高校から私立学校ばっかり通っている、親不孝者のマイスターです。

さすがに大学院の学費は自分で払いました。まだローン返済中です。先は長い。

「国立」というものを、一度体験してみたいです。
セミナーや勉強会で訪れることはあるので、キャンパスの雰囲気はなんとなくわかるのですが、
そこで教えている教員や、学んでいる学生は、私立とどう違うのか、知りたいです。
人生観とか、ちょっと違うような。

国立大学の学生は、私立に比べて「総じて真面目」というイメージがありますが、さてどうなのでしょう。




というわけで、今日は、「なかなか崩れない国立大学の序列」というテーマ。




突然ですが、以下のグループがそれぞれ何を意味しているか、みなさんはすぐにお分かりですか?

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1:
北海道大学 東北大学 東京大学 名古屋大学 京都大学 大阪大学 九州大学
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2:
千葉大学 東京工業大学 一橋大学 新潟大学 金沢大学 神戸大学 岡山大学 広島大学 長崎大学 熊本大学 (筑波大学)
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3:
千葉大学 新潟大学 金沢大学 岡山大学 長崎大学 熊本大学
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4:
弘前大学 群馬大学 東京医科歯科大学 信州大学 三重大学 鳥取大学 山口大学 徳島大学
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1つめのグループは、簡単ですね。
いわずと知れた、「旧帝国大学」です。
現在でも東大などは特に、中央省庁の官僚養成期間という側面を強く残していますが、もとからこれら帝国大学は「国家を支える優秀な人材」を創出する最高学府として、位置づけられていました。

現在でもあらゆる学問で圧倒的な存在感を持ち、各地域の学問的リーダーとして君臨し続けています。




2つめは、ちょっと難しいです。
これは、「旧官立11大学」などと呼ばれる大学群です。
旧帝大を除いて、戦前から官立、つまり国立の大学として存在していた、とっても由緒ある大学ってことです。

なお3つめのグループは、その11官立大学の中でも「旧六医科大学」と呼ばれる、医学系を母体とした大学群です。
戦前から、各地域の医療を中心的に担う官立医科大学として設立されていた大学です。


ちなみに11官立大学は、以下のようにジャンルに分けると、理解しやすいです。
旧帝大に比べて、担当する学問分野がはっきりしていたのが特徴です。
それぞれの分野で、日本の教育・研究の中心として機能するべく、これらの大学は設立されたのですね。


<教育>
* 東京文理科大学(1929年設立、東京教育大学を経て、現在の筑波大学)
* 広島文理科大学(1929年設立、現在の広島大学)

<商業>
* 東京商科大学(1920年設立、現在の一橋大学)
* 神戸商業大学(1929年設立、現在の神戸大学)

<工業技術>
* 東京工業大学(1929年設立)

<医学>
* 新潟医科大学(1922年設立、現在の新潟大学)
* 岡山医科大学(1922年設立、現在の岡山大学)
* 千葉医科大学(1923年設立、現在の千葉大学)
* 金沢医科大学(1923年設立、現在の金沢大学)
* 長崎医科大学(1923年設立、現在の長崎大学)
* 熊本医科大学(1929年設立、現在の熊本大学)


例えば教育なら、東京文理科大と広島文理科大が最高権威でした。
そこの卒業生が全国の師範学校に散って、各地方で
「教員を育てる教員」として働いたりしたわけですね。




最後、4つめのグループは、3の「旧六医科大学」に対して、
「新八医科大学」と呼ばれるグループです。

戦前は「旧制・官立医学専門学校」で、戦後、大学に昇格したという経緯のある学校です。

医学専門学校というのは、太平洋戦争前・中の旧学制における医師養成学校のひとつでした。
大学医学部や医科大学との違いは、いわゆる予備教育(旧制高等学校、大学予科)を経ないで旧制中学卒業により入学し、専門教育を受けることだったようです。

大学ではないけれど、良い医師を数多く供給するための教育機関として機能していたのですね。



以上1〜4の大学群でした。

現在は、多くの国立大学が学部を拡充し、地域の総合大学として発展しています。
そのため、卒業生でもない限りこうした設立の経緯を意識することはあまりないと思います。

でも、こうして見ていると、非常に明確な国家デザインが浮き上がってくるようで、興味深いですよね。

日本地図の上に国立大学の位置をプロットするだけで、当時の日本の指導者達が考えていたことがちょっとわかる気になれます。





さーて、こんな日本の国立大学の経緯を知った上で、興味深いデータを見てみましょう。
文科省および独立行政法人日本学術振興会による、「科学研究費補助金」、
いわゆる「科研費」です。


■平成17年度科学研究費補助金 採択率・採択件数上位機関一覧(PDF)」(文科省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/08/05083006/005.pdf


上記のPDF、最後のページをご覧ください。
<(3)平成17年度(新規採択分+継続分)における採択件数・配分額>
として、

新規・継続を含めて、科研費を多く取得した、採択件数TOP30機関

が掲載されています。


<新規・継続を含めて、科研費を多く取得したTOP30機関>

1 東京大学
2 京都大学
3 東北大学
4 大阪大学
5 九州大学
6 北海道大学
7 名古屋大学

8 筑波大学
9 広島大学
10 東京工業大学
11 神戸大学
12 岡山大学

13 慶應義塾大学
14 千葉大学
15 早稲田大学
16 新潟大学
17 独立行政法人理化学研究所
18 金沢大学
19 徳島大学
20 長崎大学
21 熊本大学

22 東京医科歯科大学
23 日本大学
24 大阪市立大学
25 信州大学
26 山口大学

27 首都大学東京
28 群馬大学
29 鹿児島大学
30 岐阜大学
※採択件数順



色分けの意味は、もうお分かりですね。

赤が旧7帝大

青が旧官立11大

オレンジが、新八医科大

です。




50年以上前の「国による序列化」が、こんなところに根強く残っているのですよ。

これは「採択件数順」のランキングです。
しかし、PDFを見ていただければわかると思いますが。
東工大や理化学研などいくつかを除いて、ほぼ「金額順」と見ていい状態です。


税金の使い道、という点でも、50年前と同じ構造が保持されているのですね。


ちなみに官立11大の中で唯一、一橋大学は、文系だけということもあってか、ランキングには出てきていません。
しかし、平成17年度(新規採択分)における採択「率」では、45.6%と、トップです。

また、この科研費、TOP30の間でも格差が大きいです。

直接経費の交付額で見て、

1の東京大学:17,941,955,000 に対して、

3位の東北大学:8,422,700,0007 で既に、半分でしかありません。

7位の名古屋大学:5,806,200,000 では、東大の1/3です。


また、「旧帝大」と、「それ以外」というところにも、差がある感じです。
(東工大は、理工系ばっかりということもあってか、採択件数に対して金額が大目です)


30位までランクをつけるまでもなく、10位くらいまで見れば、世の中の仕組みがわかる感じです。




旧帝大が強い、というのは、世間一般的にもイメージされていることと思いますが、

しかし、その下の「官立11大」「旧六」「新八」という古い構造まで、
まだそっくりそのまま、順位を変えずに残っているといのは、あまり知られていないのではないでしょうか。





文科省のwebサイトでは、

-科学研究費補助金(科研費)は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものである。-「平成17年度科学研究費補助金の配分について」より)

とあります。


でも、なぁ。



競争の仕組みってのは、

「これまでパッとしなかったところが、競争に勝って巨人を超える」

ということがあってはじめて、100%機能するのではないかな、という気もします。


そういう意味では、いまひとつ、科研費のシステムが競争を促していないように見えるのです。

獲得金額ですと、やはり大規模で歴史のある、理工系&医学系を持った大学が
どうしても目立ってしまうと思いますが、地方大学の健闘を祈りたいところです。




国立大学の世界に、もっともっと、下克上の嵐が吹き荒れたらおもしろいのになぁ…

…などど、つい他人事のように思ってしまうマイスター(私大出身)でした。


(もちろん、私大もがんばらないといけません)

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