。

○任期、給与、役割などは、大学によって大きく異なる。


というところでしょうか。


マイスターが今回、様々な大学のサイトを見て調べたところでは、
研究や教育で、うまく特任教授制度を活かせている大学と、
ただの任期延長や、「客寄せパンダ」起用のための制度として使っている大学に、二極化しているような印象を受けました。

みなさんの大学では、ぜひ有意義に制度を活用してくださいね。



というわけで、今日の用語は「特任教授」でした。

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